週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ:てらす池の異変

この神代の時代、というには時代が近いが今よりもずっと神と呼ばれるポケモンとの距離は近かったことは間違いないだろう。そんな時代からやって来たヒスイダイケンキ、この地に来た時にいた場所までの案内を頼んで今はその後を追いかけている状態。

 

「それにしても……なんか雰囲気がやっぱり違うね、バクフーンと」

 

その後姿を写真で撮るサザレ、撮られている側は何をしているのかと首を傾げつつももしかしてあれはカメラなのか?あんな小さい物なんてあったか?と言いたげだ。

 

「やっぱ本場との差って奴があるのかもな……」

 

纏っている物が違う気がする。バクフーンのそれは四災の復活に呼応したものであって本家とは随分と違う、言うなればヒスイの姿ではあるが実質的にはこのパルデアの姿と言っても過言ではないので本家ヒスイポケモンとは何かが違う感覚があるのも当然と言える。

 

「ヒスイさん、此処に来るまで何をしてたとか分かるか?」

「ケ~ン……キァァイ」

「特に何もしてない、相棒といつもの日課をしていただけっすか」

「でも実際何が原因でこんな事になっちゃったんだろうね」

 

真っ先に考えられるのがディアルガ関連、ヒスイの時代は特にディアルガとパルキアが人間と近い距離間にあった時代なので考えられない事ではない。それかその上の存在が関与しているのか……それとも此方側でなにかあったか。

 

「でも、どうやって元の場所に戻してあげればいいんだろ……」

「そこだよなぁ……なぁサザレ、家に伝わる本納の舞とか神呼びの呪文とかねぇの?」

「いや私の家をなんだと思ってるの!?」

「ディアルガ祀ってた一族の末裔」

「いや合ってるけどさぁ!?」

 

現代基準では十二分以上に神と関わっているラビだが、だからと言ってディアルガを呼び出せるなんて事はない。一応加護を受けている事は把握しているがそれがどんな効果なのかもしれないので何とも言えない。本気で願ったらテレパシー回線が通じるとかあるのだろうか。

 

「いざって時はまあ……何とかするしかねぇな、幾らなんでもタイムマシンを再稼働なんてさせたらマズいし……ンな事して呼び出す訳にはいかないし」

「いやそれ絶対怒られる奴……」

 

某脇巫女が隙間を呼び出す時の方法を使えないかと思ったが、ガチの神相手にそれをやるのは勘弁願いたい。というか、此処からパルデアに行くのが嫌すぎる……やらざるを得ないのならばやるが……。

 

「あれ、この先って……やっぱりてらす池に向かってるよ」

「あそこかぁ……」

 

ある程度目星をつけていたのだが……やはりてらす池だったのか、となると……また面倒事に発展しそうだから嫌になる、いや既に面倒事ではあるのか……。

 

「感覚、麻痺してんなぁ……」

「なんだかんだでラビも大冒険してるもんねぇ……」

「直近がね、やべぇのよ。神を二体相手どればどんな苦境だって涼しく思えるのよ、不思議とね」

 

ヒスイダイケンキは聞き耳を立てているが、この男は何を口走っているんだと言いたくなる。神と会った?しかも戦った?妄言も大概にしておけ、相対したのであれば命はない、それが神という存在なのだ。シンオウ様もきっとそのような……

 

「ケン」

「キッ?」

「ケェエン、キケェエンダェン」

「……ケ、ケンッ」

「ケッダァエンキ」

 

ラビのダイケンキからの言葉は単純だった。相棒は噓を言わない、俺はその場にいなかったが実際に戦って認められていると言った。それにヒスイダイケンキは何を世迷言を……と返すが、即座に鼻で笑われてヒスイもその程度かと馬鹿にされた。が、直後にラビに頭を叩かれる。

 

「馬鹿な意地の張り合いをしてるんじゃないの、現在(俺達)過去(ヒスイ)とじゃ神に対する距離感って奴も違うんだよ。相手の事情を理解できずにいるのはカッコ悪いぜ」

「……ケン」

「ケ、ケェン」

「分かればよろしい」

「いや私は全然分からないんですけど」

 

ラビは長年の付き合いでダイケンキの事は声色や長さ、高さ諸々を踏まえて何が言いたいかを完璧に理解出来る。ヒスイダイケンキもその応用をしている、これだけでも十分に可笑しい事ではあるのだが……一先ずラビのダイケンキはヒスイダイケンキに謝ってそれを了承して貰えた。

 

「さてと件のてらす池に到着……って何だこりゃ……?」

 

漸く到着したてらす池だが……そこにあったのは奇妙な光景だった。てらす池は元々池の中にテラスタルの結晶が無数に存在しており、文字通りそれらが池を明るく照らしているのだが……てらす池の結晶の色が完全に色褪せていたのである。不思議と命の気配がまるでない不気味な雰囲気が周囲を飲み込んでいた。

 

「何これ……てらす池がまるで……」

「死んだみたいだな……ヒスイダイケンキ、本当にここで間違いないのか?」

「ケ、ケェン」

 

如何やら間違いなさそうなのだが、ヒスイダイケンキの様子を見る限り来た時はこんな様子ではなかったことが窺い知れる。一先ず調べようとしたのだが……そこにある人物がいて思わずげんなりした、元担任のブライアだ。行きたくないがヒスイダイケンキの為だと思って前へと進む……というか、ゼイユは如何したんだろうか……。

 

「ブライア先生、アンタ此処で何をやっているんだ。まさかこれ、貴方のせいとかじゃないよな」

「ラ、ラビ突然現れて何を言い出すんだ⁉私は迂闊で不注意でうっかり屋だが、流石にこんな事はしないぞ!?確かに改めててらす池の調査をしようとはしていたが、まだ水を採取しただけだ信じてくれお願いだ!!これまでの事もあって難しいだろうけど!!」

 

必死に弁解するブライア、どうやら今回はブライアが原因ではないらしい。というか、それだけ自覚しているなら改善してほしいものだ……とため息が出る。

 

「ンで、研究者としてはこのてらす池の惨状は如何思います?」

「推測の域を出ないのだが……池内部のテラスタルが内包しているタイプエネルギーが極端に低くなっている、その事が関係しているのだと思うが……これを見てくれるか?」

 

そう言いながらブライアは持っていたノートPCを見せて来た、そこには先程ブライアが調査したと思われるデータが出力されている。

 

「エネルギーは低くなっている、だが同時にテラスタル結晶の密度が極端に上がっている」

「つまり……テラスタルのエネルギーが圧縮されている?」

「何とも言えない、としか説明のしようがない。私も初めての事象だ……ゼイユに過去のてらす池について聞けば何か分かるかもしれないが……」

「そういえば彼女は?」

「……すまない、早くここまで来たくて何時の間にか振り切ってた……」

「パートナーポケモンいないのに無理しすぎだと思うんだが」

 

が、ブライアは何故か大きい胸をより大きく張った、大きく揺れるそれにサザレはラビが見惚れていないかを見るが、ブライアにはそういう物を一切感じないのか微動だにしていない。そんな彼女はモンスターボールを取り出した。

 

「遂に、私も、パートナーポケモンを、見つけたのだよ!!さあ出ておいで!!」

「リグググ」

 

出て来たのはブレインポケモンのリグレーだった、ブライアは大事そうに抱きながらも更に胸を張る。

 

「どうだラビ!!私も遂に相棒を見つけたぞ!!」

「はいはい凄い凄い、普通の子供が平然とする事が大人になって漸く出来て凄い凄い」

「……馬鹿にしてるな?」

「してないしてない、本当に凄いと思ってるよ。あんだけの酷い目に遭ってきて漸くですから」

「……リグレー、教え子が私をいじめる……」

「リグリグ」

 

拗ねるブライアの頭を撫でてあやし始めるリグレー、なんというかこれは……良いのだろうかと思わず思い始めた時の事だった。突如、てらす池の結晶が再び輝きを灯し始めた。

 

「な、なんだ⁉急激にてらす池のテラスタルエネルギーが上がっている!?こ、これは―――全てのタイプエネルギーが観測出来るぞ!?」

「実質ステラじゃねえかそれ!?とにかく引く――――」

「ブ、ブライア先生!?」

 

刹那、そこにはブライアの姿はなかった。周囲には濃い霧が立ち込めていた。まるでミルクを零したかのような深い深い濃霧、サザレの手を強く握りながらダイケンキに指示を飛ばして警戒態勢を敷かせる。ヒスイダイケンキもそれに同調して構えを取る、何時何処から敵が来てもいいように……そんな時だった、霧の向こうからボンヤリと何かの影が見えて来た。

 

「ラ、ラビッ……こ、これって……」

「分かってる、ダイケンキ油断するな」

「ケンッ!!」「……ケンッ!!」

 

その影は未だ不鮮明、だが此方へと迫って来ていた。そしてその影から飛び出したのは―――

 

「ぬめぁわぁぁぁぁぁ!!!!」「ブッサシィィィィッ!!!!」「ぐるぁぐるぁあっ!!!!」

 

爛々と瞳を赤く輝かせるヒスイのポケモン達だった。

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