週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ:PWCS ハイパーランク昇格戦 前編

「という訳でパルデア地方でのフロンティアブレーンになってみる気はないかい?」

「無いです。というか唐突に来て何戯言抜かしてるんですか状態異常頭おかしいですか」

「そこを素直に混乱と言ってくれない辺り流石に辛辣だねぇラビ君は!!」

 

唐突にやって来て唐突にそんな事をぶっこんでくる男に対して何のフォローもなく本音をぶつけるラビにその男はガハハハッと笑うが、それを見ているサザレは本当にそんな口の利き方して大丈夫?と焦っていた、これまでレジェンドチャンピオンマスターだのワールドチャンピオンだの凄い面子がこの家を訪れて来たが今回もまた凄い人が来たなぁ……とサザレは冷や汗をかきながらお茶を啜る。

 

「というか本気ですか」

「本気も本気、大本気さ」

「だからってもうちょっと設立に向いてる土地はあると思うんですけどねぇ……」

「いやいやいや、此処まで自然豊富で自然を生かした施設を作るという事にこそ情熱は湧き上がる物じゃないか!!」

「知りません、私はビルダーではなくイラストレーターなので」

「相変わらずドライだな~」

「連絡もなしに訪ずれりゃそうもなりますよ―――エニシダさん」

 

今回訪れて来たのはエニシダ。バトルフロンティアのオーナーであり世界的に見ても屈指の富豪でもある。しかしそんな立場にいるにもかかわらず自分の権力を振り翳す事もせず、ただ一人のポケモンバトルファンの一人としてトレーナーを応援し続けているという奇特な人物でもある。現在では各地方にバトルフロンティアに準ずるか同じ施設を作ろうと画策中。

 

「このパルデア地方には様々な自然環境がある、それらを生かさない手はないじゃないか!!そこに生きるポケモン達の事を踏まえるとバトルパレスのような施設を作って、大自然の中でトレーナーの腕を競うバトルフロンティア!!そう、ワイルドフロンティアなんてどうだろうか!?」

「ワイルドエリアと被ってるので没」

「そ、そんなぁ~……」

 

割と自信があったのか、速攻で却下された事が余程ショックらしい。が直後にそれもそうだな、そっちはそっちでガラル地方のにしておこうと思考の転換をする辺り流石やり手の経営者だと言わざるを得ない。

 

「ガラル地方ではフロンティアブレーン候補が生まれて、今カントーで修行中と聞きましたけど」

「ああ、全施設を巡った結果としてバトルアリーナを基礎にしたいという事になってね。ガラル地方のポケモンリーグはリーグ戦だろう、だから似つつも変化球を投げたいからアリーナにする事にしたって言われて結構真面目に考えてくれてるんだなぁってつい嬉しくなっちゃってね、ガラルの投資を数倍にしちゃったよ」

「いや数倍って……あの、投資ってそんな気軽にする物でしたっけ……?」

「そういうものだよ!!僕の投資は基本ポケモンの保護区や医薬品に新しいボールの開発、ポケモンセンターの設立なんかに使ってるからね。これも似たような物さ」

 

だからと言って数倍は凄い額になると思うのだが……バトルフロンティアの経営でそれだけ設けているのだろうか……まあそれはそれで嫌な話になるだろうから考えるのはやめておこう。

 

「いやぁしかし、フロンティアを攻略したラビ君がこうして腰を落ち着けているなんてねぇ……ダツラからも君は元気にやっているとは聞いたけど、やっぱりブレーンにならないかい?」

「ならねぇっつってんだろ金持ち、道楽に興じ過ぎなんだよ」

「ハッハッハッハッこりゃまた手厳しい~!!」

「というかさ、ラビはいい加減言葉遣いを改めた方が良くない?流石に失礼なんじゃ……」

「礼節知る相手なら年下でもちゃんと相手する、知らん奴にはこれで十分だ」

「いやぁ~本当に面目ないっ!!」

 

それにエニシダとは父親経由での知り合いなので付き合いがそれなりに長いからこんな感じにしているし希望されている事でもある。自分は嫌だったが、エニシダからいやいやいやラッシュされて此方が折れてこうしている経緯もある。

 

「ンで、なんで俺の所に来たんですか」

「おやなんで分かったんだい?」

「貴方がバトルフロンティアを作りたいとパルデアに来たなら俺の所に来るのは可笑しいでしょう。確かに俺には色々とコネはありますがそれを利用するよりもあなた自身が出た方が余程早いし楽なのにワザとらしく回り道をしていればそうもなります」

「意見を聞いてみたかった、という事は無いのかな?」

「それならそういう話し方をする、だけど貴方はどうも此方の様子を窺っている感じがしてならない」

「……アハハハッ……バレたかい?」

 

エニシダはバレたか、と言いたげな顔をしながらそう言ってのけた。矢張り本題があったのか……サザレにお茶のお代わりをお願いしつつもいよいよ本題をお願いする事にした。

 

「実はね、PWCSのランクバトルでとある人物のバトルを依頼したくて来たんだ」

「それなら本人がすればいいでしょう、アプリで申し込みもメッセージのやり取りも出来るのに態々他人を、しかもエニシダさんを経由しなければいけない?その時点でいまいち信頼性と人物的な信用に欠けますね」

「言うねぇ……その人物の人格云々については僕が保証しよう。単純な話でね、ランクバトルの申し込みをしても中々成立しない、というのが真実でね……」

 

人格的には保証されているのにバトルが成立しない?ラビは基本的に挑まれたバトルを全て受けているのだが、その時の予定やポケモンの状態が合わなければバトルは成立しない事は多々ある。PWCSのコミュニティチャットでは有名人にバトルを挑んだけど、タイミングが悪くて挑めなかったぁ~という話が良く転がっている。

 

「それって、どういうことなの……?別に人が悪くて避けられてる訳じゃない、だけど断られる……単純に物凄く運が悪いとか」

「無くはないだろうけど……過去一の参加人数とも言われてる今大会でそれは考えにくいけどなぁ……ハッキリ言ってください。俺を、誰と戦わせたいんですか」

「……分かった、君にはそれが一番だという事を忘れていたよ。この人だ」

 

そう言ってタブレットにデータを出力して差し出してきた、それをサザレと共に見るのだが思わずギョッとしたように目を見開いてそれを凝視してしまったが確かに断られる気持ちも、分からなくはない……確かにそんな人物からバトルを申し込まれたら断りたくなるのも頷けてしまう。

 

「加えて言うならば……ラビ、仮に勝てばハイパーボール帯への昇格も可能だろう」

「……戦えてないという割には確かにランク高いですね、どういうカラクリで?」

「僕の方でランク上位のジムリーダーさんとのバトルをお願いしてたんだよ、だからランク上位者とバトルをしてたから今スーパーボールクラスなんだ」

「あ~……それで勝ってランクが高いんだ……」

 

正直な事を言えばエニシダも可能ならばこういう事は避けたいが、その人物も自分で相手を見つけられずにバトル出来ない事を相当気にしているらしく落ち込んでいたらしい。そんな姿を見たら、手助けをしない訳にはいかなかったとの事。結果としてバトル申し込み回数は相当なのにバトルが成立することは異常な程に少ないという事態が起きている。なんというかまあ……可哀そうとも思う一方で自業自得な気もしなくはない。自分だって勝負を挑まれたら素直に悩むし可能ならば避けるだろうと思う。

 

「如何するのラビ」

「……エニシダさん、貸し一つ……いや、貸し三つです」

「その位ならお安いね」

 

エニシダには恩を売っておくに限る、という訳ではないが対等な立場である事を敢て強調するようにしておく。まあこの人はそんなことしなくても商売人としても確りしているので借りておくよ、平然と言うだろうが……そして外へと出てエニシダがその人物を連れて来た。

 

「今回は、バトルを受けて下さって心から感謝します……高名な貴方とバトルが出来る幸運いえエニシダさんにも心からの感謝を……」

「僕は仲介をしただけさ、ブレーン候補の君には頑張ってほしいからね」

 

ブレーン候補、赤い外套に身を包み暗い髪色をしている青年がそこにいた。ある意味ではアニポケファンならば忘れる事の出来ない事件を作り出した人物……アニポケ屈指の名バトルとも名高いシンオウリーグシンジ戦の次の試合でサトシが対決する事になったトレーナー……その人物はこれまでの試合、ジム戦までもをダークライたった一匹で突破して来たという。その名はタクト、サトシを倒したトレーナーでもある。同時に酷く納得した、そりゃダークライとラティオスを平然と使って来る相手と戦いたくはねぇだろうな、と。だがその表情は何処か窶れているようにも見える。

 

「正直な話、バトルを受けてくれない事がかなり心に来ていましてね……エニシダさんの仲介以外ですと全くだったもので……ですので本日は楽しませて頂こうと思っております、バトル、宜しくお願い致します」

「此方こそ、配信はしても?」

「ご存分にしてください、私としても貴方の配信はいつも楽しく見せていただいております。それに出演できる、嬉しいことこの上ありません」

 

握手をする、タクト自身に特段問題になるような所はない。礼儀正しく言葉遣いも丁寧、問題があるとすればダークライを使って来る所か……本当にそこだけで敬遠されるのはなんというか、不憫だ……とも思う一方でいやならダークライ使うのを控えろ、と言いたい気持ちもある。そんなこんなでバトルフィールドへと移動するとドローンロトムがやって来るのであった。ホント早いな来るの。

 

『スマホロトムより互いの情報を取得。このバトルはPWCSランクバトル、スーパーボールクラス公式戦として承認されました。そして今バトルは両者のハイパーボール級への昇格戦となります。勝者はハイパーボール級への昇格となります!!対戦ルールは2対2、ポケモンの交代は両者自由となります。ラビ選手 VS タクト選手。それでは両者、最初のポケモンをフィールドへ』

「行くぞ……ダークライ!!」「―――……ンゥゥッ!!!」

「芽生えろ、咲き誇れ……フラージェス!!」「ラァアスッ!!!」

 

To Be Continued……!!




ハイパーランク昇格戦の相手はダークライ使いのタクトです。サトシキラーとして悪い意味でも有名になってしまったあの人です。

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