週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ:ヒスイアタック

漸く到着したキタカミの里、アサギ号を近くに止めてバスで里入りをしたのだが……どうにも人気が無い。普通の街に比べて人口自体は確かに少ないがこれは幾らなんでも静か過ぎる、と思っていると通りかかった御婆さんに話を聞く事が出来た。如何やら収穫祭を行っているらしいので、殆どの人は其方へと行ってしまっているとの事。

 

「んじゃ俺は……ダイケンキ、如何した?」

「……ケン」

 

収穫祭を楽しもうかと思ったのだが、ダイケンキが妙に緊張している。臨戦態勢を取っている、何かいるのか……と思った瞬間にラビもそれを理解した、何かが此方を見ているのを感じた。

 

「如何したんだラビ」

「いや……俺は以前世話になった民宿の人に挨拶してくる、そっちは収穫祭楽しんで来い」

「おう分かった、そっちも……」

 

フリードが言い切る前にラビは相棒と共に駆け出していた、フリードはその背中を見た事があるような気がした。一時期旅を共にしていた時に何度かあんな背中を……見た事が、ある気がした。

 

「フリード、如何したの?」

「いや……なんでもない」

 

 

「ダイケンキ、気配を探せ!!」

「ケンッ!!」

 

駆け抜けていくラビとダイケンキ、こんな事をしたのは何時振りかなんて考える事もなく疾駆する。多少の段差があっても飛び降りたり、駆け上がっていく。そして川辺辺りへと到達した時に周囲を確認する。

 

「付いて来てる……どこから来る……何処から―――ダイケンキ、真上にシェルブレード!!」

「ケェンッ!!!」

 

何処から来るかと気配を感じ取ろうとした時、それは遂に襲い掛かってきた。完全な死角である頭上からの振り下ろし、だがそれを真っ向から受け止めるダイケンキだが……それを受け止めた時にダイケンキは思わず声を上げて驚いてしまった。

 

「ケ、ケンッ!?」

「……ッ」

「ダイケンキテメェ腑抜けるのは終わってからにしろ!!そいつは敵だ、それで十分だ!!」

「ッ!!ケエエエエンッ!!!!」

 

相棒の声に我に返る、何をやっているんだ自分は、そして何を考えた、いい加減にしろ、終わってから出来る事は終わってからすればいいんだろうに!!そんな自分に苛立ちながらも振り抜いた一撃で相手を吹き飛ばした。空中で回転して勢いを殺しながらそれは着地した、でもダイケンキを責め切れないのも事実。

 

「全く……またあの二柱絡みか、有り得ない事が起きてる……数奇な巡り合わせだな」

 

そこにいたのは紛れもないダイケンキ、だが野生のダイケンキならば有り得ない事をした。それは堂々たる不意打ち、ダイケンキは野生であっても自身の名誉の傷が付く事は可能な限り避けて正々堂々勝負を挑んでくる。だがそれをせずに倒す為だけに特化したような戦術を取って来た。貝殻の鎧が黒色に変化し、禍々しい赤色の模様が入っており騎士や武士を思わせるそれからは邪悪な鎧を着込んだ黒騎士のような印象を受ける。

 

「手合せ、願えるとは思わなかったぜ……ダイケンキ―――ヒスイの姿」

「……ケェェェン」

 

そこにいたのは最早見る事も叶わぬ絶滅種、ヒスイポケモンの一角たるヒスイダイケンキ。それが何故此処に居るのか、その理由はあるとすればてらす池しかないだろうが……その真偽を確かめるのは今ではない。

 

「これこそ時を越えた出会いって奴だダイケンキ、勝つぞ」

「ケンッ!!!」

 

アシガタナを構え直して臨戦態勢に入るダイケンキ、目の前の存在が何か分かった、ならば後は勝つのみ。それだけでいい、ヒスイダイケンキもそれを察しているのかアシガタナを逆手に構えた。それもヒスイの姿の特徴の一つ、そして踏み出そうとした瞬間にヒスイダイケンキがより一歩速い踏み込みで切り込んできた。

 

「回転受け!!」

 

神速の太刀筋、無数に差し向けられる斬撃をダイケンキは高速スピンが如く回転しながら全てを受け切った。が、直後に跳躍から更に数を増した無数の斬撃が襲い掛かってくる。再度回転受けで全てを弾くのだが―――

 

「入られたッ!!」

「ケッ……ンンンンダァァァ!!!」

 

跳躍からアクアジェットで加速し、即座に解除して懐に入り込んでサイコカッターを炸裂させた。回転受けの回転の終わり際に合わせてきている、一度見ただけで弱点に気づかれた。しかもサイコカッターの威力が異様に高い。

 

「ダイケンキ一切の油断を捨てろ!!こいつは手練れだ!!メガホーンッ!!!」

「ケエエエエンッダアァァァァ!!!!」

「―――ッ!!!」

 

懐に入ってくれたのはむしろ喜ぶべき事、これならば即座に技を当てられると言わんばかりに巨大化させた角で頭部を殴り付ける。吹き飛びながらも一瞬で体勢を整えて着地する姿にレベルが酷く高い事を理解する。

 

「こいつ、自分から飛びやがった……判断が早い、自分に何が出来て出来ないかを完璧に把握してやがる……」

「ケンッ……」

 

渾身の一撃のつもりだったが簡単に体勢を整えられた、バトル慣れしているいい証拠だ。加えてこいつは特性が夢特性の切れ味個体、それも確りと理解している節がある。これは―――

 

「ダイケンキ―――」

「ケンッ」

 

突如、指を鳴らした、そしてラビとダイケンキの雰囲気が変わる。ヒスイダイケンキも姿勢を低くして観察を怠らない、何か切り替えのスイッチのだっただろうがこれから何が起きる、何をするのだと構えていると遂に動き出そうとしたダイケンキへ自らの秘剣を繰り出そうとするのだが……

 

「ラ、ラビッ!!!」

 

誰かの声が聞こえて来た、それを見て形勢不利と見て川へと飛び込んで一気に逃げていくヒスイダイケンキ。それを見て深く深く息を吐く二人は声の方向へと目を向けてみた、そこには心配そうな顔をしたサザレがいた。

 

「だ、大丈夫なの!?収穫祭の写真撮りに行こうとしたなんかバトルしてる音が聞こえたから、見に来たら……!!」

「ああ大丈夫だ、形勢不利と見るや否や即時撤退か……いやそもそもが逃げるタイミングを狙ってやがったな」

「ケンッ……」

「でもホント良かったよ怪我無くて……私さ、あのダイケンキが偶然バサギリと斬り合ってる所を写真に撮ったからラビに知らせなきゃって思って……」

「おいおいおい、バサギリまでいんのか?」

「それだけじゃないの」

 

そう言いながら見せられた写真に思わず頭を抱えたくなった、何故ヒスイヌメイルがいる……もうタイムマシンは止まっている筈だし時空間に罅は入ってない筈……それとも時空の狭間が自然発生したのだろうか……

 

「こりゃ、のんびりって訳にもいかなくなったな……最悪、此処にディアパル降臨案件だぞこりゃ……」

 

そう言いつつも相棒の口元が上がっているのをダイケンキは見逃さない。ワクワクしてるじゃないか、まあ自分も同じだが……あの秘剣を完成させられるかもしれないという期待感がダイケンキを沸かせていた。

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