「ハルトさん、調子はどうですか?」
『ああ、ベイクシティのリップさんに勝ってこれから次のジムに向かおうとしてるけど、スルーしちゃった最後のヌシを攻略しようってペパーとも相談してきました』
「そうですか……なら、覚悟を持って臨んでくださいね」
『……そんなにやばい奴がいるんですか?』
ハルトは思わず喉を鳴らしてしまった。イダイナキバとテツノワダチにも一歩も引かないどころか寧ろ好戦的にすら思える程に向かって行ったアーマーガアを持つラビが警告してくれるとは思いもしなかった。
「そこにいるヌシポケモンは偽竜のヌシとも言われています」
『ギリュウって……偽物の竜って意味ですよね、どういう事なんですか?』
「説明は、長くなりますね……端的に言えば貴方達は間違いなく苦戦します」
『……根拠は?』
「貴方達のスタイルはヌシを数で追い込むスタイルだから、です」
益々分からない。数的有利で相手を追い詰める事は呆れる程に有効な筈だ、それがたとえシングルだとしてもダブルだとしても手札が多い事に越したことはない筈。だが……そこにいるヌシはダブルだからこその戦術を取るのだ。
「其処のヌシポケモンを私は知っています、丁度いいですから次の配信を見てくれますか?そこで詳しく解説します―――所でハルトさんはダブルバトルはしますか?」
『えっ?ああしますよ、俺どっちかと言えばダブルバトルの方が好きなんです。常に状況が変化して飽きないじゃないですか、それにポケモンもいっぱい見れるし……』
「成程……アチゲータさんの焼き尽くすはダブル意識だった訳ですね?」
『へへっよく覚えてましたね、でも焼き尽くすは相手の道具にも作用するから使いやすいんですよ。当てやすいし』
思っている以上に考えている、焼き尽くすは相手全員を範囲にしている炎技。そんな技を繰り出せば範囲が広いので命中率は当然の事だが火炎放射を出すよりも当たりやすい。
「それではダブルバトルにおける一つの回答をお教えします」
『回答!?そんなのあるんですか!!?』
「ええありますよ、それを活かすも対策するもあなた次第です」
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。本日ご紹介するポケモンさんは此方」
「ラァァァァシャイ!!」
「ヘイラッシャです、何時も思いますけど何だかイシツブテさんみたいな声ですよね」
「ラッシャイ?」
| ・うわぁ遂に来やがったぁ!!? ・でっか~い!! ・魚~ ・ラッシャイ!! ・客引きでもしてんの? |
|---|
「水単タイプのポケモンさんで、知っている人も多いかもしれませんが高さは12mとかなりの体躯を誇ります。この体躯に相応しいパワーを誇っていますが、頭の方は良くないというお茶目さもあります」
「ヘッシャイ!!」
「いや、あんまり褒めてないですからね?」
「シャイ!!?」
| ・頭良くないのかwwww ・そうなの!?って顔してるwwww ・面白www ・コントか!! ・でもなんて一部が騒いでるん? ・こいつバカ強いんだよ!!? ・マジでやばいんだよこいつ!! |
|---|
「バトルをしている方々ならば彼を警戒するのも当然です。私の配信ではシングルでの使用を重視して紹介をしていますが、このヘイラッシャはシングルバトルでもダブルバトルでもそのポテンシャルを遺憾なく発揮する事が出来ます。寧ろ、ダブルこそが本領発揮とも言えます。今回はその辺りもご紹介します」
| ・そ、そんなに? ・ダブルでも強いってなると……バンギとか? ・その辺りだな、ヘイラッシャはマジでその位に強い。 ・いや下手したらバンギより厄介だ。 ・そんなに!!? |
|---|
「ヘイラッシャの強みは鈍足ながらの巨体を活かしたパワーとタフネスです。体力も多い上に特防は物理に比べたら低めですが、物理に至ってはクレベースさんに迫る程のものを発揮出来ます。というか体力のお陰もあって特防方面も脆くはないです。これに加えて特性も凄いです。夢特性は水のベールという火傷にならないという物ですが、通常特性が天然と鈍感です」
| ・ギャァッ⁉ ・おまっその性能で天然と鈍感はあかん!!!? ・天然で鈍感? ・なんか、鈍そう……。 ・案外大したことない? ・たわけぇい!!! ・大したことないなら騒いでねぇわ!!! |
|---|
「鈍感はメロメロにならない、挑発という変化技を封じる技の影響を受けない、そして威嚇が通じないという防御面としてはかなりのものなんですが……天然はもっとです。天然は相手の能力変化を無視するという物です。正確に言うのであればこの特性持ちポケモンさんが攻撃したら相手の防御・特防・回避率が上がっていたとしても無視します、相手のポケモンさんから攻撃を受けた場合は攻撃・特攻・命中率の上昇を無視します」
| ・―――えっ? ・つまり、どういう事だってばよ……?? ・いや分からない訳はないんだけど、えっと…… ・???? ・すまない、頭が悪くて済まない…… |
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「分かるように言えば相手が鉄壁をしていたとしてもダメージは軽減されない、影分身で回避しやすくしようとしても意味がない。ですが此方が剣の舞などをしていたら、それはそのまま適用されて威力は上がり、鉄壁でも普通に防御力は上がり、影分身で回避率も上がります」
| ・はああああああああああああ!!!?? ・なにそれ、なんだよそれ!!? ・こわ、マジでこっわ!!? ・そりゃ叫ぶわ!!? ・マジでやばいじゃん!!? |
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「はい、やばいです。一応リーフストームや流星群など、使った反動で能力が下がった場合でもそれらが適用される事なくそのままの威力を押し付け続けられるという利点もありますので思わぬ落とし穴もあります。型破りなどを持っていればこれらの効果を無効化する事は可能ですし、光の壁やリフレクターなども無効化は出来ません」
| ・対抗手段はあるけど、あんま現実的じゃねえなぁ…… ・う~む…… ・硬い相手に能力あげて攻撃、とかが封じられるってマジかよ…… ・常套手段封じって…… ・そりゃシングルでも強い訳、ってえっダブルだともっとやべぇの? |
|---|
「もっとやばいです。ヘイラッシャは単独でも強力な技を数多く習得します。ウェーブタックルやヘビーボンバー、一撃必殺技の地割れまで。此処に更にやばさを投下するのが―――此方」
「オレスシー!!」
「此方のシャリタツさんです」
| ・えっなにこれ ・……寿司? ・キエアアアアアアアアアアアアシャベッタァァァァ!!!?? ・ポケモン!!? ・スシポケモン……ってなんてキワモノな進化を…… |
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「此方のシャリタツさんはヘイラッシャと共生関係にあります、ヘイラッシャはシャリタツから指令を受ける事で効率的に獲物を確保することが出来ます。そしてそれはバトルでも発揮されます、シャリタツさんには指令塔という文字通りな特性がありまして、シャリタツさんお願いします」
「オレスルー!!」
「ラッシャイ!!」
| ・もう喋ってねぇかこいつ。 ・あれ、ヘイラッシャが大きく口を開けた ・シャリタツが何やら準備運動をして ・飛び込んだぁ!? ・そして口を閉じたぁ!!? ・食われたぁ!!? |
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「大丈夫です、口の中にシャリタツはいます。シャリタツさんはドラゴンタイプなのですが、ドラゴンポケモンさんとしては能力は低い方なのです、そこで能力こそ優れているが頭が良くないヘイラッシャの指令塔を務める事で代わりに狩りをさせるんです」
| ・ハエ~!! ・面白い~!! ・成程、これも自然を生き抜く知恵か ・ヘイラッシャにもメリットがデカいんだな。 ・そっか、無理に考えなくても考えてくれる相方がいるんだもんな |
|---|
「そして、この形態になると特性の指令塔が真価を発揮します。シャリタツさんが口の中に入ったヘイラッシャはフルスペックを発揮します。ダブルバトル的に言えば相手が二体だとすれば、此方はヘイラッシャ単独の状態になってしまいますが、指令塔の効果でヘイラッシャの全ての能力がぐ~んと上昇するのです、回避などは上がりませんが」
| ・―――えっ? ・ぐ~んと!!?全能力が!? ・嘘だろ!? ・しかもこれってヘイラッシャが戦うって事だろ!?特性は!? ・あっ天然!!? |
|---|
「そう、ヘイラッシャのみがフィールドに立って戦う事になりますがそんなデメリットなんてこの状態になってしまえば気にならなくなります。圧倒的な能力で相手を蹂躙出来てしまいます、ですが対策がない訳ではありません。言ってしまえば能力変化ですので、黒い霧やクリアスモッグと言った能力変化をリセットする技を使えばヘイラッシャ単独、というダブルバトルでは相当に有利な状況に持って行けます」
| ・あっそっか、そうすればいいのか。 ・むしろチャンスになるのか。 ・つっても高機能重戦車ヘイラッシャを倒すのも楽ではないっしょ ・だけど二対一は相当に楽だぞ。 |
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ラビは何方かと言えばシングルバトルが専門ではある、が、ダブルバトルが出来ない訳ではない。単純にシングルの方が性に合っている。今回もヘイラッシャと言えばこれを紹介しない訳にはいかないしスパイスを手に入れる上で重要だから紹介したのだ。
「勿論、単独でも天然による強さは揺るぎません。高い耐久と巨体から繰り出される猛烈なパワーこそがヘイラッシャの強みです。このコンビが出てきたら生半可な戦い方では突破出来ません、全力で向かう事をお勧めします、それはシングルでも同じです」
配信を切りながらも今回はかなりヘイラッシャの強さに重点を置いた紹介を行った、それだけヘイラッシャとシャリタツのコンビはやばいのである。ゲームのレーティングバトルでもダブルバトル環境を席巻していると言っても言い過ぎでない。上位陣がヘイラッシャとシャリタツを使っている事は全く珍しくない。
『ラビさん、配信見ました。これが、俺達の相手って事ですね』
「はい、加えてスパイスで強化されているでしょうから余計に厄介です。ですが貴方達は三人です、上手く戦術を組み立てて行けば必ず勝てます。いざという時は呼んでください、駆け付けますから」
『―――いえ、それは俺達でどうしようもなくなった時だけにしようってアオイとペパーと決めてます。呼びすぎるのは失礼だと思うし、それに……』
「それに?」
『俺達の宝探しじゃなくなりますからね!!』
爽やかでありながらも力強い返事に思わず頬が緩んでしまった。どうしてこうも若者はキラキラしているのだろうか。思わず嬉しくなってしまうじゃないか。