「ニャローテ、鋭くマジカルリーフ!!」
「ンニャアアアアッ!!!」
オリーヴァへと向けられるマジカルリーフは明らかに技のキレがいい、鋭くするようにと指示を出しているからというだけで出来れば苦労などはしない。明らかにオリーヴァへのダメージも大きい、タイプ相性をガン無視している。聞けばチリとのバトルではヘドロウェーブを真っ向からブチ破ったらしい。
「フム……この業はやっぱりタイプ相性と能力変化を無視する、技の範囲を狭める事で技のエネルギー密度を高めて突破力を上げている、と解釈すべきか……」
「でも、それって力業と同じなんじゃ……」
「いい質問だドット、ダイケンキ」
「ケン」
その疑問に答えるようにダイケンキはアシガタナを抜刀、そのまま両方の刀でシェルブレードを発動させてみせる。片方は力業、一方はリコの鋭くで。その違いはフリードもよく観察している。
「力業は言うなれば蛇口の水を普通に使う以上にひねる業、だから威力と技の範囲が上がる。だが鋭くした場合は如何だ?」
「シェルブレードの刃渡りは変わってねぇけど随分と幅が狭くなってるな」
「比べてみると全然違うね……」
「威力も確かめてみよう、ダイケンキ」
「ケンッ!!」
一瞬で姿が掻き消える、直後傍の地面に交差した斬撃の跡が加えられた。一瞬の出来事に全員が驚愕する中でラビは真剣に斬撃跡を見つめる。それにフリードも続く。
「どう見るよ」
「右が力で左が鋭くだよな、こうしてみると分かりやすい」
「な、何が分かったのフリード」
「よく見てみろ三人とも」
そう言ってリコ、ロイ、ドットに傷をよく見るように促す。
「分かるか?」
「右のは凄い広くて力をバシバシ感じるよ、名前の通りに力で抉ったって感じ」
「だけどこっちは全然違う……罅一つ入ってないよ」
「うん、密度が上がるって言う言葉の意味が凄い分かった」
パワーが無駄なく凝縮された事で余計な破壊を生んでいない事のいい証明、これを向ければタイプ相性を貫通しうるという事なのだろう。が、幾つか問題も起きているのも事実。
「ダイケンキ、どうだ使ってみて」
「ケェン……キキケンダァイキィン」
「えっとであるな」
「いいや大丈夫だ全部わかる、続けてくれ」
通訳に入ろうとしたバドレックスを制止してそのままダイケンキの言葉を聞き続けるラビ、やっぱりこの二人には言葉の壁なんてものは存在していない。こればっかりはキャップやリザードンでも勝てない点だと素直に認めるフリードであった。
「まず業以上にPPを使うらしい、それと本当は同時に繰り出すつもりだったのが鋭くの方が遅れて出したらしい」
「力業よりも高い集中力がいるって事か」
「だと思う、力を溜めて解放するんじゃなくて力を集めて鋭くするからだろうな……」
「でもリコとニャローテって結構使ってるよね、いっぱいとか鋭くとか」
「それに関してはまあ……二人が天才的なセンスを持ってるとしか言いようがねぇな……」
「ええっ⁉」「ンニャ?」
ポケモンバトルの初心者故の先入観の無さがセンスの良さと結びついて自由な発想と技術の応用などに発揮されている。普通ならばその程度では新しい技術なんて生まれないのだが……それを生み出してしまうのが天才的なセンスを裏付けている。
「何時の時代も世界を変えるのは若い力か……」
「お前だって十分若ぇじゃねぇか何黄昏てんだよ」
「リコ達はそんな俺よりもずっと若いじゃねぇか」
自分がリコ達と同じ頃、何をしていた?同じ事が出来たか?いや違う、この世界に適応しようと様々な物を吸収しようと必死になっていただけだ、ミジュマルと色んな事を検証して、時には失敗して、技を暴発させて互いにびしょ濡れになる事もしょっちゅうだった。
「だけどさ……仮にリコが業を会得してこれらを発展させてくれたらなって思っちまうんだよ」
「なんだよらしくねぇな、現実主義者で今が大事だったお前はどこ行ったんだ?」
「余裕がなかったんだよ……昔の俺は」
生き急いでいたというつもりはなかったのだが……何処か恐怖を感じていたのは事実だ。だけど今は違う、今は……未来に目が向けられる。
「それでリコ、業の名前は決めたか?」
「え、えっとその考えはしたんですけどえっと……」
「なんだ言ってみろって。力業や早業だってそこまで仰々しい名前じゃないんだ、力強く繰り出すから力業、素早く繰り出すから早業って分かりやすい物なんだから」
「え、えっと……それじゃあ」
リコが口に出したのは父の絵本に対する評判だった、コルサも認める程に素晴らしい物語を本を作り上げる才覚に対する絶賛の言葉の中にある言葉があった。そこから拝借したという事で、技を鋭くして繰り出す業の名前は……
「たくみのわざ……ってコルサさんが言ってたので巧業……にしようかなって……」
「巧の業か……よし、それでいこう。いずれはアカデミーのカリキュラムにも採用するから楽しみにしておけよ」
「えっ!?」
「おっそりゃいいな、んじゃリコの名前が教科書に載る訳だな!!」
「ええっ!⁉」
「凄いよリコ!!一気に有名人じゃない!!」
「むぅっ……ラビさん!!僕の奴でも取り上げていいですよね!?」
「ロイにドット!?」
「応やったれやったれ。その内教員としてリコにも話が行くかもな」
「ええええええええええっ!⁉は、話が大きくなりすぎですよぉぉ!!?」
尚、リコの名前はマジでパルデア地方の教科書に載る事になったという。
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。本日ご紹介するポケモンさんは此方」
「リ~ニュニュリ~」
「リククラゲさんです」