「ドット、クレベースの背後に隠れろ!!オノノクス、援護を頼むドラゴンクロー!!」
「ベエエッスッ!!!」「ノオオオクサアッッ!!!」
ラビがデオキシスを引き寄せてエリアゼロの遥か深部へと落ちて行ったあと、ライジングボルテッカーズはレックウザとの戦いに入っていた。ウガツホムラとのバトルがある状態でのこのバトルは極めて劣勢と言わざるを得ない。
「全然効いてない~!!?」
「ロイもクレベースの陰に入って、急いで!!」
「ベエエエスゥゥゥゥッ!!!ウウウラァァ!!!」
「す、凄いレックウザのドラゴンテールに耐え切ってる!?」
「しかも跳ね返すとは、ラビはどういう育て方をしているんだ!?」
襲い来るレックウザからのドラゴンテール、それに真っ向から防御を固めて防ぎ切ったクレベース。伝説のポケモンの一撃を受け止めるだけではなく更にそのままパワーで押し戻すという芸当を披露して皆が驚愕する中、オノノクスがクレベースを踏み台にしつつ跳躍、漆黒の尾を激しくレックウザへと打ち付けた。ワイドブレイカーだ、これで攻撃が下がる。そこへ自由に動けと言われたゴーゴートがレックウザの頭部を踏みつけた。
「ゴオオオトォォッ!!!」
頭が高い!!と言わんばかりに踏み抜いた一撃にレックウザも身体を大きく揺らしたが、直ぐに龍の波動で反撃をするが、それすらも知るかと言わんばかりに壁を縦横無尽に走ってレックウザを翻弄している。本当にあれはゴーゴートか、と言いたくなる。
「ラビがこいつらを置いてってくれて助かったぜ……リザードン、キャップ攻め直すぞ!!」
素直な話、ラビが指示を出すウガツホムラのせいで起きている劣勢とも言えない事もない。この状況でラビの1軍の主力格3匹がいるのは心強い。
「大丈夫だよフリード、まだテラスタルも残ってるから!!」
「確かにそこは純粋な救いだな……!!火炎放射ぁ!!」
だがフリードの中にはどうしてもラビへの不安が尽きなかった。何故だ……。
「龍の息吹を前方に集中!!シェルブレードで切り開け!!」
エリアゼロの深部、あと一歩踏み入れればゼロラボのある大空洞にも入るであろうそこでラビは全身にテラスタルの結晶を纏っているデオキシスと相対していた。だが―――ハッキリ言おう、ふざけんな。
「ええい冗談じゃねぇぞっ!!手数も手筈もまるで足りねぇじゃねえか!!」
『良く回る、いやだが実に見事だ』
見下ろすように此方を攻撃するデオキシス、いや正確に言えば腕を広げたデオキシスから無数に生み出されている分身体。鮮やかな色合いのデオキシスとは違ってくすんだ色をしており、瞳に光はなく結晶体も存在せず酷く不気味に見える。本来は大した攻撃も出来ない筈なのに頭部からナイトヘッドを連射してくるとかマジでふざけるんじゃない。
「だったら足を足してやらぁ!!ダイケンキ、秘剣・千重波!!」
「ケンッ―――キィィッッ!!!!」
アシガタナを一本収めてからの一刀流、一息の後に振り抜かれた一撃は一瞬で周囲の分身体、デオキシス・シャドーを消し去ってみせると同時に周囲に放たれた無数のまきびしがシャドーを捉えて消し去っていく。
『ほぅ?今の技、毛色が違うな……矢張りお前は面白い』
「そろそろ降りて来いよ、戦いってのは自分でやるから楽しいんだろ、勝つのも負けるのも」
『……道理だな。ではこちらも……』
シャドーが全て消え去って漸くか、と思った瞬間に自分はラティオスにリフレクターを指示していた。ラティオスもそれによく反応してくれたと思った、何故ならば……結晶の巨大な拳が此方へと突き出されていたからだ。リフレクターにぶつかったそれは威力を半減されている筈なのに、ラティオスを遥か後方へと吹き飛ばしてみせてしまった。
「んだよそれ……ハッ異常が常識、面白いなぁメガホーン!!!」
「ダァアアアッ!!!」
駆け出したダイケンキ、巨大化した角でデオキシスの結晶体を刺し貫いてやろうとする。だがデオキシスは瞬時に先程までの巨大な拳を瞬時に組み替えて丸みを帯びた重厚な盾へと変化させて受け止めてみせた。それを見たラビは毒づいた。
「想定通りを非常識で越える奴があるか、そのままアクアブレイク!!!」
『んっ……!!』
防がれている?違うだろ射程に入れることが出来ているんだよ!!と言わんばかりにダイケンキは溢れんばかりの水を纏って突進を開始、それにはデオキシスも抑え始める、がそれも僅かな時間。
「クオオオオオオオオオオ!!!!」
「ケエエンッ!!」
「「カアアアアアアアッ!!!!」」
『これはっ……!!!』
飛び出したラティオスはダイケンキの背後に回りつつもアクアブレイクを発動させて共に押し始めた。ラティオスという飛行可能ポケモンの中でも速度では上位に上がるポケモンが加わった事でデオキシスは抑えきれず、弾き飛ばされるように岩肌に叩き付けられた。
「クオオオオオオオオオオッ!!!」
この程度でやられて、妹にこんな醜態を話されてたまるか!!と言いたいのがよく分かる程の勢いで叫ぶラティオスにお前は本当に残念なイケメンだな……と思うラビであった。
「だが、奇妙だな。フォルムチェンジをしてこない上に結晶腕を変形させるに留まる……まだ本調子じゃない、その可能性はあるが……」
僅か数手、今のデオキシスの異常性も理解した。基本形態はノーマル、テラスタルの結晶と一体化してしまっているような右腕を介してフォルムチェンジの特性を引き出しているようにも見える。
「分かってるな、あの腕に気を付けろ。最悪の場合……全身がああなると思え」
「クウウンッ……」
「ケエエンキケン、ダアアンキケンンケ」
「ぼやくなよラティオス、上手くやれたらラティアスにはカッコいい所見せてくれたって言ってやるから。そしてダイケンキ、あん時と一緒にすんじゃねぇよ、あん時は隣にいたのはあの馬鹿だ」
『成程……違和感はこういう事か』
背後から声がしてきた、咄嗟にダイケンキがシェルブレードを振り抜くと再び腕を盾にして防御されてしまった、が目の前で姿が消えて振り向くとそこにいた。テレポートか、と毒づく。
『妙な動き難さと違和感はこれか……』
触手を何度も組み直しながらも自分の体調を確認するかのようにデオキシスは呟いていた。そして次の瞬間、もう一方の腕と両足が結晶化した。そして直ぐに四散した。
「なっ!?」
そこにあったのは無事であった四肢を同じように結晶化させたデオキシスの姿だった。色鮮やかだった姿は光の当たり加減で美しい光を放つ結晶が鱗のように羅列する姿へとなっていた。
『構想把握、適応変化進化、細胞の模倣で再現……これでテラスタルとやらに私も漸く適応できたか……あらゆるタイプを秘めるステラ―――面白い概念だ、これが私を封じた力の根幹だというのだな、
「ええっ……」
デオキシスの名前は遺伝子に関連する物だという事は知っているけど、まさかその気になってしまえばテラスタル結晶の構造を理解してそれを自らの身体で再現するなんてふざけた事を出来るなんて誰が思うんだ。
『ふむっ……こうか』
左手を適当な岩肌へと向ける、そして光が放たれた。それは先端が龍の頭部をしていた閃光、それは岩肌に命中すると大きく抉ってみせた。紛れもなくあれは龍の波動……デオキシスは本来覚えない技―――いやタイプの技である。それが出来てしまった……という事は
「これじゃあ実質的にアルセウスと同じじゃねぇかよ……!?」
テラスタル結晶を介して自らのエネルギーをそのタイプへと変化させる術をデオキシスは得てしまったという事に他ならない。ならばあれは攻撃を受けた時にはどうなる、アルセウスがそのタイプを無効化するタイプにプレートの力で変化したようにそれも可能になるのか……とラビの脳裏に最悪の予測が無数に乱立する。
『さてと……続けようか』
「こりゃ、死ぬ気でやらねぇとだめかもしれねぇぞ」
「ケェン……!!」「クオオオオンンッ……!!」
これは軽々しく引き受けて最悪に失敗だったな……と自嘲しながらも今更言っても遅いか、笑った。ならもっと大きく笑うのみだと前へと踏み出そうとした時にウルトラボールが大きく揺れ始めてそこからテラパゴスが飛び出してきた。
「パァゴッ!!」
「テ、テラパゴスお前出てきちゃっ……!?」
ラビが庇おうとした途端にテラパゴスは眩い光を発し始めた、それを見たデオキシスは自然と拳を強く握り込んでいた。甲羅が巨大化し豊かで美しい体毛が伸びていく、その姿を表現するならば神々しい藍色の円盤と言うほかない。
「テラスタルフォルムに……戦えるのかテラパゴス」
これまでテラパゴスは一度もバトルをしたことがない、ラビも何度か試そうとは思ったのだが如何にも幼児ですと言わんばかりの振る舞いにそういう気にはなれずに可愛がる程度に収めていたが……この状況で出てきてしまったんだ、戦って貰うしかない。
「パゴッ♪」
「分かってるのかお前本当に……?」
「ケン」「クオオオ」
「大物だなじゃねぇぞダイケンキ……あとラティオス、お前絶対ラティアス重ねたろ、キモいからうちの子を邪な目で見ないでくださる?」
「クオオオッ!?(俺はうちの子じゃないの!?)」
「いやだってそういうしかないじゃん今のは」
『……その姿、いや一瞬だけ見せた姿か……テラパゴスよ、戦いの中で教えて貰うぞ―――何故私を封じたのかをな!!』
「パァゴッ♪」
「なんか不安だ……!!?」
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