週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ:止まれぬ使い手

ドラピオンとは仲が悪い、上手く信頼関係を築けていないと思っているラビだがバトルにおいてはそれはない。通常時のそれとバトル時は全く別と言わんばかりにドラピオンはラビの指示を確りと聞く。ミサイル針の豪雨を突き破って来たトゲキッス、エアスラッシュの乱打にも耐えて痺れを切らした神速を待っていたとドラピオンにトゲキッスを捕獲させた。

 

「離すなドラピオン、そのまま締め上げ続けろ!!」

「ドラァァァァァッ!!!」

 

自動車すらスクラップにするドラピオンのパワー、それがトゲキッスをギリギリと締め上げていく。トゲキッスは爪から染み出している毒が効き始めているのか苦しげな声を漏らし始めた。

 

「こうなったら、地面に向けてゴッドバード!!強引に剝がせ!!」

「キ"……スァァァァァァ!!!!!」

 

燃えるようなパワーを全身に滾らせ、一瞬青い炎と化すとそのままの勢いで急上昇からの急降下。真っ逆さまに地面へと向かっていった、これは明確な信頼関係がなければ出来ない芸当だ。ブレイブバードどころではない反動ダメージ覚悟のそれはポケモンにもそれに応じる覚悟がなければ決して実行出来ない正しく決死行。

 

「ドラピオン―――聞くまでもないな、そのまま確実に締め落とせ!!」

「ドラァアアアアアアア!!!!」

 

以心伝心だった、とサザレはそれを語った。アイコンタクトもせず、思念が互いを繋いでいる、正しく以心伝心以外に表現方法を持たない。探せばあるのかもしれないが自分の貧困なボキャブラリーでは見つけ出せなかった。そしてドラピオンもトゲキッスに負けない覚悟があった。

 

「ゲェェェェエエエエ!!!」「ドラァァァァァァアアア!!!」

 

互いのプライドの激突と言っても過言ではない、相手を倒す事が最早目的ではなくなっていた。単純に、こいつに負けたくないという思いだけが身体を突き動かしていた。そして、遂に……轟音と共に両者が地面へと達した。

 

「ドラピオン!!!」「トゲキッス!!!」

 

同時に声が上がる、煙の中ではゆっくりと立ち上がりながらも翼を、鋏を向けて威嚇をしあっているドラピオンとトゲキッスの姿がそこにあった。だが両者ともに全く動く事が無かった、それを見て互いにボールへと戻した。

 

「有難うなドラピオン、お前のお陰で一番厄介そうなやつを仕留められた」

「……最初からか、最初からトゲキッスと相打ちにさせるつもりだったのか」

「相打ち狙い、可能であれば倒すと思ってただけだ。そいつの厄介さは身に染みてるからな」

 

そう思わせるだけの存在感を自分のポケモンから感じた、と思うと自然と頬が緩んだ。何故なのか、と思う中でラビが問いかけた。

 

「おいウォロ、アンタ過去に行くつってたが……行ってどうするつもりだ、行った所で何も変わらない所かより酷い結果にだってなり得るんだぞ、最悪の場合は時の狭間の中で全てを失うぞ」

「その方が私には幸せだ……いや違う、あの時にさえ戻れば全てが報われる!!ヒスイの時代こそが、ワタクシに、俺に、私にとって全てだったんだ!!!戻って、ワタクシは、私は、俺は……」

 

その時になって、ウォロの声は急激に小さくなっていった。戻って、戻って自分は……何を、するのだ?またアルセウスに挑むのだろう、それなのにその言葉が何故出てこない?あの時に戻れば自分は挑める―――

 

「何故、何故俺は今……」

 

疑問を抱いた、挑めるのかなんて考えた事もなかった筈じゃないのか、その為にこの事変も起こした筈だろう……!?ならば何故―――今、自分の頭の中が真っ白になった!?

 

「仮に俺に勝ってヒスイに行けたとしても、お前は何も出来やしねぇよ。お前は自分で認めてんだよ、自分で口走ったこと忘れたか」

「黙れ……」

「未練がましくしがみ付くのもいいが、いい加減に認めろ」

「ルカ、リオオオオオオオオオオオッ!!!!ガブリアスゥゥゥゥゥッ!!!!」

「……クオン」「ンガァァアブゥキラァ……」

 

現れたのは全身に無数の古傷が走り、手の甲にある筈の棘状の突起は擦り減っているのか丸みを帯びているルカリオ。そしてルカリオ最大の特徴と言っても過言ではない耳にも見える黒いそれが、一房無くなっていたのだ。隣に立つガブリアスも夥しい程の傷、抉られたようにも見える古傷もあり壮絶な戦いを潜り抜けたのを思わせる。腕や背中の鰭にも傷がある、が千切れそうではないかと思う程に深い深い切れ込みがある。

 

「黙らせろ、俺を惑わせる愚か者を、消せぇぇぇぇ……!!」

 

声が枯れるほどに叫ぶ姿にサザレは何故か胸が締め付けられた、それはルカリオとガブリアスも同じなのか何処か辛そうな表情を浮かべながらも此方に構えを取った。長い長い時を共にしてきたのだろう、主に思う所はあるがそれでも忠義を尽くす姿にラビはダイケンキのボールともう一つを手に取った。

 

「その気になら幾らでも付き合ってやるよ、だけどな……生憎、テメェなんてあいつらとのバトルロイヤルに比べたら迫力不足だ!!バクフーン!!!ダイケンキ!!!」

「バグゥゥッバグゥ♪」「ケッ!?ケ、ケンッ……!!」

 

最後の一体はヒスイバクフーン、ダイケンキは隣に立ってご機嫌な彼女を見て一瞬言葉に詰まるが直ぐに気を取り直した。相手はルカリオとガブリアス、自分がいつも相手をしている片割れとラビを色んな意味で狙っている甘噛み魔の同族、そう思うと全く油断が出来ない。だが相手達はバクフーンを見て驚きつつも何処か懐かしさを感じて微笑んでいた。彼らにとっても本当に久しく見る姿なのだろう。

 

「バクフーン、ダイケンキに合わせる事だけを考えろ。戦術は俺が考える、お前は愛する旦那がやりたい事を全部感じて、俺が出すオーダーをこなせばいい」

「バグ!!」「ケンッ!?」

「お前もいい加減に腹括れよ、悪くないと思ってる癖に。さてウォロ、進むも引くも出来ずにただ我武者羅に戻ろうとするポケモン使い、決着をつけようじゃねぇか……お前が望んだヒスイの技とポケモンでお前を断つ」

「ッ―――ぅぁ……波動弾、龍の波動!!!」

「火炎放射、ハイドロポンプ!!」

 

言葉にもならぬ呻きを上げながら、叫ぶように指示を出すウォロに付き従うルカリオとガブリアス。それらを迎え撃つバクフーンとダイケンキ、それらを何かが見つめていた。濃霧の奥からそれは……静かに見据えていた。

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