週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ?:ゲストトレーナー

「今日は態々お時間を作ってくださり有難う御座います」

「此方としては前以てのお手紙から始まり、メール、電話を通じて順序を踏んでアポを取ってくださいましたからね。それほどまでの相手を邪険にする気にはなれません、皆が貴方のようにしてくださると私としては庭で昼寝が出来る程度には穏やかに過ごせるんですけどね」

 

その日、ラビは以前から来客希望を出していた人物を迎えていた。こういう人物は多い、自分が珍しいポケモンを多く所有しているので交換希望やら単純な有名人と会いたいという欲求だったりとそんな人間が多い中で彼は長文の手紙からスタートし、そこで自分がずっと配信を追っていて、そこの情報で感銘を受けたり、そこからパーティを組み直したりしている事を伝えてきた。そしてそこからラビが手紙は大変だろうからメアドを教えて其方でやり取りをし、向こうからラビの都合がいい日に伺ってもいいかという希望を提出してきたのでラビ的には有難い客であった。

 

「正直な話、興味があるからって電撃訪問する人が多くて此処までしっかりとアポを取られてこられたのは初めてですよ」

「恐縮です」

「いえ、歓迎しますよ―――シンジさん」

「シンジで構いません」

 

ラビの元を訪れて来たのはポケモントレーナーのシンジ、勿論彼の事は知っている。ポケモンバトルに関する考え方に多大な影響を与えただけではなく対抗心を燃やしたライバルとして激しく対立した関係。未だにサトシ史上最高のバトルと名高いシンオウリーグの戦いは語り草になっている。

 

「それで今回の来訪は、例のご用件で来てくださったという認識でよろしいでしょうか」

「はい。バトルをお願いしたく、やってまいりました」

 

矢張りというべき返答が返って来た。シンジのトレーナー性はアニポケとしては極めて異質に映るようなものだった、言うなれば現実でゲームとしてのポケモンをプレイしている自分たちのそれに近い。ポケモンを複数ゲットして能力値の高い個体を厳選しそれ以外を逃がす、自分の要求するレベルでなければ逃がすか交換に出す、当時はかなり賛否両論だったのも思い出せる。それらは全てバトルでの結果に直結している為でもある。勝つ為に努力を怠らないトレーナーがシンジ。

 

「複数リーグでの好成績、チャンピオンズリーグへの出場経験複数回、チャンピオンとのバトル経験も複数、そして並外れたポケモンへの知識を持つ貴方とバトルを行いたい」

「買い被り過ぎですね、ただの敗残兵です」

「仮に、敗残兵だとして何故貴方は四天王やチャンピオンから推薦を受けられる立場にいるのか。それは貴方の実力が証明されている事に他ならない、何故推薦を蹴るのですか」

 

此方を見据えて来るシンジ、そしてその言葉には寸分違わぬ自分への敬意が込められている。正直言って光栄といえば光栄なのだが……

 

「貴方はガラルリーグチャンピオン、あのユウリのエキシビションマッチでも2対0で勝ってみせた。貴方の実力は確実にハイパーボールクラスでも上位に食い込んでいる、下手をすれば……」

「私は今に満足しています、イラストレーターとして過ごして時折バトルをする、それで私はもう満足出来ている」

「……では正直な事を言います、俺は四天王のオーバさんから依頼を受けてきました」

「……」

 

ラビはメブキジカの葉で作ったお茶を飲みつつもあの赤アフロ野郎……と内心で毒づいた。徹底的にメタと対策を用意して6タテしてやる……と誓いつつも真剣な顔をし続けているシンジを見る。

 

「貴方の中に燻っているバトルへの情熱に火をつけて欲しいと」

「……随分と好き勝手な事を言ってくれますね、あの赤アフロはそんなに偉くなってましたかねぇ……今度シロナさんを通じて抗議入れてやる」

「オーバさんは、貴方との全力のバトルをまた望んでいる。俺も、その気持ちは解るつもりです。今もエレキブルと共にゴウカザルに勝つ為のトレーニングを欠かした事はない」

 

その言葉に思わず口角が上がりそうになるのを必死に抑えた。あのエレキブルはゴウカザルに勝ちたいと願っているのか、いじらしいじゃないか。だがそれをオーバが言うのか、自分に勝ったあいつが、負けた側が言うならばわかるが……あいつは勝ったじゃないか、自分の全てを賭けて投じた戦術を越えて行ったやつが何を言うのか。

 

「今のあなたは確実にあの時よりも遥かに強く、そして自分でも勝てるかどうかわからないと言っていました」

「勝手に過大評価してくれるのはいいんですけど、こちとら何度断ってると思ってるんですか」

 

そもそもだ、情熱が燻っているという前提が可笑しいだろうが……自分の中には残り火しかなくてそれに火をつけて爆発でもさせたいというのか。

 

「こちとら庭には爆弾みたいなポケモンが複数匹いるんですよ、それを放置して大会に出ろ?メリットがなさすぎる、それをして取り返しのつかない事になるんだったら最初から出ない方が合理的で営利的です」

「……まあ確かに、あのアーマーガアなどを放置するのは怖いですね」

「でしょ」

 

シンジもユウリとのバトルは幾度も見直した。自分も対戦し完膚なきまでに敗北したレジアイスをあっさりと倒してみせたあの異常なまでの強さには言葉を失った程だ。そして思うのだ、この人が出場する大会があるのならば絶対に出場し、戦ってみたいというトレーナーとしては当然の欲が湧き上がってくる。だが肝心の彼はそれに応じる気が皆無、こうして個人的に連絡を取ってバトルにこぎつけるのもかなり苦労した。そしてオーバはそれを何処からか嗅ぎ付けて頼みを押し付けて来た。

 

『如何して貴方はラビさんとそこまで戦いたいんですか』

『決まってんだろ。俺にとってあいつはデンジ以外で本気で勝ちてぇ、また戦いてぇ、何処までも喧嘩してぇって思えた相手だからだ』

『貴方が、勝ったのに、ですか……?』

『勝っても負けてもお祭り気分がポケモンバトルの醍醐味ってもんさ』

 

恐らく昔の自分では決して理解出来なかった事だろう。だが今ならば解る、もう一度戦いたいという思いはある、サトシとバトルしたい、可能であればゴウカザル、欲を言えばあのゲッコウガともバトルしたいとずっと思っている。

 

「ならシンジ、君が私に勝てたなら推薦を大人しく受けましょう。あくまで受けるだけですが」

「それでも構いません、此方こそ無理を言っている事は承知の上です」

 

そうしてラビは立ち上がって庭へと歩みを進めてバトルをする事を皆に伝えてメンバーの選定に入った。自分は手持ちは決まっている、現段階でのベストメンバーのつもりだ。何が来ても、対処は出来る筈だ。

 

「ついでだ、配信もさせて貰うよ。その方がオーバには話を通すには都合がいい」

「構いません」

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