「そりゃ災難だったな……ホレ、お冷の水割だ」
「それただの水……頂きます……温い水だこれ」
「言っただろ、お冷の水割だって」
カイリューの善意という名の高速移動によってラシーマは身体に多大な負担を受けてグロッキーになっていた。地球を16時間で1周出来るとまで言われるカイリュー、そんなカイリューの速度は時速にして約3000km、マッハに換算して2.5である。そんなカイリューが高速移動をしたら……どうなるかはお察しである。
「はぁ……あの子、本当にいい子ではあるんだけどなぁ……でもその善意が暴走しやすいのが唯一にして最大の欠点なんだよなぁ……」
「カイリューにありがちな奴だな、つってもカイリュー自体が温厚な種族のポケモンだからこればっかりはな……逆鱗でもさせない限り、カイリューがガチで気性が荒いってのは中々にレアな事例だからな」
まだアローラと帰りがあるのだが……ダメだ、アローラは後日に伸ばそう、流石に身体が持たない……帰りだけなら……まだ何とかなる筈だから、頑張ろう。
「それでええっと……ラバイ先生、ですよね」
「応。ブルベリ学園、リーグ部顧問のラバイ。砂の貴公子とは俺の事よ」
「私も一時期は驚きましたよ、将来的にはジムリーダーかフロンティアブレーン確実と言われていた砂の貴公子が教師になったと聞いた時は」
「元々なる気なかったからな、外様で何言われてようが俺の知った事じゃねぇし」
ポケモントレーナー・ラバイ。ラビとは数年の世代が空いているがそれでも優秀なトレーナーとして各地方で勇名を馳せた。そんな人物があのラビの実弟だったと分かった時は驚いた。だが、実の弟から話を聞けるのならばこれ以上ない取材になる。
「では取材お願いします!!」
「ああ分かった」
Q.兄、ラビ氏への印象は?
「良い兄貴だな。兄さんが旅に出てて俺が家にいた頃はよく旅の話をせがんだもんだぜ、どこどこには何がいてあそこにはあのポケモンが縄張り争いしてたとか色々聞いて旅に胸を躍らせてたもんだ。一番楽しかったのは庭でのキャンプだな、旅の練習ってんで野宿の練習がてら庭で色々やったもんだ」
Q.ラビ氏はどんな方ですか?
「どんなか……俺いや少なくともイッシュで兄さんと同じ考え方をする奴は一人もいなかったな」
「考え方、とは?」
「配信見てるなら分かるかもしれねぇが、兄さんの知識はとんでもねぇ。一応俺達はアララギ博士と同じカノコタウン出身だからよ、研究所で資料を読ませてもらうとかは俺もしたさ。だけど兄さんの知識の根源は知れねぇ、種族値やら夢特性ってアンタ聞いた事あるか?」
「……出版社に勤めてそれなりに経ちますが、皆目……」
「だろ?兄さんの部屋には色んなノートやらが置いてあって、色んな区分がされてたよ。これだけ聞いたらすげぇデータ派って思うだろ?だけど兄さん以上にポケモンを愛してるトレーナーを俺は見た事が無い。ポケモンとバトルを極めて合理的且つ科学的に分析してるのにトレーナーとポケモンの間にある絆って奴も絶対的に信じてるんだ。考え方っていうか観察眼の立ち位置が俺達とは違う感じがするんだよなぁ……」
Q.ラバイさんのトレーナーとしての考え方にも深くかかわっていますか?
「そりゃそうだろ、俺だけじゃなくて今オレンジアカデミーに行っちまってるけど、弟妹全員兄さんの事を尊敬してるし頼りにしてんだ。家に帰って来た時はそりゃ大騒ぎの大歓迎よ、俺は砂の貴公子なんて言われてるけどそれも兄さんの影響だ」
「そうなのですか?」
「ああ、俺がモグリューとかと遊んでるのを見て相性がいいんじゃないか?ってのが始まりでな、それであれよこれよという内に砂嵐を主軸にした戦い方を叩き込まれたって訳だ。ついでに苦手な相手の対処法やらもな」
Q.ラビ氏の強さは何処にあると思いますか?
「兄さんの強さねぇ……ぶっちゃけ全部じゃね?」
「いやあの、言いたい事は分かるんですけど……」
「ああうん俺が悪かった、何とか言語化する……そうだな、まず相手のポケモンを見た段階で基本的な戦術を思い浮かべられてそれに対するカウンターを用意しつつ相手の特性の見極めだな、曰く長年旅してた中で反芻して頭と身体に叩き込んだらしいぜ。ンで自分のポケモンの技とかも平然と全部把握してる、癖とかも全部な」
「……普通、出来なくない、ですか?」
「俺もそう思うけど出来ちまってるんだよ、10年の間に叩き込んだらしい。だからこそ強さは全部、なのさ……所謂ステータス表、六角形のあれあるだろ、全部伸び切ってる感じ」
Q.何故、旅をやめてしまったなどは聞いていますか?
「旅続けたのも何となくの惰性だって言ってたからなぁ……旅の最中描いてた絵を今の師匠のコルサさんに評価されて、そこで世話になり始めて、そろそろ根を下ろす頃か……とは言ってたな」
「つまり……何となく?」
「多分な。終わらせる事自体は何時でも出来たんだと思う、単純に続ける理由もないが終わらせる理由もなかったんだ。終わりがないなんて事はあり得ねぇからな」
Q.ラビ氏の強さを例えるとどのレベルですか?
「いやンな事言いだしたら際限ねぇだろ、どのポケモンが一番強いのか論争並に終わりがねぇよ。兄さんが昔言ってたが弱いポケモンは存在する、だがそこで諦めて思考を放棄する事自体が停滞と衰退の一歩、トレーナーはポケモンと歩む者で戦う者、ならばその思考を止めてはならない。その証拠だと言わんばかりにパチリスでタッグバトル大会にぶっこんで優勝する位だぞ?」
「ああ、シンオウのダブルバトル№1決定戦ですね……私もあれを見て驚きましたよ」
Q.力業と早業についての授業はしているんですか?
「いや全然。今ん所教師陣で皆伝出来てるのは俺ぐらいだ、そもそもが研究やら授業で忙しいってのもあるんだけどな……ウチの教師陣、研究員タイプが多くてどいつもこいつもバトルが得意じゃねぇんだよな……」
「バトルの名門なのに……?」
「力業と早業が難しい上に時間が取れてねぇのもあるけど、俺を含めたその他が優秀なの♪割合で言ったら7:3って所だな」
Q.ラバイさんはPWCSに参加しないんですか?
「いや俺はしねぇよ、俺は教師だぞ。生徒のあれやこれやを面倒見るだけで手一杯なんだよ、校長は出ていいとか抜かしてるけど俺がいなかったらこの学園カオスだぞ、ツッコミ役は必要なんだ。最近はブライア先生がマシになって来てマシにはなって来たけどな」
「い、一体何なんですブルベリ学園って……」
「ちょっと言えない所♪」
Q.PWCSに参加するお兄さんに一言お願いします!!
「よう兄さん、どうせこういうのは見ねぇだろうけど応援メッセージ添えさせて貰うぜ。どうせだ天辺取る気でやれよ、それと今度遊びに行くからそん時に俺の力業と早業見てくれよ」
「それじゃあ有難う御座いました~」
「応何時でも歓迎してやっからまた来いよ~」
いやぁ良い人だったなぁ……と思いつつも今日の取材で得られたデータに心から満足が行く。本当に素晴らしい物ばかりだった、そして出来る事ならばラビ本人に取材をしたいという思いが湧き上がってくる。
「さぁってと帰って貰ったものの整理をちゃっちゃとやっちゃおうかな」
「ウリュッ!!ウッッ~……」
「えっちょまっ今のちがっ待って違うから!!じゃなくて身体を固定よしってまた耐Gモード!?えっ待ってナニコレ、凄いハイテクってえっ何これ、呼吸器?なんでこれが上から―――まさかもっと加速するそんな訳、まさか神速……お願いカイリュー後生だからゆっくりで!!ゆっくりで良いから待って助けて、お願いっ!!!」
「ウッリュ~!!!」
「ギャアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!???」
「応帰って来たな!!さあ資料を見せ―――っておい大丈夫か生きてるか!?」
「ふっ副編集長補佐ぁぁぁぁぁっ!!?お気を確かに!!?」
「も、もう二度と……カイリュー便は……使わない……ガクッ」
「ウリュ?」
ラビの過去編に需要はありますか?
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あり
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ない
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さっさと次書け