「さて、聞かせて貰えるかウガツホムラ」
『承知した、当事者たるデオキシスもいる、話さぬ訳にはいかぬだろう』
『頼む』
リコ達が特訓している間、ラビはウガツホムラの古のモンスターボールを借りていた。出てくれるかは分からないと言っていたが普通に出てくれたのでリコはポカンとしていた。そしてラビはウガツホムラからテラパゴスとデオキシスの関係性について聞く事にした。
『太古の昔、パルデアに帝国が生まれるよりも遥か昔の事。かの地には巨大な結晶を中央にそびえる霊峰があったそうだ。そこではテラパゴスとその同胞が多く住んでいた、が、そこに飛来したのが彗星だ』
その彗星こそがデオキシスの隕石であり、その隕石は霊峰を穿ち巨大な結晶を貫いてしまった。その結晶はパルデアの各所と繋がっておりそれがパルデアに安寧を齎していた。だが、その結晶は言うなれば安寧を齎していたシステムの根幹であり、それが破壊された事で大規模な地殻変動が誘発されてしまう恐れがあった、それを防ぐ為に一体のテラパゴスが自分ごとデオキシスの隕石をテラスタル化して結晶を地下深くへと沈めていった。それによって最悪の事態は避ける事が出来たが……結局地殻変動は抑え切れずに霊峰は跡形もなく消え去って現在のエリアゼロの原形となったという。
『……私が全面的に悪かったのか……すまないテラパゴス殿……』
「パァゴッ?」
デオキシスが馬鹿丁寧な正座からの土下座でテラパゴスに謝罪するのだが、テラパゴスはその意図を全く理解していないのか、デオキシスの膝の上に乗ろうとしていたが乗れないと分かるとラビの膝の上に乗った。そんなテラパゴスの喉を摩ってやりつつもウガツホムラに尋ねる。
「お前、何でこんな事を知っているんだ?」
『当時を生きたキラフロルから聞いた、それだけの事よ。そしてテラパゴス殿は極めて長期間の眠りについた事で記憶が保持しきれずに今のような状態になったのだろう。貴殿も普段よりも寝過ぎたら頭が回らんだろう、それが極端化したようなものだ、ルシアスもよくなっていた』
「なんか意外と抜けてるっつうか、のんびりな人だなルシアスって」
『そういう男だったさ、話は以上だ、ではな』
話す事は全て話しましたからこれでと言わんばかりにボールへと戻っていくウガツホムラを見送るとラビは寝転んで空を見上げた。パルデアの大穴が生まれたのは約100万年以上も前という推測がされている、自分は歴史の一ページを捲ったのも同然、と言われてもいまいち喜んでいいのかは分からない。これが考古学者とかなら歓喜するのだろうか……生憎自分はただのイラストレーターだ、歴史の重みの有難味というものは重大な程に甘受している身ではない。
「デオキシス、あんま気に病むな。普通の隕石で大気圏突入してからの軌道修正とかデリケートなランディングなんて出来る訳もないんだ、お前は加害者ではねぇよ」
『……だと良いのだがな』
「強いて言うならそんな風にしちまった運そのものが加害者だな……そうどこぞの邪神のせいだ」
『邪神?この星にはそんな存在がいるのか、インターネットの情報にはなかった筈だが……』
「あんな一瞬で全部を閲覧できるほど、電子の海は浅くなければ狭くもないんでな」
そんな問答をしていると妙に神妙な顔をしたフリードが隣に正座してきた、妙な既視感を覚えていると予想のど真ん中を突き抜けるように思いっきり土下座してきた。
「ほんっっっっっとうに済まなかったラビィッ!!!お前に多大な負担を掛けちまった、俺はなんもフォロー出来なかった上に寄り掛かるだけだったんだ……しかも俺がカレー喰い過ぎたせいですげぇ痩せちまったんだろ!!本当に済まなかった!!!」
「……別に気にしてねぇよ、お前は護衛対象の一人で俺は護衛役だ。その立場で俺がそっちを優先するのは自明の理、というかカレーの喰い過ぎはお前だけのせいじゃなくてブライア先生も喰いまくってたからより正確に言えばお前らのせいだ」
確かによくもまああれだけ喰ったな……とは思ったが、自分持ち込みの食材も殆ど無くなるのは予想外だった。
「今回は俺にとっては収穫だらけだ、いい気分だよ」
「……分かったよ、もう何も言わねぇよ。よくよく考えればガゼルパンチ叩き込んでくる奴が不調な訳がないか。完全に意識持ってかれたんだぞお前」
「そりゃお前が俺の地雷を踏むのが悪い」
「いやある意味一番早い本人確認だろ」
「その挙句がガゼルパンチによる気絶だぞ、どんだけいてぇ手数料だよ」
気付けばフリードも先程の謝罪ムードが消え去って友人として口を利いていた。デオキシスはそれを見て実に不思議な関係だと思った、先程は神妙に謝っていたのに今は軽い冗談を交えて笑い合っているのだから、本当に不思議だ。
「おっフリード今日の晩御飯ってラビぃぃぃぃっ!!!?お前なんで此処に居るんだよ医務室で大人しくしてなきゃダメだろう!!?」
「うるっせぇなマードック、お前の声が一番体に毒だ。モリーからの許可は出てんだよ、俺は医療関係者の指示はちゃんと守る主義だからな」
「おうマードック、なら今日は宴にしようぜ。ラクアに向かうんだ力を付けねぇとな!!」
「お、応!!ならラビに貰ったこのカレーのレシピで……ってしまったラビ向けの負担が掛からない料理も準備しないとダメじゃないか!?負担の少ない料理ってなんだ!?おかゆか!?雑炊か!?モリーに聞いてくる!!」
「……あいつ、俺の事を要介護者と思ってねぇか?」
「心停止した奴が何言ってんだよ」
まあそれだけ自分を思ってくれているという事で、好意的に受け止めておこう。
「フリード、エリアゼロに行った時にエクスプローラーズがいた」
「―――マジか」
「ああ、パラドックスポケモンに襲われて屍一歩手前だったから助けはしたが……俺達の事は報告されたと思っておいた方がいい。つまり、この先ラクアで」
「エクスプローラーズとの決戦があるかもしれないって事か……」
「そうだ、その為の備えもいる」
「備えって、何を……」
フリードへと懐からスマホロトムを取り出してある情報を見せた、フリードはそれを見てみると……お前、これ本当にやるの?と言わんばかりの表情を浮かべている。困惑というよりも、最早ドン引きの域でフリードの表情筋は引き攣っている。
「エクスプローラーズは既にパルデアでの指名手配が秒読み状態だ、そこにダメ押しをする。そうなるとどうなる?仮にあいつらに後ろ盾があったとしてもこれは庇いきれないし致命傷にもなりかねない、だからこそラクアを狙ってくるタイミングで来るであろう奴らを利用する」
「ホントお前って敵に回したら恐ろしい奴だな……普通此処までやるか?」
「世間一般的に見たらあいつらは普通に犯罪者だ、俺達自身も被害にあってるしリコに至っては窃盗にポケモンの強奪、不法侵入なんかの被害者だろう。生憎俺は仲間に手を出して黙ってられるようなお人好しでもなければ正義の味方じゃない、強いて言うなら俺は俺の味方だ」
これ以上何かをするならば見逃してやる意義も無ければ理由もない、本当の意味での敵対者として対応するだけの事。敵はどこまでいっても敵だ、そういうのは叩いて潰すのに限る。
「にしてもお前、これ普通やろうとしても出来ねぇぞ……」
「あらフリード君、君ってば俺の人脈とコネがどれだけ広くて深いかご存じないのですか」
「……そうだったよ、こいつ普通の配信に世界チャンピオンを出せるような化け物だった」
「化け物なんて呼び名はエレガントじゃないなぁ、強いて言うなら魑魅魍魎さ」
「悪化してるだけじゃねぇか」
「だって厄災が庭にいるし」
「えっ何、今なんつった?厄災!?おいラビ、お前あの庭何隠してんだ!?」
「隠してねぇよ(普通に庭で歩いているから隠してないという意味)」
旧友が相手から若干遠慮のないラビ。
ラビの過去編に需要はありますか?
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あり
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ない
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さっさと次書け