PWCS本選は約1年後、それなのに世界中は現在行われているPWCSランクバトルに夢中になっている。過去大会に比べてその人数が圧倒的というのもあるが……今年のランクバトルは一味も二味も違ったからである。
「力強く、ハイドロポンプ!!」
「負けるなこっちも力強く、大文字だぁ!!」
「素早く、神速!!」
「いや神速をさらに早業にしてどうすんだよお前?!」
「速さとは、ロマンよ!!!」
「悔しいが正論だ!!ならば此方も応えねば無作法という物……素早く、ジェットパンチ!!」
「この一撃に全てを、俺達の全てを込めるぞ!!力強く―――ワイルドボルトォ!!」
「当たる前にこっちが仕留めりゃいい話だ!!素早く、大地の力!!」
ラビが配信によって世界中に発信した力業と早業、それが与えた衝撃は彼が想定していた物よりもはるかに巨大であり、今大会の参加人数の多さの一因はこれである。既に引退したりラビのように半隠居状態だったトレーナー達の闘志を再び滾らせてしまった。そしてそれらがカリキュラムとなって試験的にアカデミーで指導しているオレンジアカデミーで更なる詳しい情報を得たいが為に多くの人がパルデア地方へと流入している。既にパルデア行きの航空便や船は予約でいっぱい、一部トレーナーは自分のポケモンでパルデアを目指したりもしている。
「更に、新たな業が開発されただと!?」
「しかも開発したのはラビ氏ではなく、新人トレーナー!?」
「どんな業なんだ⁉他に情報はないのか⁉ええいもっとちゃんと調べろ!!」
第三の業である巧業についても限定的に情報が公開されており、注目はパルデア地方に集まり続けている。今回の事でパルデア地方ではそれらで経済効果が凄い事になっているとの事。宿泊施設も満員だったりするがパルデア地方から人が離れる事は少ない。何せポケモントレーナーは旅で野宿に慣れている者ばかりだからである。
「必ず、業を習得してみせるぞ」
「これがあれば諦めていたハイパーボール帯への夢も……!!」
各地に燃え残っていた燻った火種、それらに再び火を付けた男たるラビは今―――
「ゴボババババゴボウバァッ……だぁかぁらぁ……突然俺を水攻めするのはやめろと言っているだろうがぁぁぁぁぁぁ!!!待ちやがれこの馬鹿野郎がぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「あわわわっ♪」
悪戯をしてきたオニシズクモに対してガチギレし、モンスターボールから回収ビームを連射しながらも、逃げるオニシズクモを全力で追いかけまわしていた。世間からの向けられている評判など知りもせずに。
「はぁはぁはぁ……あんの野郎が……」
結局オニシズクモには逃げ切られてしまいラビは肩で息をしていた、もうちょっと体も鍛えるべきかなぁ……と思う。サトシだったらきっとこの程度で息は上げずに次は負けないぞ!!と意気込んで速攻で第二開戦をやりそうな気もする。というか絶対にやるだろとすら思っている。
「サナァ?」
「大丈夫だよサーナイトさん、この前は悪かったな。もうちょっとまともな指示をしてやれたら、よかったんだが……」
「ナァサ」
気にしてないで笑いかけてくれるサーナイトの心遣いが本当に有り難い……正直な事を言うといい加減縛りは解除するべきだなと思っている。そう思って前回は1軍のピカチュウを投入してしまったし……いい加減にアーマーガアもうるさくなってきたし……PWCS参加者の業習得レベルを調べるにはあのバ鴉の方が都合がいいかもしれない。というか縛りというが、よくよく思い返せば、ハラバリーの時点でダメじゃんと思った、良くも悪くもこの世界のバトルに染まっているなと笑いがこみあげる。
「如何したのラビ、随分うれしそうじゃん」
「いやいい加減俺ものびのびとバトルするかなと思ってさ」
「いや割とエンジョイしてなかった?」
「更にエンジョイするって事さ」
サザレはそれを聞いて思ったのはつまり更に加減をするという事なのだろうか……?という事だった。ガチとエンジョイは対極のような言葉だ、更にエンジョイ……どういう意味だろうかと話を聞いてみるとサザレは驚いた。
「……そんな事してたの?」
「いやしようとしてたらハラバリーの時点で破綻してたわ、ムウマージの時はちゃんと守ってた気はするけど」
「でもガチゴラスは?」
「あれはほら、一体ごとにカウントリセットすると仮定したらまあ……許容範囲内」
こじつけに近いがそういう事にでもしないとセーフにならない、と思っているラビと違ってサザレは割と本気で言葉を失い、自分の恋人のやっていた縛りについて驚いていた。そんな時に挑戦者が来たのか、玄関の方から声が聞こえて来たのでラビは其方へと向かっていった。
「初めまして、私はナオシと申します。本日は同じくスーパーボールクラスのラビさんとバトルをお願い致したく参上致しました」
「勿論―――OKです」
「おおっ、突然の来訪にも拘らずそのような事を言って頂けるとは……嬉しい限りに御座います」
穏やかな声と懇切丁寧な態度で頭を下げて感謝を述べて来るのはミュウにも似たハープをその手に持った吟遊詩人のナオシ。ポケモントレーナーにしてポケモンコーディネイターという二つの道を極めようとする二刀流のトレーナー。だがその実力は折り紙付き、コーディネイターとしてはグランドフェスティバルの準決勝にまで上り詰め、ポケモンリーグの本選出場の常連とされており、双方で高い評価を得ている。
「実は私、絵画展に出された虹を背に舞うホウオウを見た時からラビさんのファンなのです。バトルだけではなく出来ればサインなどを頂ければ嬉しい限りなのですが」
「その位ならば幾らでも書かせて頂きます。しかし嬉しいですね、最近は配信者やトレーナーとしての評価ばかりでしたから」
「きっと皆さんもラビさんの描く絵を見れば直ぐに良さに気づくと思います、それほどに素晴らしい絵でしたので……実はボウルタウンの方で宿を取っておりまして、そこでコルサさんの芸術作品を鑑賞させて頂く事になっているんです」
「それはそれは、コルさんいえ、コルサさんの作品は見る者の心に様々な刺激を与えてくれますからきっといい経験になりますよ」
ドローンロトムが来る間、ナオシとは雑談をしていたのだが吟遊詩人をしている為か芸術などにも造詣が深い為に自分の絵についても感想を貰えてラビとしてはこの上なく嬉しい時間となった。コルサへの紹介状を書いてあげる事を決めるとちょうどドローンロトムがやって来た。当然配信の許可も貰っている。
『スマホロトムより互いの情報を取得。このバトルはPWCSランクバトル、スーパーボールクラス公式戦として承認されました。対戦ルールは2対2、ポケモンの交代は両者自由となります。ラビ選手 VS ナオシ選手。それでは両者、最初のポケモンをフィールドへ』
「行きます、奏でましょうアーマルド!!」「アッマァァァァ!!」
「行くぞっラグラージ!!」「ラグゥゥゥッ!!」
という訳で今回の相手はシンオウシリーズから吟遊詩人のナオシさんです。中の人はコルサと同じ中井さんです。
ラビの過去編に需要はありますか?
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あり
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さっさと次書け