「ねぇっラビ、なんか庭の奥辺りに皆向かってるけど何があったの?」
「六英雄が来てる」
「えっまた来たの?」
ラビの庭は基本的にポケモン達が自由に行きかうビオトープ、野生のポケモンもやって来ては菜園の木の実や野菜を狙う事もあるが、それはチヲハウハネが撃退するかオーガポンが手伝ってくれるなら分けても良いよ、と交渉して労働力を確保したり色々であるが、こんな風に一部に偏る事は珍しい。そんな理由はルシアスのポケモンである六英雄が訪ねて来たからである。
「六英雄は今様々な地を巡ったり、元々いた所に戻ったりしてるそうだ。ンで、集まる時は此処にさせて欲しいってダイケンキ経由でお願いされたんだよ……人の庭を何だと思ってんだ、やっぱり英雄なんて名乗る連中はくそだな、古代の焦げカスが」
「まあまあ……それだけ此処の環境が落ち着くって事なんだ、と思うよ多分……そう思う事にしとかない?」
「あの馬鹿共、俺がゲットして永遠に封印したろかな……」
「どんだけ英雄が嫌いなのよ」
ラビだってキュレムに認められているんだから英雄みたいなもんじゃないか、と思うのだが口にしたら明らかに機嫌を損ねるだろうからやめておこう……六英雄がいるであろう方向を見てみると……その頭上の空が明らかに晴れている、いや薄く雲がかかっていた筈なのにその部分が穴のように開けられたように晴れている。これはつまり、レックウザもあそこにいるという事になるのか……確かにこれはラビも苦言を呈したくなるのは当然だろう。
「英雄なんてものは人間が作り出した都合のいい人柱だよ、困ったら駆り出す癖に要らなくなったら捨てられる。使い捨ての便利道具みたいなもんだよ」
「本当にドライだねぇラビは、そういう人たちが伝説を残すから記録に残ったり絵画にされたりするんじゃないの?」
「人は自分の持たないあれこれを見て楽しむからな、そんなに英雄が好きなら自分でやる事を覚えたらいい、そうしたら人類皆英雄で英雄なんて概念は消え去る」
如何してそんなにも英雄を嫌うのか、スーパーヒーローみたいでカッコいいじゃないかとも思うのだが……写真家としては英雄の活躍の一瞬を写真に切り取ってみたいという欲もある。
「レッドと旅した事があるって話した事あったか?」
「あっうん、ロケット団に絡まれてる所に居合わせて、そこで同行する事になったんだよね?」
「ああ、そこでレッドとは暫く旅をする事になった。正直な話をすればその時は結構テンション上がってたな」
あのレッドと旅を同行する、その時には既にPWCSのチャンピオンとして名を馳せていたしそんなトレーナーと同行出来る事はシンプルに緊張もしたが、レッドはチャンピオンとしての威厳をまるで出さない。もっぱらバトルをしたり、一緒にポケモンの手入れや食事をテーブルを前に大人しく待っていたりと年相応の青年にしか見えなかった。
「だけど旅先だとかなりレッドは自分を隠してた、偽名も使って自分を隠してた。チャンピオンに寄生して美味しい汁を吸おうとする連中に辟易してたんだよ、その一方で勝手に英雄視されもして、一方的に自分にない物を付けられたりして溜息もついてたな」
「あの人ってそういうの全部興味ないと思ってたけど、大変だったんだね」
「最初は無視してたんだけど、それでも近づいてくる奴はいるし黙っている事を良い事に無許可で馬鹿やらかすのも多かったそうだ。それでライバルのグリーンさんによくポケギアで相談してたな」
『……あのレッドが、誰かと旅をしてる!?お、おまっよく旅出来るな!?この、無表情の鉄仮面で無口で、バトルの事になると多弁になる社会不適合者と!?』
『……そこまで言います?』
『……グリーン、表出ろ』
『あっ悪い悪気があった訳じゃねぇんだいやホントだからそんなマジな顔するな、いや待てピカチュウ出して電撃発せさせながら迫るなマジで!?』
『いや今のはグリーンが悪いわよ、幾ら唐変木で朴念仁のレッドだって怒る機能位あるんだから―――って待って今の冗談だから!!ジョーク!!所謂イッシュニアジョーク!!!待って、ラビ君助けて庇ってヘルプ!!!』
『幼馴染だからって良い事と悪い事があることぐらいは分かりましょうよ、レッドさんカレーが出来上がるまでには勝って来てくださいね』
『ハンバーグ付きで』
『辛口のね、了解です』
『『NOOOOOOO!!!!』』
「グリーンさんとブルーさんも来たりワチャワチャするのも楽しかったな」
「それって私と旅する前?後?どっちにしろなんかすごいタイミング逃した感じ~」
「まあその内に来ると思う「ごめんくださ~い」……早速来たよ」
「ラビって、割とフラグ建築士だよね」
「やめろ、不名誉な名前を俺に付けるのはやめろ」
キュレムと共にいる事で何かが変動している可能性はある、キュレムがそんな事を言っていた気がする……虚無を埋める過程で自分の中の何かが虚無となったとか何とか……それは自然に埋まるが元あったものよりかは減っている……幸運値が減っているのだろうか。
「初めまして、ボクはコウヘイと申します。ハイパーボールクラスのトレーナーとして、貴方にバトルを申し込みます!!」
やって来たのはコウヘイ、勝てるポケモンバトルの方程式が頭に入っていると豪語するデータ派のポケモントレーナー。サトシともシンオウリーグでバトルの経験があり、その時はトリックルーム戦術でサトシのペースを乱したが、フカマルの流星群完成とシャドーパンチを食べるという予想外の戦術で敗北を喫する事になったが、素直に敗北を認める潔さや敗れたポケモンをいたわる優しさも持っており、真摯にポケモンバトルに取り組んでいるトレーナーだ。
「先日無事昇格を果たしまして、如実に増えていくハイパーボールクラスで生き抜くためにも貴方という高みとのバトルをしたいのです」
「承知しました、ではバトルフィールドへ」
「はい、ああっ配信も是非、そしてバトルは3対3の公式ルールでお願いします」
今まで2対2が多かったが、これからはこの公式ルール戦が増えて来るのかもなぁ……と思いつつもフィールドへと案内するとドローンロトムが既に待機していたのだが……
『お、お助け~……』
「ムウマージさん、その辺りにしてあげなさい」
「ムゥ~」
ムウマージに悪戯されていたので助けてあげた。ドローンロトムも一応ロトムなのでゴーストタイプ同士で遊びたかったのかもしれない。
『スマホロトムより互いの情報を取得。このバトルはPWCSランクバトル、ハイパーボールクラス公式戦として承認されました。対戦ルールは3対3、ポケモンの交代は両者自由となります。ラビ選手 VS コウヘイ選手。それでは両者、最初のポケモンをフィールドへ』
「行きますよぉっカバルドン!!」「ガッバァァァド!!!」
「飛ばして行こうか、ガブリアス!!」「ガブァ!!」
今回はシンオウからコウヘイです。なんかヒカリのストーカー的な印象しかありませんがこいつ割と強いんです。アニポケでトリックルームやって来るしツボツボのパワートリックとか割とガチでも使うような戦術とって来るんですよね。