週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ?:ゲストオブイッシュ

『……こういう事を言うのもあれなんですが、ラビさん貴方呪われてます?』

「なんでしょうね、神の寵愛という名の呪いを頂戴してる自信あります。神の力って、人間にとってほんと害悪ですね、ええっ本当に害悪だ」

 

ラビはオモダカに連絡をして今回の一件についての事を正直に話した。オモダカとしても突如海から飛来した謎の黒いポケモンについての報告が上がっており、何事かと調べていた所だった。幸いなのがゼクロムが比較的高い場所を飛んでいた事と速かった為に誰にもそれがゼクロムだという事は気付かれていない事。ゼクロムではなく、以前出現した黒いレックウザが再びやって来たのではないか、とすらオモダカは考えていた。

 

『……兎も角伝説のポケモン、ゼクロムとレシラムですか……貴方も本当に厄介事に、いえこれ以上はやめておきましょうか。兎も角事情は承知しましたので行政には私の方から言っておきます』

 

パルデアで目撃情報がある黒いレックウザという意見を主流派にする事は今ならば容易い、そちら方面に持っていけばパルデアとイッシュ間のいざこざも十分誤魔化す事が出来る。PWCSの本選に選ばれたパルデアとしては他地方との厄介事なんて是が非でも回避したいし次大会の本選会場を狙っているイッシュとしても願ってもない筈……その辺りを上手く調整していくしかない……。

 

「大丈夫、彼らは私のポケモン達からの大歓迎を受けてますから」

『分かりました。それとバリアフィールドの修理費は此方からも出しましょうか、此方もパルデア内の景気が極めて上昇傾向でして……予算が潤沢になり過ぎる恐れがありまして……」

「いえ、大丈夫です。幸いな事にバリアフィールドの出力変動と負荷のデータは残っていましてね、それを開発元のDEFが譲ってくれるなら同型を半額以下で譲ってくれるという申し出がありましてね」

『伝説のポケモンの攻撃データ……確かにそれは極めて貴重な物になりますね。おっと申し訳ありません、他地方の方がいらっしゃいました、お話はまた後日』

「分かりました」

 

オモダカもオモダカで次々と訪れる他地方の人々の対応で忙しいらしい、アカデミーへの体験入学希望者もシビルドン登り。自分が原因だから申し訳なくもある……そしてそんなオモダカが頭を抱えていた事象の源泉はというと……

 

「ケンホロウ燕返し!!」「ガマゲロゲ、ヘドロウェーブ!!」

「ケッホオオオオ!!!」「ゲ~ロゲ!!」

「ムウウラアアアアッ!!!」「きゅううんんっぬんッッ!!!」

 

トウヤとトウコは自分の庭のポケモン達の相手を一日中する事になっている、数などを考えると一日中していなければならない。場合によっては何度も同じポケモンを相手にしなければならなくもなる、そして彼らは自分の指示なしに戦術を組み立てて来るポケモン達を突破し続けることが要求される。

 

「嘘だろあのアシレーヌ、ヘドロウェーブに拳圧で穴を開けたぁ!?」

「ムーランドが飛び込んでくる!?ガ、ガマゲロゲハイドロ―――「ムウウウンラン!!!」わああああっガマゲロゲェェェ!!?」

 

トウヤとトウコは自分のポケモンの個性に目を回している、此処まで癖が強い連中はそうはいない。世間一般的にイメージされるそれとは異常なまでに乖離しているのもいる、アシレーヌなんてその最たるもの。

 

「ま、負けた……ってもう次!?ま、待ってくれえ、ええっとっ……ワ、ワルビアル!!」

「あっとえええっとじゃあ私は―――……ああもうマラカッチ!!」

「ノックスァァァァ!!!!」「ガアアアアアアッ!!!!」

「またお前かよアーマーガア!?これで何回目だと思ってんだよ!?」

「本当にどうなってるのこのアーマーガア!?」

 

まあどうなっているんだと言われたら……戦闘狂のバ鴉としか言いようがない。まだ初日ではあるがトウヤとトウコは洗礼染みた超連続バトルに目を回しながら対応出来ている辺りは伊達に一度はチャンピオンの座に就いたわけではないのが分かる。

 

「二人が此処まで目を回すなんて、ボクも予想だにしなかったよ」

「あの二人はそれだけの事をしちまったんですよ、これは言うなれば罪の清算ですよ」

「それを言われると何とも言えないね……僕には聞こえるよ、皆君の事が大好きで本当に堪らないって言うのが伝わってくる。中には……随分と情熱的な子もいるみたいだね」

 

苦笑いするN、実はポケモンの言葉を理解していると分かると自分達の事をどう思っているのか是非聞いて来て欲しいと依頼されてしまって笑う事しか出来なかった。

 

「ンでNさん、あいつらの言う事って分かります?」

「うん、だけど驚いてしまったよ……あんなポケモンが存在するなんて思いもしなかったから」

 

Nがそういうのはパラドックスポケモン達の事。全く信じられない程に異質なポケモンに流石のNも面を食らった顔をしていた、事情を説明すると自分の知らない科学や数学的な好奇心が刺激されたのかいい笑顔をしていたのが印象的だった。

 

「一応分かるね、でも言葉がなんというか訛りがある感じなんだよね。聞き取れない訳ではないんだけど……そんな感じかな」

「バドレックスと同じだな……言語的な意味合いだと過去も未来もそこまで変わってないって事か……こういうのって考古学とか言語学的に凄い事なんですかね?」

「多分ね、だけどここは凄いね……僕のトモダチも此処で伸び伸びとしてる」

 

Nのポケモンもボールから出して伸び伸びとして貰っている、と言っても基本的にNはボールに入れないようにはしているらしいが……。

 

「レシラムは出さないようにしてくださいね、可能ならば封鎖中のバトルフィールドに」

「うん分かってるさ、本当に迷惑を掛けるよ」

 

現在新設したバトルフィールドは封鎖状態、バリアが使えなくなっただけで一応使えない事はないのだが……レシラムが気兼ねなくくつろげる場所として提供してある。無論、外から見えないように細工はしてある。

 

『……すまないラビ、私は何も出来ずに……』

「気にするなって言ってんだろデオキシス、あのゼクロムを止めるのは無茶な話だ」

 

そんな中、漸く自己修復が完了したデオキシスが申し訳なさそうにやって来た。そもそも修復していたのは身体ではなくスマホを取り込んだ際にそれを真似て電子回路のようなものを作り疑似的な発声器官を構築したのだが……ゼクロムの余りの高い電圧によって回路が焼き切れてしまったのでその修復をしていたのである。

 

『いや止める自信はあったのだが……あの質量があれ程までの速度で移動した際の運動エネルギーの計算をしていなかったのが不覚の極み……私が最初に対処したのだが、止められずにゲッコウガ殿にも迷惑を掛けてしまった……』

「本人も言ったがあれを想定しろは無理がある、寧ろあれによく向かって行ったな……」

『シンプルな質量には地面とフェアリーの備えも無意味だという事を悟ったよ』

 

若干遠い目をしているデオキシス、技などではなくただ速度を上げて移動していたゼクロムの質量そのものが武器となったのでタイプ的優位は一切発揮できなかったらしい。これはデオキシス的にはいい経験にはなるが、可能ならもうしたくもない経験だろう。そんな会話をしているNは不思議そうに首を傾げた。

 

「ねぇ、どうして君は自分の言葉を話さないんだい?」

『んっ?単純な話だ、私の元の言葉はこの星の人間だけではなくポケモンにも理解しにくい言語だ。それでは相互理解が遅れるだけで無駄が多い、ならば相互理解可能言語を口にした方が合理的だし第一、私だってその方が気分がいい』

「成程……それはすまなかった、ボクは単純に君にはポケモンの言葉があるのにどうして人間の言葉なのかな、と思っただけなんだ」

『当然の疑問だ。気になどしておらぬさお客人、此処を存分に楽しまれよ』

 

空へと舞い上がっていくデオキシスにNは興味深そうな視線を投げる。宇宙から来たポケモン、彼からしても本当に興味の尽きない存在なのだろう。

 

「さてと、俺も俺でやらないとな」

「何をだい、手伝えるなら手伝うけど」

「あいつらの、お説教役♡」

「……お手柔らかにしてあげてね、僕が言える台詞じゃないけど」

 

それがせめてもの援護射撃なのだ。そしてラビはスマホロトムで電話をかけ始める。

 

「もしもしおっつ~俺だけど今大丈夫?そっか、そっちはどう?そうかそりゃよかった、ンでさ急で悪いんだけどちょっとお願いがあるんだよ、そうそう、お前らが探してたコンビが家に来たんだよ―――おう今なんかすげぇもん引っ繰り返した音したぞ大丈夫か……うんそうそう、あの問題児二人、今庭でポケモンの相手させてる。ンでさ、そいつらゼクロムに乗ってトップスピードで来やがってさ……そう、警備班のポケモンに被害が出て、色々問題が起きてさ……うん」

 

何やら仲のいい相手との電話らしい、ゼクロムの事も知っているとなると……二人の友人辺りだろうか、確か一緒に旅に出た幼馴染がいたと聞いたが……。

 

「そう、保護区制定受けてさ……お、おい大丈夫か声に生気がないぞ?えっいやいやいやお前に謝られても困るから……そう、だからえっ人選はこっちでする?ああっうん分かった、それじゃあお願いしても良いかな、分かった、はい、はいはいは~い、そうんじゃ待ってるよほんじゃ~ね~」

 

よし、という声と共に切られた通話、纏まった様に聞こえたが……

 

「纏まった、と解釈してもよかったのかな今の電話」

「纏まった纏まった、あいつの幼馴染と親戚二人と後数人ぐらいは連れて来るって言ってた」

「そうなると5、6人になるね」

「まああいつらの説教にはそれ位居るって事だ」

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