週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ?:エクスプローラーズVS???

「にしてもあいつらまで見てるのかよ……」

『悪い人間ではなさそうだったな』

「そういう判定でいいのかは疑問が残るけどなぁ……」

 

ダイケンキの背中に乗り、真上にはデオキシスがいる体勢で奥へと進んでいくラビ。まさかのエクスプローラーズが自分のファンだったというとんでもない事が分かって、サインを書いた上で大幅に時間が短縮が出来たお礼に写真までサービスしてやってしまった。我ながら今が緊急事態だというのが分かっているのだろうか……。

 

『サンゴ、おまえの分も貰っておいてやったぞ』

『はぁっ!?何勝手な事やってんだ鬼ふざけんなぁ!?』

『エリアゼロで俺が録画したアーカイブ、見てたの全部知っているんだが』

『……じ、自分で貰うからいいし!!』

『ならこれは捨てて……』

『鬼勿体ないからウチが管理するぅ!!!』

『そうしてくれ』

 

なんだかんだでサンゴという少女にも書いてあげてくれとオニキスから小声でお願いされたので書いたが……本当に喜んでくれるとは思わなかった。顔を隠して拗ねているように見せつつも確りと胸に抱きかかえてくれていたし……世の中分からないものだ。

 

『ダイケンキ、この煙は深くは吸わんほうがいい』

 

向かっている最中、デオキシスが警告めいた言葉を口にする。この封印されたエリアに充満しているピンク色の煙……ダイケンキも警戒して出来るだけ吸わないようにしているのだが、デオキシスからの言葉を受けて確信的に吸うのをやめる。

 

「何か分かるのか」

『成分解析……この煙にはポケモンの闘争本能を直接刺激する効果がある、この濃度ならば極端に吸い込みすぎる事が無ければ効力を持つ事はない。だが吸わないに越した事はない』

「闘争本能……ハイパーかリバース状態みたいなもんか……」

 

それを聞いて真っ先に連想したのはダークポケモン達に現れる特有の現象である状態だった、一時期レッドと旅をしている時に遭遇したダークポケモン、それを見たレッドは酷く激怒していた。あの鉄仮面のレッドが……兎も角、そのハイパー状態はダークポケモンが極度の興奮状態で発生する状態。一部を除いてトレーナーの指示を受け付けない、自分を攻撃するどころか相手のトレーナーや自分のトレーナーすら狙う危険な状態。

 

「封印されたってのも納得が行く話だな……」

『ラビ、前方に何かいる。緑と白の体色の……なんだあれは、ポケモン図鑑にアクセス……特定、秩序ポケモン ジガルデと推定』

「……えっ何またあいついんの?」

 

デオキシスからの連絡に思わずまたあいつかよ、と言いたくなってしまう。だが同時に疑問が浮かぶ、白?ジガルデに白い要素なんてあっただろうか……寧ろ黒かった覚えが……と思っていると現場に到着した、そこは無数に結晶が突きだしている異様な場……そしてそこに車椅子に座っている老人と色違いのジガルデの姿があった。

 

「色違いのジガルデ……マジか存在するんだ」

「―――お前か、噂の配信者ラビとやらは」

 

車椅子の老人が此方を見て言葉を掛けて来た、ダイケンキから降りて向き直る。

 

「配信は唯の趣味だ。俺は描く者、ラビだ。アンタがエクスプローラーズの親玉って認識でいいのかな」

「そうだ、と答えておこう。私はギベオン、そして此方はジガルデだ」

「ご丁寧にどうも、まさか色違いのジガルデをこの目で見る事になるとは思わなかった」

「―――ほう?本物を見た事があるような言い回しだな」

「いやという程に目に焼き付けたよ、そいつもあのやりたい放題の監視者の同類だと思うと頭がいてぇわ……」

 

伝説のポケモンがまた相手になるのか……しかも今度は仲間だった存在が自分の敵となっている訳だ、本気で頭が痛い、痛いのだが……それは別の意味でだ。

 

「では君はどうする」

「アンタの行動次第」

「私はこのラクリウムを掘り起こす、手出しは―――「ゼドォ!!」なっ!?」

 

その発言の直後、デオキシスは構えていた触手からサイコブーストを一発放った。それは間違いなくギベオンを狙っていた、それをドラゴンテールで打ち払うジガルデ。ギベオンは言葉を失っているようにも、呆れているように見えた。

 

「迷いなく私を攻撃するとは……それでもポケモントレーナーか、君は」

「悪の野望は凄まじく打ち倒す、もう二度と立ち上がれぬようにな。俺の友人はそう言った」

「成程、随分と粗暴な友人がいるものだ。だが―――君がジガルデに勝てるのかな」

「その通りですよ」

 

突如、目の前に出現した男。慇懃無礼な態度が妙に鼻につく。

 

「遂に会えましたねラビさん、如何も初めまして私はエクスプローラーズの幹部を務めさせていただいておりますスピネルと申します、どうぞお見知りおきを」

「描く者、ラビだ。知ってくれなくて結構」

「そう言わずに、私は貴方の事を実に深く知っておりますよ―――そう、貴方のフィアンセの事とかね」

 

その言葉に頭が沸騰しそうになるが、それを抑え付ける。こいつ、サザレに何かをする気か。

 

「貴方が何もしなければ、彼女にはなにも致しませんよ。但しした場合は場合は……命の保証はしかねます」

「……なんだその程度か、興ざめだな」

「―――何を、言ってらっしゃるのでしょうか。愛するフィアンセの命が危ういのが分からないのですか、貴方もフリードのような愚か者なのですか?」

 

心底何を言っているのか分からないと言いたげな表情をするスピネルだが、ラビはそのまま続けてみせた。自分が何もせずにこの地へと来たのかと。それほどに自分は彼女を大切にしていないとでも思ったのかと……ならば心外だ。

 

「ああ愚か者だね、俺は愚直なまでにサザレを愛する男だからな」

「何を―――」

『ラッビ氏~!!!』

 

そんな時だった、スマホロトムからナンジャモのご機嫌な声が響き渡って来た。ラビは笑いながらスマホロトムのボリュームを限界まで上げた。聞こえてくるのはスマホロトムの向こうで満面の笑みを浮かべているナンジャモ。

 

「聞こえてますよナンジャモさん」

『エクスプローラーズの皆さんおはこんハロチャオ~!!貴方の目玉をエレキネット、何者なんじゃ!?ナンジャモで~す!!今日は出張してラビ氏のお庭におじゃましてま~す♪ここで何が起きてると思う~?此方をご覧ください、じゃじゃじゃじゃ~ん!!!!』

 

スマホロトムのモニターの先に広がっていたのは……スピネルが手配していたエクスプローラーズのメンバーたち全てが薙ぎ倒され、デンチュラのエレキネットと糸によって完全に捕縛されている姿だった。

 

「な、何ですって!?総勢100名の精鋭を全て倒したというのですか!!?有り得ない、トレーナーの指示もなしにそんな事はあり得ない!!」

『いやぁラビ氏のポケモンってばラビ氏はいなくてもオノノクス氏とかムーランド氏が中心になって指揮系統が構築されてるんだよね~そ・れ・に、ボクを始めとして協力者の皆さんがいるもんね~!!』

「協力、者……!?」

 

確かに自分は何もしていない、自分は唯、自分が帰るまでサザレの事が心配だから留守番をお願いしただけのお話なのだ。順守するつもりもなかったが、お前の言葉には抵触していないだろう?

 

『オレ様のジュラルドンとオノノクスのコラボ、見せてやりたかったぜぇラビ』

『ラビさ~ん私もいますよ~!!』

『っておいユウリ、あいつどこ行った!?』

『大変だ二人とも!!兄貴が逃げてってた奴を追いかけて行っちまった!!』

『止めろよホップ!?逃がしたら俺達の面目丸潰れじゃねぇか!?』

『大丈夫だよ~ボクが捕まえてあるよ~ダンデ氏も一緒だけど』

『いやぁすまん、つい道を間違えちゃった』

 

「なっ……」

 

スピネルが絶句する先にはキバナ、ユウリ、ホップ、そしてダンデというガラルの超精鋭が揃っていた。幾ら精鋭でも複数人で戦う事に慣れている彼らには勝てる訳もなく、全滅させられてしまったらしい。そして……

 

『それとねラビ氏、正式にエクスプローラーズはパルデアで指名手配になったよ!!何せラビ氏の庭に手を出しちゃったんだからね、あっサザレ氏には怪我一つないから安心してね♪』

『ナンジャモさん、僕達も頑張ったんですから入れてくださいよ』

『そうよ、確かにインパクトでは負けるけど実力じゃ負けてないわよ』

『うはっなんか張り合ってて受けるwww』

「……お前らには頼んでねぇぞ?」

 

何故かそこには頼んでいなかったはずの弟妹達の姿があった、彼らには全く言ってない筈なのだが……と思った直後に怒声が響いて来た。

 

『サザレさんから話が来たのよ!!兄さんが危険な事に首突っ込んで大変な目にあったのに、懲りもせずに向かったって!!!帰ってきたらお説教よ!!』

『そうだし!!心停止って何?!うちらの方が心停止しかかったし!!』

『サザレさんを心配させた分も含めて、詳しく説明して貰うからね!!』

 

「それはっ!!!」「私達にもして欲しいわね!!!」

 

その時、飛び出した二つの影がラビの左右で止まった。それはコライドンとミライドン、その背中には……リコ達が乗っていた。そしてその主は……

 

「レ、レジェンドチャンピオンマスターのレッドにシンオウのチャンピオンのシロナだと!?馬鹿な、何故……万が一を考えて彼らのスケジュールも完璧に調べた筈……!!」

 

ラビはスピネルの言葉に少しだけ驚いた。この男は一応自分の策略を警戒はしていたらしい、自分にある最大の武器は人脈。長い旅の間に築いてきた人間同士のネットワーク、それを活用されないために様々な妨害工作を施した筈なのにどうして……!!

 

「ラビから連絡があった、だから来た」

「確かに予定は詰まってたわ、だから全部蹴ってきたわ。これまで迷惑を掛けて来たお返しをするためにね」

 

内心で迷惑かけてる自覚はあったんだ……と少しだけ思ったのだが、直後に巨大な鳥ポケモンの背中から降りて来る影に目が奪われた、その鳥ポケモンはメガピジョットだった。それが降りた傍にはフリードとキャップ、そして―――

 

「たとえ火の中水の中草の中森の中、土の中雲の中どこでも駆けつける、それが友達だ!!」

「ピカッチュゥ!!」

 

サトシがその姿を現した。我ながらこんな人々を呼び付けるのは気が引けたのだが……万全を期す為だ、尚その見返りは結婚式には絶対招待する事である。それでいいのか、それで。エクスプローラーズにとってこの状況は良い訳がない、このままでは計画を遂行する処の話ではない。

 

「俺の人望を甘く見たのが運の尽きだ」

「っ……まだです、ギベオン様にはジガルデがいる!!」

 

矢張り縋るのはジガルデか、だがジガルデは自分を見据えてきている。まるで……お前にはこの私を、この場を消し去る力と封印する力を両方持っているだろう。だから見せて欲しい、お前が培ってきた絆の結晶を。そう言いたげなジガルデにラビはとあるモンスターボールを手に取った。

 

「見果てぬ夢の結末の時だ、いけぇっ!!!」

 

投げられたモンスターボール、それが開いて光で溢れた時―――咄嗟にサトシ、レッド、シロナは周囲を連れて後ろに引いた。光からまだポケモンは完全に姿を見せていないにも拘らず……直感、出来てしまった。これから出て来るのはとんでもない存在だという事が……。

 

刹那、世界から風の流れが完全に消えたような錯覚に陥る。皮膚を撫でる風が、止まった。それだけではない、一瞬で気温が10度以上も下がった、ラクアの過ごしやすい気温が一転して冬のような気温へと変貌した。

 

「―――……ヒュラララララララァァッ!!!!」

 

境界ポケモン キュレム、ラクアに出現。

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