週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ:ヒスイを求める

まず抱いたのは酷く疲れてみすぼらしく見えるが、それが矛盾している印象だった。纏っているものは薄汚れているが何処か神事に用いられる衣装のように映り、まだ輝きを灯しているかのようだった。そしてラビはこの男の事を知っている、勿論男は此方を知らないだろう。いや自分は有名だから知ってるだろうが、そういう意味合いではない―――この男は、ヒスイの時代を生きた人間。

 

「……ははっおやおやこれはこれは……まさかヒスイダイケンキだけではなくまさかまさかのセキ殿までおられるとは……いやあの男の子孫かな、コンゴウ団の末裔がこの場に居合わせるとは何たる事か」

「セ、セキ様の事を知ってる……!?それにコンゴウ団の事も……」

 

サザレからしたら自分のルーツと言っても過言ではないそれを把握している事が余りにも奇妙だった。ヒスイの事ならばまだしも、コンゴウ団の事になると妙な事になってくる。

 

「クククッ……それにしても現れた親分ポケモン達、これは俺への当てつけか……くかかかかっ……ゾロアークではなくウォーグルと言う辺りが実に私を小馬鹿にしているなぁ……」

「おい、この際お前が何処の誰で何者なんて事はどうでもいい事だ、ハッキリ聞くが……ヒスイのポケモン達がこの時代にいるのはお前の仕業か」

「―――ええっそうですよ、俺がやったよ、やったんですよ」

 

酷く愉快そう(忌々しそう)にしながら、髪をぐしゃぐしゃと乱しながらも歪んだ笑顔を浮かべている。何かしらの目的がある、というよりも八つ当たりや憂さ晴らしが目的のようにも映る。

 

「俺には目的があった、それを達成する為には何年、何十年、何百年と掛かろうともそれを遂行してやるという意思があった、覚悟もあった―――だがどれだけ丹念に調べて、準備をしても、試行してももう全てが手遅れだった……ああっそうだ、あの時こそが私にとっての最初で最後のチャンスだったんだよ……」

 

虚ろな瞳には混濁した光が渦巻いていた。希望はあった、望みもあった、だがどれだけ手段を尽くしても手に入れたかったものへは手が届かない。あの時こそが真の意味で星辰が揃う完璧な時と場所だった。それを知った時、目の前が真っ暗ではなく真っ白にもなり、足元が崩れるような感覚を味わう事になった。

 

「そして私はテラスタルの事を知った。かの神、ディアルガの権能にも届く力を秘める超自然の力の結晶は時を跳躍出来ると……だが……無理だった」

 

過去から現代へと幾らかの要素を引き寄せる事は出来ても、此方側から彼方側へと渡る為の重要な何かが欠損している。望んだそれは果たされぬ処か、忌々しい記憶を呼び覚ますポケモンを此方側へ呼び込む結果にしかならなかった。

 

「過去の、ヒスイの時代に行く気か。やめとけ、時と空間は神の領域だ。痛い竹箆返しが来るぜ」

 

実物を見たラビはその力と存在感を未だにはっきりと覚えている、過去から未来ならまだマシかもしれないが現代から過去に行く、そして明らかに何かをする気ならばディアルガが黙っているとは思えないからだ。

 

「それならそれで、諦めも付くんだよなぁ……私は、諦めるに値する何かを求めているのかもしれない。もう叶わぬと分かっていても求めずにはいられないそれを完全に絶つ事の出来る何かを……求めてしまう、まだきっと何かある筈だ、何処かに私の思いを受け止める何かが、全てを果たしてくれる場所がある筈だと……!!世界は広く、歴史は深い。俺が止まるには、まだ何かが足りないとそう思ってしまうのはいけない事かね?」

「だったら―――少しは自分を見てみろ、ヒスイを越えて、悪足掻きを続けキタカミの里への征路ご苦労様。だがな……既にお前は終わってんだよ、お前は既に止まってる、諦めている、それに気づけてねぇアンデッドだ」

 

そっとその手に握った現代のモンスターボール、自分にはこの男の苦しみは分かるようで分からない。ごく浅い部分でのみ理解は出来るそれだけでしかない。

 

「いい加減に成仏しろよ―――古代シンオウ人の末裔、ウォロ」

「―――貴様、何故、ワタクシの名をっ……」

 

パトソールではない、真の名前を告げられた時、男の瞳に僅かな希望の光が灯された。自分の知らない何かがそこにあるのでは、これで自分の望みが叶うかもしれない、また絶望が待っているかもしれない、だから如何した、と絶望の可能性など振り切って前へと突き進もうとする男にラビはボールを構えた。

 

「俺は描く者ラビ、ディアルガとパルキアと一戦交え、時の加護を受けし者。そしてコンゴウ団の末裔サザレと契りを結びし者」

「―――ハッハハハハハハハハハハッアハハハハハハッ!!!!過ぎ去りし時を追い求めている私が巡り合ったのはディアルガを信奉する集団の末裔と時の加護を受けた描く者!!!なんたる出会い、ワタクシは、まだっアルセウスに辿り着ける可能性に見放されてはいなかったぁぁぁ!!!!」

 

血走った瞳が更に混濁した光が灯った、まるで……親分ポケモンの光のようだ。

 

「ならば、貴様らで時を抉じ開け、あの時に戻るだけの事!!そうすれば、ワタクシは、ワタクシは……あの時へ、あの時に、戻れる!!!」

「やれるもんならやってみろ、その気があるならな!!」

 

古代シンオウ人の末裔

ポケモン使いのウォロが勝負を仕掛けてきた!!

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