週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ?:PWCSへ

この日、この時、ラビは走らせていた。彼には珍しく筆ではなくペンを、ペンで描く絵もあるが……この場合は書類に向けてペンを走らせていた。書いたものを見て自分も存外度し難い物であるという事を認識せずにはいられない。

 

「カイリュー」

「ウリュ?」

 

近くで身体を伸ばしていたカイリューを呼び寄せてその頭に帽子とリュックを掛けてやる。カイリューは察してどんな御用で?と首を傾げると書類を丁寧に封筒へと入れ、作品の蝋で封をする。イラストレーターをやっていると作品の一部を造形化しました、記念としてお送りしますという話も多いのでこういう物を持っている。

 

「これをオモダカさんに届けてくれ」

「ウリュッ!!」

 

任せといて!!と胸を叩くと助走を付けながら大空へと羽ばたいていった、別にそのまま飛ぶことは出来るのだが助走が付けられる状況ならするのが彼の拘りらしい。その方がカッコいいからだろうか……個人的にはミュウツーの逆襲のあのカイリューに似てるから普通にアリなのだが。

 

「何お願いしたの?態々ラビデザインの配達カイリューのコラボの帽子とバッグまで持たせてさ」

「何―――PWCSに参加しますって挨拶の手紙と正式な参加登録書類だよ」

「出るの?今まで頑固に不参加だったのに」

 

サザレの言葉にラビは笑う、確かに自分は参加の要請や推薦を全て蹴っていた。例えチャンピオンだろうと四天王だろうと誰の推薦も受けて来なかった。それが今更ながら参加するなんて……どういうつもりなのだろうか、保護区にして貰った恩に報いるため?というとそれもない訳ではないが、違うと否定された。じゃあ何で……というとラビは庭を見ながら言った。

 

「この前のバトル大会、結局俺はベスト4止まりで決勝に上がれなかった。まあ相手がサトシさんとあのゲッコウガじゃキツいのも当然だけどな」

「あれはビックリしたよねぇ……メガシンカをメガストーンとキーストーン無しでやってるようなもんだし……サトシゲッコウガって言われてるんだっけ?」

 

『行くぞゲッコウガ、俺達も全力で行くぞ!!』

『ダイケンキ、俺達も持てる限りの全てを尽くすぞ!!これが俺達の全力全開だ!!』

 

乱れ飛ぶ水手裏剣とシェルブレード、一瞬で距離を詰める燕返しを秘剣・千重波で迎撃しつつ接近を防ぎ、影分身からのハイドロポンプが居合切りで両断させるあの光景は夢にも見た。本当に夢の舞台だった。

 

『アクアジェット、ゲッコウガを釣り出せ!!』

『水手裏剣!!』

 

激流の龍となって自在に素早く動きながらも水手裏剣を回避するダイケンキ、ゲッコウガは空中に居続けながらも次々と投げていく手裏剣、だがサトシも違和感に気づいた。アクアジェットの水量が増している。

 

『しまったっゲッコウガ辻斬りだ!!』

『遅い、鋭利に―――シェルブレード!!

『ケエエエエエキァァァァァッ!!!!』

 

アクアジェットで縦横無尽にフィールドを駆けていたのは水手裏剣を散らせるため、それをアクアジェットの水で取り込む事。それを利用してシェルブレードの威力を上げるため、更に巧業を重ねて相性を無視してゲッコウガの辻斬りさえもすり抜けてその身体を斬り付けた。神速を誇るゲッコウガのそれすら越えた斬撃はサトシにも大きなダメージを与えた。

 

『油断するなよ相棒』

『ケェン』

 

当然だ、この程度で負けてくれるなら苦労はしないと返事を返す先にはサトシゲッコウガと笑っているサトシがいた。その先にはメガグローブ、そして―――メガストーンを持っているゲッコウガがいた。

 

『これを見せるのは次のPWCSにしようと思ってたけどもういいや!!カスミには今度謝る、ラビさんこれから俺とゲッコウガの新しいのを見せますね!!行くぜゲッコウガ、俺達はもっともっと強くなる、もっと上へ、もっと先へ!!』

 

迸る虹色の光、キラキラとした輝きがメガグローブとメガストーンから迸って繋がっていく。

 

『ゲッコウガ、君に決めた!!行くぞメガシンカ!!』

『コウゥゥゥゥゥゥッ!!!!』

『メガストーンを用いないメガシンカがキズナ現象、その上に更なるメガシンカぁ……?ったく貴方はどこまで俺達を、世界を驚かせるつもりなんだ―――ダイケンキ、サトシさんの新たな力だ!!全力全開最大最強で行こうかぁ!!』

『ケエエエエエエエエエエンッ!!!!』

 

「メガサトシゲッコウガなんてズルいことしちゃってさ……結局、見事に大惨敗」

「いやでもレッドさんがよく頑張ったとかいう位には健闘してなかった?」

「いや惨敗だよ、次戦った時に少しでも戦えるように情報を引き出すようにして戦うのが精一杯だった……だからこそ、次は勝つ」

「だから……サトシさんと戦うために?」

「正確に言えば、違う、かな」

 

思っていた、もう自分は此処までだと。此処が自分がいける到達点でこれ以上は難しい、自分を軽々と越えていく最上位陣とそれらを目指して迷うことなく飛び込んでいける人たちが如何しようもない程に眩しくて、圧倒されて、座り込んでしまった。もしもあの時、もう一歩踏み出せていたら……なんて思わなかったときはなかったが。

 

「目指せる、俺はもっと遥か彼方へ。それを確かめたくなってきた、例えサトシさんの所に行く為には何光年の距離があったとしても俺は目指してみたくなったんだ」

 

自分の憧れはどこまでいってもこの人とレッドなんだという事を今回のバトル大会で実感させられたんだ。自分はどこまでいってもトレーナーなんだ、だから全力でそれをやってみようと思う。

 

「自分勝手、だと思う?」

「うん思うよ、でもそれがラビらしいとも思うよ」

「そうか……サザレ」

「ん?」

 

その時、サザレが見たいい笑顔のラビは一緒に旅をしていた時にしか見られなかったものだった。強い相手と戦う前の高揚感を感じている時の素敵な笑顔。

 

「俺も、ポケモントレーナーだな」

「何を今更」

 

 

「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。本日ご紹介するポケモンさんは此方」

「オンニッ!!」

「オニゴーリさんです」

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