週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ:ラクアを巡る者達

「矢張りというか当然というべきか……まさに獣道だな、人が通った形跡が全くない」

「ああ、昔を思い出すなぁ……こういう道を通りまくったもんだ……」

「ケェン」

 

ラクアには予想していた通りに人間の気配、というよりも人間が活動していたと思われる形跡は0と言っても過言ではなかった。完全な大自然の原生林、昨今ではこういう自然は数を減らしているので触れ合えるだけでも貴重な体験となる。ラビとしては旅をしている時にこういう場所を通る事が少なくなかったので懐かしい気分にもなっている。

 

「こ、こんなに歩きにくい所が楽園なんて……」

「頑張れドット、トレーナーとしてある程度体力をつけるにはいい機会だ」

「や、山登りの後にこれはきついんですよぉ~……」

 

ドットの意見にも一理ある、スピードを落とそうとしたその時だった。自分達を追い抜くように大地を駆ける白い影とそれを追うオドシシの姿が見えた。思わずその後をつけると遂に森を抜けた、その先には―――穏やかに、そして豊かに暮らしているポケモン達の姿があった。草を食み、優雅に水辺を泳ぎ、眠りに就いて、散歩をしたりとのびのびとしている。

 

「凄い、凄い凄い!!ラビさんの庭みたいだ!!」

「いやウチの庭にはバーサー鴉がいるしここまで穏やかなのは一部分だけだ、だけどここは……全てが穏やかだ、力試しをしているポケモンの気配もない」

「ああ、のびのびとしながらも穏やかに過ごしている……こんな所があるなんてな……っておいラビ、あそこ見ろゲコガシラにドダイトスがいんぞ!?」

「あっちにはサザンドラにオコリザル、それに……ギャ、ギャラドスの頭の上でププリンが昼寝しとる……」

「凶暴で有名なポケモン達も此処だと喧嘩しない所か、凄い大人しくなってる……」

「正に楽園と言うに相応しいっておいおい何だよ、実はイッシュ地方だったりするのか……?」

 

ラビの呆れきったような疲れ切ったような声と指が示した先を見てみると……そこには三匹のポケモンと一匹のポケモンが水辺で喉を潤しながらも身体を休めていた。

 

「お、おいおいあれってイッシュの伝説のポケモンだろ」

「コバルオンにビリジオン、テラキオンに……おいおいおいケルディオまでいるじゃねぇか……なんなんだラクアって……」

 

その言葉に思わず三人は図鑑を開いてその先を向けてみた。

 

『コバルオン 鉄心ポケモン。鋼 格闘タイプ。鋼の心と体を持つ。人がポケモンを傷つけた時、仲間とともに人を懲らしめた伝説が存在する。聖剣士の中でも最も強い一体と呼ばれている。

 

ビリジオン 草原ポケモン。草 格闘タイプ。旋風のような素早い身のこなしで相手を翻弄し鋭いツノで容赦なく切り刻む。聖剣士の中でも最も素早い一体と呼ばれている。

 

テラキオン 岩窟ポケモン。岩 格闘タイプ。巨大な城壁を一撃で突破するほどの桁違いのパワーの持ち主。聖剣士の中でも最も力が強い一体と呼ばれている。

 

ケルディオ 若駒ポケモン。水 格闘タイプ。海や川など水面を 走り世界中を駆け巡る。厳しい戦いを潜りぬけて額のツノが鍛えられると聖剣士としての真の力が目覚めるという』

 

「聖剣士だって!!!カッコいい~!!」

「凄い綺麗なポケモン……あんなポケモンも世界にはいるんだ……」

「イッシュ地方の伝説のポケモン、確かにイッシュ地方じゃないかって言う気持ちも分かるなぁ……」

「―――フリード前言撤回するわ、此処、何処?」

「言いたい事は分かるぞラビ、マジで此処何なんだ」

 

ラビの言葉に続くようにフリードも頭が痛いと言いたげな呆れた声を発していた。巨大な影が自分達に掛かる、上を見ている二人につられて顔を上げてみるとそこには……かつて人々が神の怒りだと恐れた物と同じ名前を持つ伝説のポケモンが飛んでいた。

 

「サンダー……だよな、あれ」

「サンダー、だな……」

「ポケモンマフィアが涎垂らして喜ぶような場所だな此処……」

「冗談抜きでそうだな……」

 

一人のトレーナーとしては此処に来れた事が喜ばしい一方、この場所は人間には閉ざしておくべきだという気持ちが湧き上がってくる。此処は文字通りのポケモン達の楽園であり、人間が手を出してはいけない禁足地、自分達が此処に居る事は好ましくはないだろう。可能な限り手早く調査をして引き上げるべきだとラビは思う。

 

「だけどここは普通じゃないラクアだ、如何調査するべきなんだろうな……」

「兎に角歩きながらデータを取るしかないだろうな……未開の地はそれしかない」

「だな。よし皆聞いてくれ、一先ずここが本当にラクアなのかを確かめる為にも調査をしよう。俺達には情報が欠け過ぎている、それを補強する為にも行くぞ」

『はいっ!!』

 

ラクアと思われる地、それを調べなければ前には進まない。故に調査を開始するが……その奥にあるものを見つけた。それは余りにも巨大な結晶の壁、自然に出来たとも人が作ったとも思えぬそれを目の当たりにした時……

 

「パァゴッ!!」「パァゴッ」

「パ、パゴゴ?」「お前もか?」

 

リコのパゴゴとラビのテラパゴスが同時に反応した、二匹は同時に戦闘状態でもあるテラスタルフォルムへと姿を変える。何が起こるのかと思っていると二匹が甲高い声を上げる。

 

「「パァアアゴッパアアゴ、テラア~テラァアパゴ~♪」」

 

二つの声は共鳴するように重なり合っていく、そして同時に結晶の壁も輝き始めていく。二匹の歌声は結晶の壁を少しずつ粒子へと変換していくと……遂にはそれ自体を完全に消し去ってみせた。

 

「パァアゴッ!!」「テラァ~テラ!!」

「これがパゴゴとテラパゴスの力……あっパゴゴ大丈夫?疲れてない?」

「パゴ♪」

「恐らくだが、俺のテラパゴスの共鳴があったから体力の消耗が少ないんだろう。レベル的にも俺のテラパゴスの方が高いと思うからな」

「成程……そして、これがパゴゴが封印した地……」

 

その先にあったのは岩場だった、だが無数に枯れ木が散乱しておりピンク色のガスのような物も漂っている。ハッキリ言って楽園にある場所には程遠い雰囲気がある。

 

「……リコ達は止まっててくれないか。少しだけ先行して安全に行けるかを確認してくる。ラビ、護衛ばっかり任せちまって悪いけど皆の事を頼む」

「分かった、任せろ。デオキシス、手伝ってくれ」

『承知』

 

念のためにデオキシスとダイケンキの編成でどんな状況にも対応出来るようにはしておく。此処は様々な意味で普通の場所などではない、だからどれだけ警戒をしても問題にはならない筈……そしてそんな不安は的中する事になった。

 

「エクスプローラーズ……!!」

「成程……俺の前に立ったって事実の意味を、その身に叩き込んでやる」

 

眼前に現れたエクスプローラーズ、それを見てラビはそう呟いた。そしてこの時より、楽園ラクアを巡るライジングボルテッカーズとエクスプローラーズの決戦が始まろうとした。

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