週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ?:ラビの溜息

パルデアからの帰路についていたシンジはスマホロトムで撮ったラビとのツーショット写真を見つつ呟いた。撮るつもりはなかったが、ラビのロトムが悪戯っ気を出して撮影されたそれを送ってもらった、折角の記念という事にしておいたが悪くはないなという自分が居て驚いた。可笑しな物だ、昔の自分ならこんなものはバトルの為になりもしないと削除している筈なのに……。

 

「あそこまで俺を評価してくれたのは意外だったな」

 

配信者としてもポケモントレーナーとしても極めて高い評価を得ているラビ、彼の元を訪れたのは自分にとって大きな財産になった事だろう。彼はポケモンと強い信頼関係を築いている、それは配信を見ていれば分かる事だ、だが彼はポケモンとの絆を重視しすぎているという事は一切ない。

 

『ポケモンバトルは計算式、タイプ相性なんて最たるものだ。それを制する者こそがバトルの勝者っていうのは大前提だと思ってる』

 

そんな言葉が酷く意外だった、サトシのようなタイプだとばかり思ったがバトルを極めて合理的に科学的に分析して解釈していた。それで居ながらも根性論を否定するわけではない。

 

『苦手なタイプ相性戦を仕掛けるのはどう思いますか?』

『掛け割り算の領域だとは思ってる。得られる物は相当なプラスでデカいが一度しくじると重大なマイナスを背負う事になる。一つは苦手だからという精神的な枷が軽くなり、ニュートラルな精神状態を維持しやすくなったり戦術を確立しやすくなる、マイナスは言うまでもなく苦手意識と弱点パターンの構築。根性論がプラスαだと思ってる、人によってこれが一番幅が出ると思う、一番実感したこと、あるんじゃないかな』

『そうですね……そういう意味ではサトシの奴は一番やばい』

 

「実に、有意義だった」

 

配信後、自分の手持ちについての考察や戦術の指南を軽くしてくれた上に覚える技のリストまで一部寄越してくれた。こういう技も覚えるとは知らなかった、しかし……如何やって調べたんだという物ばかり、尋ねてみても禁則事項だと言って教えてはくれなかった。

 

「サンダーダイブ……研究してみる価値があるな」

 

エレキブルの覚える電気物理技としてくれた技マシンであるサンダーダイブ、ワイルドボルトと比べて反動を受けないが、外したらダメージを受ける飛び膝蹴り的な技と聞いたが……研究の価値は有る、この技マシンを有効に活用する事を誓いながらシンジは一度シンオウ地方へと戻り、兄と共に新技について意見交換をするのであった。

 

 

 

「んっ~……有意義な時間だったぜ」

 

身体を伸ばしながらもラビは久しぶりにいい空気を吸ったと言わんばかりに上機嫌だった。シンジとの話は実に有意義だった、ポケモンは生き物だから計算式を適用させる事は難しいというのが、この世界における常識というか偏見に近い何かだ。勿論それが正しいのも承知しているが、故にか感覚的なトレーナーが圧倒的に多い。しかしシンジは自分の感覚を大切にしながらも頭で戦術を構築しそれを実行する。

 

『そうなってしまうと体力の面が不安になりますね、高速回復技か持ち物での補填をしたい所ですが……』

『そうなってしまうのも当然だが、下手に平均を取るよりも敢て尖らせて如何にその棘を通すかという事の方が上手くいく事例も多いんだ、下手に平均化すると取れる選択肢と与える選択肢が膨大になるからな。バトルに勝つには相手に思考の隙間を作らせない事、苦手を押しつける事、此方が楽できるようにすることだ』

『成程……回復しているすきに剣の舞などをされると仮定すると確かにリターンが少ないどころかマイナスになりますね……』

 

起点作成役の利点もいち早く理解し、エースポジションのポケモンで一気に突破も把握して自分に取り入れることが出来ないかと思案していた。あれはもっともっと大きくなるだろう、ジムリーダーの推薦を貰っているという話もあったが……レベルに合わせたポケモンでもなかなか容赦なく攻め立てる壁になるだろうな。

 

「きっとリコもいずれはこういう経験をするだろうなぁ」

 

第三の業のオリジナルともなれば引く手数多、最低でもオレンジアカデミーで設立中のバトル専門科目の教科書になる事は確定事項なのだからその辺りは覚悟して貰おう、自分だって載るんだ我慢してもらわないと困るのである。

 

「ウキャ?」

「んっああ気にするな、別に困っちゃいねぇから」

 

収穫の手伝いをしていたのか、手には籠いっぱいの木の実を持っているゴウカザルが顔を見て来た。平常時は誰かの手伝いを積極的に行う上に技の練習や手本を見せて欲しいと言われたら喜んでそれをする優等生。が、バトルでは祖先である親分ゴウカザルの血脈が激しく刺激されてしまうのか圧倒的な戦闘力を発揮する問題児。インファイトを皮切りにそう移行するのもラビが中々に苦心して特訓を重ねて到達した妥協点でもある。

 

「PWCS……に出ないか、か……いや出たくない訳ではないんだけどさ……」

 

世界最高のポケモンバトル大会、そこに出てみたくないかと言われたら嘘にはなるのだが……

 

「ガアアアアアアアアア!!!!!」「ウラアアアアアアアアッ!!!」「クオオオオオオオンヌウ!!」

「きゅううんぬ!!」「ケエンキ!!!」「プルルアァァァ!!!」

 

我が家にはいろんな意味で問題児が揃いまくっているのでPWCSに出る事はこの庭の無統治宣言に等しい。ダイケンキやウネルミナモを置いていくにしてもそれでも完璧に抑えきれるものではない、中には自分だけに従うからダイケンキの指示なんて知らん!!というのもいるから長期に渡って留守には出来ない。

 

「下手したら俺の社会的な色々が無くなるからなぁ……」

 

オーバの誘いは素直に言えば自分への評価にも繋がるし嬉しい、あいつにリベンジ出来るのは嬉しい事ではあるのだが……そこまでしたいかと言われたら別にというレベルだ。

 

「もういっその事パルデアでやってくれたら楽なのにな……」

 

 

「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。本日ご紹介するポケモンさんは此方」

「ウッキャッ」

「ゴウカザルさんです」

「ウキャ!?(降格されてる!?)」

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