「ラビさん、お聞きしたい事が……あれ?」
キタカミの里へと向かうブレイブアサギ号、あと数時間で到着という所まで来た。リコは自身が開発した技術、巧業についての話をしたいと思ってラビを探していたのだが見つけたラビはダイケンキと並んで眠りについていた。
「寝ちゃってる、のかな……?」
「おう寝てるぞ」
「フ、フリード?どうしたのなんか、ボロボロだけど……ってリザードンもボロボロ!?」
「ボォォォ……」
やって来たフリードとその相棒のリザードンは妙にボロボロだった。いや百歩譲ってリザードンがそうなのはまだ分かるが如何してフリードまで……それを察してかフリードが語り出した。
「いやな、力業や早業のレベルチェックと巧業の習得の為にラビとバトルしてたんだが……そりゃもうボッコボコにされてな……やっぱあいつとダイケンキのタッグはやべぇわ」
「グォォオオンッ……」
「そんなに落ち込むなっての、あいつの強さはお前だって承知してるだろ?あれだけ食い下がれたら上等上等。まあ悔しいのは俺もさ」
リコはフリードの強さを、旅やアカデミーの勉強、テラスタル研修を通じて自分のレベルとポケモンの事を知る毎に明白且つ明瞭に分かっているつもりでいる。だからフリードが並のトレーナーよりもずっと強くて、博士という視点からポケモンを研究しているからこそできる戦術を取るのも分かっている。だがそれすらもあっさり超えるラビの強さに言葉を失うが、それを察したフリードがおどけながら言う。
「そりゃ俺なんかよりもずっと強いに決まってんだろ、あいつ何年バトルの為に旅してたと思ってるんだよ。それに加えてブルーベリー学園っていうバトルの名門を飛び級、そりゃ俺よりもずっとバトルの実力は高ぇさ」
「だったら少しは俺の事を鑑みて遠慮ってもんを覚えてくれてもいいんじゃねぇか、フリード博士さんよ」
思わず吃驚してしまった、そこに居る筈なのに聞く訳ないと勝手に思っていたのかそんな声が聞こえて来たから想像以上に吃驚していた。瞳を開けたラビの姿がある、起こしてしまったかと焦ると身体を起こして骨を鳴らして声を出す。
「おっさんくせぇぞラビ」
「こちとらもう三十路越えてんだ開き直ってんだよ」
「というかよ、お前以前に増して強くなってねぇか……?全力のテラバーストを真っ向からブチ破るとか信じられねぇよ」
「だって威力的には素の火炎放射とそこまで変わらんじゃん」
「いやまあそうだけどよ……そこはほら、テラスタルまで切ってるんだから特別感っつうか……」
「それで勝てたらバトルは苦労しねぇよ、バトルは基本計算式だ」
「ったくポケモンへの信頼から来る強さとかを信じる癖に現実的な奴だ」
「俺は現実主義者のロマンチストだからな」
「矛盾してっぞ」
自分の中では憧れでしかなかった人のラフな姿、ある種ドットがぐるみんだった時のそれに近いものを感じるが、改めて自分の憧れの人も自分と同じ存在なのだという事を強く実感する。
「それに俺はこうしてることが結構幸せでな」
「幸せ、ですか?」
「またダイケンキと旅が出来るなんて夢みたいだ、こいつがこうして暢気に昼寝してるだけで信じ難い事実だ」
隣のダイケンキは未だに目を覚まさず穏やかな寝息を立て続けている、確かに良く寝ているけどと思ったが、ラビの庭の魔境具合を考えると確かに暢気に昼寝なんて極極一部の強者でもなければ出来なさそう……いやそうであればある程にあのマスコットに襲撃される。
「今の所、レビ達から連絡もないって事は
旅とは言えないような短い規模と時間の旅、最早これは旅行でしかないかもしれないが……それでも自分は良い。ブライアを護衛した時よりかは幾分か長い時間にはなるだろうと思っている。
「しかしキタカミの里で簡単にブライア先生を見つけられたらいいんだけどな……いざって時はラビ、頼んでもいいか?」
「……ぇぇぇ~……」
「すげぇいやそうな顔すんなよ……」
リコは思わず笑ってしまった、リコも分かって来た。本気で嫌そうな顔じゃない、嫌ではあるが受け入れてくれている時の顔。アカデミーでレビも言っていた。
『兄さんはね、顔では嫌そうにしながらも手を抜くことをしないのよ。特に仲が良い人の頼みは特にね、まあ一番は私たちの時なんだけどね』
『ホントレビさんってラビさんの事大好きなんですね』
『当然よ、というか兄さんは無茶をし過ぎなのよ』
「はぁっ……わぁったわぁった、いざって時は何とかしてやるが基本的に対応はお前らにぶん投げるからな」
「どんとこい、寧ろ俺達が用があるんだから俺達がやるのが当然だ」
「クァァァァ~……ケン?ケェンキ、ケェエェン」
「グォォオンッ!?」
「いや違う、違うからなダイケンキ」
漸く起き出したダイケンキは欠伸をしつつ身体を伸ばしているとリザードンとフリードを見かけて何かを言い出すとリザードンはショックを受けたようにビックリし、ラビは誤解を解くように手を振り始めた。
「おい今なんていったんだ?」
「俺達に負けたからって不意打ちか、悪テラスらしい手段だなって」
「いやなんでそうなんだよ!?というかラビ、お前もなんで分かるんだよ!?」
「えっお前分からないの相棒の言葉、えっギャグだろそれ」
「いや何然も当然の事みたいに言ってんだよ!?リコも分からないだろ!?」
「私は何となくだけど分かるよ?流石に細かくは分からないけど……」
「う~ん……」
キタカミの里の一角、写真の現像を終えてそれを見つめているサザレは撮影に成功したそれに眉を顰めていた。
「これ、明らかに可笑しいよなぁ……いやそうだよね……なんでこの時代に……」
そこに映っていたのは……殻のようなものから顔を覗かせているヌメイルの姿だった。