週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ?:ラクア。

「そうか、話は聞いた事があったがまさか事実だったとは……すまないキュレム、俺が君の虚無を埋めて上げられる事が出来たら良かったんだが」

『何、時間はエメラルド程度の価値しかない。貴重ではあるがそこまで希少ではない、私にとってはそういう物でしかない』

 

遥か昔の事、ルシアスは訪れた洞穴の奥に隠れるように住む一体のドラゴンと邂逅していた。身に余る程の冷気を纏う虚構の龍はやって来た客人を出迎えた、しかしそこには抱く希望はなく惰性に近い何かだった。

 

「大丈夫さキュレム、君が求める英雄は必ず現れる」

『慰めか、それともその場で出ただけの戯言か』

「ひっどいな、俺がそんな事を言うと思ってるのか?」

『突然やってきた分際で偉そうな事を言う……』

「言うなよ足を滑らせたんだからしょうがないだろ」

『知らん』

 

言外にさっさと出て行けと言っているキュレムに対してルシアスは何処か交友を持ちたそうにしているが、キュレムとしては静かな時間に戻りたかった。望みはあるがこの静寂が永久に続くのも悪くはないと思っている、それこそ惰性ではあるが……

 

「俺が保証する、君が望む者を持つ英雄は必ず来る」

『……勇気ある無作法な客人に敬意を払い、まあ適当に待つとしよう』

「あっお前、あっ寝るなよおい!!」

 

 

 

「あの日の事は今でも思い出せるさ、久しぶりだなキュレム。随分といい色になったじゃないか」

『貴様は相変わらず他者の神経を逆なでする天才だな、ジガルデの意思がなければ貴様ごと砕いていた、感謝しておけ』

 

ラクリウムの結晶の中から現れたルシアスは心から嬉しそうにするが、キュレムは逆に見たくもない悪夢の続きを見たかのような苦々しい顔をしている。ハッキリ言えばルシアスの事は好きではないし寧ろ苦手の部類に入る。

 

「ラビ、君がキュレムの虚無を埋めてくれたんだね。友人として感謝するよ」

『……誰が友人だ、私の静寂を壊しむやみやたらに騒いだ粗忽者』

「おいおいキュレム俺の言った通りになったじゃないか」

『黙れ、貴様の言葉なくともラビは来た。寧ろ……貴様が来る前から知っていた』

「なんだよお前ら仲悪いな……」

 

ラビからしたらなんて言い争いになるのかがいまいち分からない、まあキュレムの言い分だとルシアスにいい感情を持てる訳がないのだが……ルシアスは溜息交じりに改めて此方を見た。

 

「ラビ、心から感謝するよ。虚無を埋めたからじゃない、リコ、ロイ、ドット達を守る為に力を尽くしてくれた事、彼らを強くしてくれた事、そしてジガルデの心をくみ取ってくれた事」

「ジガルデの、心を……」

 

ギベオンが未だ凍り付いた身体で自分を守り続けているのを見る、キュレムならばジガルデを凍える世界の対象に入れない事などは容易いし傷つけない事も出来たがジガルデがそれを望まなかった。その為に4倍ダメージを覚悟で受け入れるとは……流石に言葉がない。

 

「リコ、ロイ、ドット、此処までの冒険、そしてラクアは如何だった?」

 

ルシアスは穏やかだった、酷く穏やかな顔でそう尋ねた。単純な、極めて単純な先駆者が自分を目標にして追いかけてくれた子供たちへの質問だった。それに対する答えは決まっている。

 

『最高に楽しかったです!!!』

「なら良しっ!!」

 

煌めくような笑顔から放たれた屈託のない言葉にルシアスも満足気に笑う。それだけ聞ければ十分だ、と思った時にリコのリュックから六英雄たちが飛び出した。全員がルシアスとの再会を喜んでいるのが分かる、ルシアスも嬉しそうにしていると足元にやって来たパゴゴとラビのテラパゴスに気づいた。

 

「パゴゴにお前は……」

「テアラ~♪」

「そうか。そういう事なのか、分かったよ。ラビ、君のテラパゴスとパゴゴ、そしてキュレムの力でラクリウムを無力化してくれたんだね、なんというか俺がしなければならなかったことを全てやらせてしまって申し訳なく思うよ」

「全くだよ、シロナさんやサトシさん、レッドまでこんな事に付き合わせてさ」

 

平然とその事を踏まえているとルシアスも確かにそれは参ったな、と冗談交じりに笑った。

 

「別にいいわよ、だけどラビ君後でキュレムに関しての話はちゃんと聞かせてね♪それでチャラにしてあげるから」

「俺も別にいいですよ、友達のお願いですし」

「同じく」

 

全く、本当に自分は良い友人を持ったらしい……心から感謝したい。

 

「ルシアス、貴方はこれからどうするんですか」

「ラクリウムが無力化された今、俺は時の流れに身を任せるだけの事……なあラビ、ギベオンとジガルデの事は任せてくれないか」

 

ルシアスの視線の先には氷によるダメージに苦しみだしたジガルデを何とかしようと試みるギベオンがいる、彼にとってジガルデがそれだけ大切な存在、後は彼にとっての理想と真実を理解させることが必要とされる、ならばその役目は自分が負わなければならない。

 

「分かった」

「だけどMr.スピネル、貴方は私達と来て貰うわ。パルデア地方内での誘拐、恐喝、ポケモンの強奪、不法侵入、保護区への明確な攻撃……色々と話を聞かせて貰うわ」

「私が―――!!」

「「ピィィイカァァァッ……!!」」

 

反抗の意思を見せようとした途端、左右から二匹のピカチュウが電撃を迸らせる。いや次の瞬間には無数のピカチュウがスピネルを包囲している。しかもその内の数匹はボルテッカーの待機状態にある。

 

「悪いけど、来てもらうよ。レッドさんはポケモンGメン特別メンバーとして貴方を連行するようにってワタルさんからも言われてる、言っとくけど抵抗しない方が良いと思う」

「……大人しくしろ、出ないなら……俺が相手になるぞ」

 

帽子の下から見えるその瞳はどこまでも鋭利、その威圧感は並の物ではない。スピネルは手にしようとしていたモンスターボールを握る事も出来ずにその場に落とし―――いやレッドのピカチュウが落とした事による放出を警戒して回収した。

 

「無駄な抵抗をやめろ、俺は―――ポケモンを利用する悪には容赦しないぞ」

 

その言葉が決定打になった。スピネルは膝をつき、完全な敗北を受け入れた。ラクアからラクリウムは完全に消え去った、ルシアスが望んだそれは完全に成し遂げられた、そして……ルシアスはギベオンと共に新たな冒険に旅立った。

 

「凄い経験しちゃったね……」

「うん、黒いレックウザから始まってラクアまで来た」

「冒険譚出したらマジでバズりそうだよ」

 

ブレイブアサギ号は再びパルデア地方へと向かって飛行する、なんとブレイブアサギ号には新しい形態が追加されたらしく今までよりもずっと早く、パルデアへと行けるらしい。その中でリコ達は言葉を交わす。この冒険はもう終わりかもしれない、そう思うと何故か話をしたくなったのだ。

 

「六英雄達はどうするんだろうね、皆自由になったって言ってたけど……」

「さあ、でもまたどこかで元気でやるんじゃないかな。自由に冒険して、それぞれがライジングボルテッカーズみたいなチームを組んで冒険したりしてたら面白くない?」

「それいいね、それでまたどこかであったらその話をしあうの」

「それでまた新しい冒険に?」

 

ドットの言葉に二人が笑う。そう、冒険は続いていく、まだまだ知らない事はいっぱいあるのだから。それを全部知りたいとは言わないが見てみたい、それに抗う事なんて絶対に出来ない。

 

「おいリコ達、もうすぐパルデアのラビの庭につくぞ。そこに着いたら盛大にパーティだ、ラビの結婚祝いのな!!」

「だからまだ式場も決めてねぇっつってんだろ!?」

「いいじゃねぇか前祝い!!んでしたら本当の結婚祝いだ!!」

 

一先ずライジングボルテッカーズの大冒険は終わり、そしてこれからは―――

 

「新しい大冒険に向かって歩け少年少女、果てぬ夢は胸の内に秘めずに踏み出せ!!」

 

 

 

「私たちの大冒険!!」




なんか最終回っぽいけどふっつうに続きます。

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