パルデアに戻ってからのラビは怒涛の日々だった。弟妹達からの追求にガラル勢からの祝いと追及、シロナからはキュレムに関する情報開示請求にレッドはバトル、サトシは……唯一何も言わなくて素直に有難かった。そして今は……
「ピカチュウ、10万ボルト!!」
「チュウウウウ!!」
「キャップ、サトシさんのピカチュウの力を貰うぞ!!雷パンチ!!」
「チュウウウ、ビッカァッ!!!」
「ピカァァッ!!?」
「そうか避雷針!!だったら、高速移動から影分身!!」
「こっちも高速移動から影分身!!」
「フリード!!キャップも頑張れ~!!」
「どっちも頑張って~!!」
「こんなすごいの配信できないなんて~……!!」
「勿体ないけど我慢しないとダメだね~ドット氏~」
庭の一角を使ってのバトル大会、自分の結婚の前祝いの二次会のようなことが起きてしまっている。というか結婚の前祝いも大分可笑しい気がしてならないが……。
「サザレ」
「何?」
「素直に言うよ、俺は多分―――キュレムが連れ戻してくれなかったらあのまま死んでたと思う」
自分に抱き着いたまま離れないサザレ、これも致し方ないと思いつつもラビは胸の内を打ち明ける。あの時、エリアゼロでデオキシスとの激突で自分は白い闇へと飲まれた、そこで全てを見失っていた……それを引き戻してくれたのは
―――お前がゼロになってどうする気だ、お前は埋める物、描く者だ。ゼロになるのではなく、ゼロから始める者だ。
虚無であった者、虚構の龍、だからこそあの闇にも干渉できたのだ。イッシュで彼と会った時、同じ空間に飛ばされた。そして自分はそこで自分を見出した、そしてキュレムの虚構を埋める英雄となった。
「死なない、とはハッキリ言いきれないけど……」
「でもラビはこうして帰って来てくれた……約束を守ってくれたじゃない」
「それでも、俺は君を傷つけた。正直言えば、君とこうして顔を合わせてから言うべきだった。心労を掛けてしまって済まない」
「ホントだよ……いきなり心停止したとか、それなのにラクアに行くとかもう頭の中ぐちゃぐちゃだったんだよ……だからさ―――もう何処にもいかないで」
「その時が来たら、今度は一緒に行く」
「それで許してあげる」
胸に顔を埋めるサザレ、我ながら本当に心労を掛けてしまった、弟妹達の追及や説教は正しい物だったと認識はしている。だからこそ……もう無理はしないでおこう、状況が許してくれないのであればサザレと共に戦おう。
「ねえ、式場どうする?」
「決める筈だったのにバカ騒ぎとバトル大会が始まったせいで、暫く決められそうにないな……」
「というかフリード頑張ってるね……あのサトシさん相手に食い下がってるし」
「伊達に場数踏んでないからなぁ……」
キャップがサトシのピカチュウに善戦している、滅茶苦茶頑張っている。避雷針で電気タイプの技は無効化し逆に自分の力にする関係でサトシのピカチュウは得意の電撃を使えず、なんならZワザなども使うのは躊躇が起きるのに……それ以外の技で巧みにあのキャップを翻弄している、キャップもこれまでの経験とフリードの作戦を総動員して戦っている。
「今だピカチュウ!!地面に向かってアイアンテール、上を取るんだ!!」
「まだまだだぜサトシさん!!キャップ、ライジングボルテッカーから影分身だ!!いっけぇぇ!!!」
アイアンテールのパワーで高々と跳躍するピカチュウ、その上を取ろうとキャップもライジングボルテッカーズの名前の由来にもなった技で跳躍しながらも更に影分身を出した。それを空中での足場にして更に高く跳躍してみせた、完全に上を取ったキャップは最高のドヤ顔を浮かべていたが、それに対してサトシのピカチュウは純粋な賞賛があった。そして、負けないぞ!という挑戦へと切り替わった。
「ピカチュウ俺達もやるぞ!!影分身からアイアンテール!!」
「な、何っ!?嘘だろぉぉ!!!?」
思わず絶叫を上げたフリード、何故ならばピカチュウは影分身を使った。そこまではフリードと同じだが、影分身もアイアンテールを発動させてアイアンテール発動中の本体の尻尾を強く打って弾いたのだ。それを何度も何度も繰り返し、稲妻の軌道を取りながらキャップの上を取った。
「決めろピカチュウ!!最大パワーでアイアンテール!!!」
「ピカピカピカピカピカピカピカッ……ピカピッカァァァ!!」
渾身の力業アイアンテールが炸裂しキャップは大地へと堕ちた、だがその時に見たのは遥かな高みにいる大空を舞うピカチュウだった。空を飛びたいと望んでボルテッカーで空を目指していた時、夢想していた空を飛ぶピカチュウの姿に、そっくりだった。空を飛べた先の光景を見て、今は船のキャップを預かる身……でももっと先が見たくなってきたのかキャップは倒れながらもずっと空を見ていた。
「キャップ、負けたのに随分といい顔してるな」
「だろ、俺もそう思ってた所だ」
残念ながらフリードは第一回戦で脱落、だが相手がサトシな事を考慮しても善戦したと言っていいだろう。同時にキャップは新しい目標を見つけたのか本当にいい顔をしながらも、尻尾で立ってバトルを見ている。第二試合、レッドのピカチュウ対ユウリのエースバーン。これも見逃せない。
「フリード、黒いレックウザから始まった一連の冒険は終わったんだろ。次はどうするんだ?」
「そうだなぁ……取り敢えずブレイブアサギ号のオーバーホールとかもしたいから暫くはパルデアにいながら資金集めだな、それから……まっこれから考えるさ」
大きな区切りをつけたライジングボルテッカーズの行先はまだ未定だ、少しの間羽を伸ばして休んでいてもいいだろう。流石にいろんな意味で動きすぎたから論文に纏めたいという思いもある、
「ラビはどうするんだ?」
「俺はイラストレーターだ、描くだけだ。いよいよ式場を決めるなら金は貯めておきたいからな」
「なんだ金欠か?」
「あっ?今から1千万単位でテメェの口座に爆撃すっぞ」
「やめてくださいマジで勘弁してください……」
伊達や酔狂でこんなバカでかい庭を維持出来る訳がない、普通に収入源はあるのだ。最近だとホウエン地方からの依頼でポケモンコンテストに合わせてカッコいい、美しい、逞しい、賢い、可愛いをテーマにしたイラストの依頼が来ている。バシャーモ、ミロカロス、ラグラージで既に三枚仕上げてあって残りは二枚だ。
「というよりも式場決める=いよいよ親を呼ぶ段階になるって事だから……あぁ、会いたくない……」
「ああ、あの噂の……」
「覚悟決めるしかねぇかぁ……ぁぁっエクスプローラーズとの決戦よりずっと覚悟要るわこれ」
「どんだけなんだよ一応お前の親だぞ」
でも、今は少しだけ両親の顔を見たいと思っている。どうせ嫌な顔して溜息を吐くに決まっているが……それをしたい。何故かそうしたくてたまらないんだ。
「ラビさ~ん私の次はラビさんの番ですよ~!!」
「えっちょっと待ってよ俺まで組み込まれてるとか聞いてないんだけど!?」
「サザレさんの許可は得ましたよ~?」
「俺の許可は!?そしてサザレ!?」
「えへっ♪」
「……ンで因みに君は?」
「負けました!!全力の獄炎ボールをボルテッカーで正面突破されました!!」
「良いバトルだった、これから期待出来る」
如何やら自分もバトルしなければいけないらしい、そしてユウリはレッドに負けたらしいがレッドの少し満足気な表情から読み取るに楽しめるバトルが出来たらしい。レッドが楽しめる=トレーナーとポケモンにとっては一流の評価と同じ、いや良いバトルと評してるから超一流でいいんだろうと思う。そして自分の相手は……
「ラビさん宜しくお願いします!!それと聞いてください、ニャローテがマスカーニャに進化したんです!!サトシさんに色々見て貰ってたら一気に!!」
「あの人は不思議な飴か何かですか?」
如何やらリコらしい、そしてサトシにバトルを見て貰ったら一気に経験値が蓄積した影響なのか、ニャローテはマスカーニャに進化したとの事。これはまた強敵だ、それじゃあ自分は―――
「じゃあ相棒対決と行こうか、ダイケンキ仕事だ!!」
「ケェエンッ!!!」
心なしかダイケンキも楽しそうだ、リコも嬉しそうにしている。
「遂にラビさんとダイケンキと戦うよマスカーニャ!!絶対に勝とうね!!」
「ンニャァアロン!!!」
「勝とうか、とは大きくでたな。ならこの描く者を越えてみな少女よ!!」
ああそうだ、本当にポケモンは素晴らしい。
「マスカーニャ、いきなり行くよ力強く―――トリックフラワー!!」
「ンニャアアアアアアアロウッ!!」
「そう来るか、ならダイケンキ!!鋭利に、シェルブレード!!」
「ケエエエエエエエンキッ!!!」
―――いや最終回じゃないからね?まだまだ続きます、一応。過去編もやりたいし、ライジングアゲイン編は……アニメとは全く違う感じにはなると思いますけど、構想はあります。
ラビの過去編に需要はありますか?
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あり
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ない
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さっさと次書け