週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ:心の奴隷

「シェルブレードで受け流し!!」

「ケェエンキッ!!!」

「バクフーン鬼火!!」

「バグゥゥゥッ!!!」

 

ドラゴンダイブで突っ込んでくるガブリアス、それをシェルブレードで受け流す。音速の領域に到達している筈のそれを、ソニックブームにも怯む事も太刀筋が揺らぐ事もない柔の刃で完璧に受け流すとその真正面には鬼火の壁があり、そこへとガブリアスは衝突し全身に火傷を負う。

 

「ルカリオ、力業で波動弾をぶちかませぇ!!!」

「ルゥゥゥゥウウウウッ……!!!」

 

両の手がまるで砲門の役目を果たすかのように波動を集中させていく、波動弾とは名ばかりの尋常ではないエネルギーの収束、それを見たラビがかのZ戦士を連想したのはきっと悪くない。ダイケンキが刀を構えるがその前にバクフーンが立つ。

 

「バクフーン―――素早く、鬼火!!!

 

刹那、バクフーンの身体から溢れた火の粉が爆ぜると火の玉へと変じた。それはまるで悪霊のような姿の形を取りながらも弾丸のように浴びせかけていき、ルカリオの身体にも火傷が浮かび上がる。だが波動弾は止められないぞと言わんばかりの表情だったが、即座にしまったと言わんばかりの顔をした。

 

「分かるが、だが遅い!!力強く、百鬼夜行!!

「バァァァァッ……グゥゥゥウウウウフウウウウウウウウンッ!!!!」

 

先程と同じように火の粉が爆ぜる。だが今度は爆炎の規模が段違いだった、バクフーンの頭上、左右、後方全てに特大の爆炎の塊が出現した。それを見たダイケンキはバトルで致命的な隙になるかもしれないのに吃驚していた。そんな姿に微笑んでいると遂に発射された波動弾、集めたそれを片手から一気に発射された。

 

「やれっ!!」

「バグゥゥウンッ!!」

 

爆炎の悪霊はバクフーンの言葉と共に突撃していく、がそれは波動弾とぶつかり合う前に一つに融合して地獄の業火にも見えるような地獄の悪鬼と化して波動弾を飲み込んでしまった。ゴーストと格闘タイプの相性は最悪、ゴーストは格闘を無効化する、それがどんな威力であってでも。

 

「クッ……オオオオオオオオオッ!!!!!」

「ルカリオ!?」

 

片手撃ちのそれに片手にある技を収束させた、それは徹底光線。それを波動弾に混ぜながら撃って来た、鋼タイプが混ざる事で格闘の無効が機能しなくなってそのまま迫って来る。それどころか、百鬼夜行を押し込み始めている。レベルの差もあるが、百鬼夜行自体の威力は低い。肝心のダメージ倍効果も相手が状態異常になっていて直撃した時に発動する……指示を飛ばそうと思ったら、ダイケンキはそれよりもずっと早く駆け出していた。

 

「ガアアブァァ!!!」

「ッケエエエエエエンッ!!!!」

 

背後から嚙み砕くを繰り出したガブリアス、ジャンプで回避しつつもアシガタナを抜刀しその背中を十字に切り裂いて動きを止めると波動弾と徹底抗戦の狭間へと突撃した。それと同時に角が黒く染まり、振り抜いた刃は秘剣・千重波とシェルブレードの同時技。それは一瞬、技を完全に断ち切ってみせた。

 

「バグアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

 

一瞬だけで十分、バクフーンの叫びは何処までも勇ましく力強かった。更に放たれたそれを受けて地獄の王と化したそれは完全にルカリオの技を抑え込んで飲み込んでいった。

 

「クオオオオオオンッ……!!!」

「ガァァバアアアッ!!!」

 

吹き飛ぶルカリオを救ったのはガブリアス、全身を火傷とシェルブレードを受けて自身も相当なダメージを受けている筈なのに駆け出してルカリオを身体で受け止めた。地面を身体で削りながらも受け止めたガブリアスは必死にルカリオを助け起こしながらも自身も立つ、ルカリオもガブリアスを支えながら立ち上がった。

 

「いい根性してんじゃねぇか……おいウォロ、こいつらは立ったぞ。お前はいつまで―――そうやってるつもりだ」

「何、を……っ!?」

 

気付けば、ウォロは腰砕けになっていた。自ら敗北を認めているかのように座り込んでしまっていたのだ、如何して、ワタクシは座った覚えなどないぞ、私は勝っていないぞ、俺は負けていないぞ、そんな思いが渦巻く中で頭の中はぐちゃぐちゃになっている。

 

「お前は既に認めてるんだよ、もう諦めてる。ただそれを認めたくなくて、信じたくなくて、そんな自分が嫌で過去に戻りたいだけだ」

「ちがっ、違う……」

「鎖で雁字搦めになっている自分がどうしようもなく嫌で、そんな自分を終わらせたくて、それでも自分の求めたものに手が伸びてしまう自分が嫌いで」

「ぁぁぁっぁぁぁぁああああああっ……!!!」

 

やめろ(そのまま)それ以上を言うな(言ってくれ)お願いだ(やめてくれ)まだ行かせてくれ(終わらせてくれ)こんな自分が嫌だ(まだ何かが……)戻れさえすれば(もう疲れた)あの人に会えさえすれば(会いたいよ……)

 

大粒の涙が溢れ出し、頭を抱えるように呻くウォロ、此処までくると痛々しくてしょうがない……そんなウォロを守らんばかりに叫びが上がった。

 

ガブラァァアアアアアアアアッ!!!!

クオオオオオオオオオオンヌ!!!!

 

ガブリアスとルカリオが叫んだ、ウォロを傷つけるな、これ以上は絶対に許さんと言わんばかりの気迫を感じる。それに思わずバクフーンはたじろぎ、ダイケンキは更に鋭い視線を作った。

 

「ポケモン使いのウォロ。お前のポケモンはお前を守る為に、お前の野望を叶える為に、此処まで身体張ってんだ、トレーナーとして答える義務がある」

「ワタ、し、わタくシはトれーナーでは……」

「ポケモン使いだが知らねぇが敢て言わせて貰うトレーナー、今のお前は心の奴隷だ」

「ど、レイ……?」

 

虚ろな瞳のウォロに対してラビは言い切った、この男は確かに壊れかけている。いや全体に罅が入って何かの拍子に崩壊する、その何かを求めているのが今のウォロ。

 

「野望を求める欲望の奴隷、自分の夢を破壊の奴隷、自分を終わらせたい自壊の奴隷」

「奴隷、オレが……」

「お前は何時まで心に囚われてるつもりだ、心の奴隷ではなく心の主人になれ。それ位出来なくてあの邪神に会おうとするとか無理に決まってんだろ」

「―――ッ……ぁっ……」

 

立ち上がろうとした時、足に力が入らず倒れ込みそうになった。眼を瞑ってしまった、だが痛みはない、何故……もう動けなくなっていた筈のトゲキッス、ウインディ、フシギバナ、ミカルゲが、自分の意思でボールから出て自分を支えていた。

 

「お、お前達、どうして……ボールの中で休んでいろ、出ないと、ダメだ戻れ!!!」

「バァアナァッ!!!」

 

突如として声を荒げるウォロにフシギバナが否定するように声を上げる、蔓の鞭で必死に身体を支えながらもウォロが座れるように身体を差し出している。それをやめろとウォロが言ってもやめない、ウォロの瞳は恐怖と不安で染まっていた。

 

「お前にはいい仲間がいる、だったら主人になるのも簡単だ」

「……何を……」

「それを望んだ存在がいる、この空間を生み出して高みの見物と洒落込んでる存在が。いい加減に姿を現したらどうだ……第三の神」

 

刹那、白い濃霧が黒く染まり闇へと変貌する。

 

「な、なにっ何々何が起きてるの!!?」

「ケ、ケンッ!?」

 

サザレは思わずラビに抱き着き、ヒスイダイケンキは最大限の警戒を抱いた。これを知っているかのように。そして闇はより深く濃くなっていき……その奥の奥、深淵を赤い光が切り裂いて、それが姿を現した。

 

「ビシャアアアアアアアアアアアンッッッッ!!!!」

 

ボロボロの影のような翼を携えながらも、太く重々しい六本の脚で闇を踏みしめる。金色のそれはまるで鎧にも見える……シンオウの伝承にも全く姿を見せないそれは隠され、禁断の存在とも言われる事がある。事実としてはそれは相当な暴れ者だったが故、創造主によって世界の裏側へと追放されてしまったシンオウ神話における第三の神、ギラティナがその姿を現した。

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