「う~んしかし、此処も中々良い環境が整ってるね~」
パルデア地方へとやってきているマスタード、数日は滞在して帰るという。一応PWCSには参加こそしているが当人としては、それはあくまで弟子と戦う為の理由付け程度にしか考えておらず積極的に参加しようとは思っていないとの事。曰く
『だってワシちゃんはもう引退して久しいのよん?そんなロートルのワシちゃんが今どきの大会に出ても誰も喜ばんよ、まあユウリちん辺りは喜んでくれるだろうけどねぇん』
との事。本当に自分と戦う為だけにやって来たのか……それはそれで今の弟子たちに嫉妬されてそうで怖いのだが……最終的な決定権は師範であるマスタードにあるので覆し様がないというしかないのが実情。
「ラビちんもポケモン達への愛情が変わってないようで良かったよん」
「俺の愛は不変ですよ。いや変わりはするか、深まるという意味で―――なんで噛むのガブリアス、前見えないって」
「フカマルって言ったからじゃない?」
「いや何そのくだらない理由」
ガブリアスを宥めているラビを見ながらもマスタードはおやつのミルタンクのミルクプリンを口へと運ぶ。矢張り素晴らしい口当たり、そして自身のポケモンへと食べさせる食べ物にも一切の妥協も手抜きもしていない、道場でも進んでポケモンの世話をするので助かったがその度合いが明らかに他の弟子と比べても異常な程だったので、道場では
「あっそうだラビちん、ワシちゃんも配信に出ちゃう事って可能なのん?」
「えっ興味あるんですか?」
「君のポケモンの知識は驚くからねぇ~ミツバもハイドも感心しておったよ」
「そう感心されるようなもんじゃないですけどね……」
「謙遜しちゃってぇ~」
「してません、純然たる事実を言ってるだけです」
昔からこういう所は変わらない、本性とも言うべきラビの本当の姿は荒々しくありながらもそれらを全く表に出さない好青年。道場でも他人が困っていれば当たり前のように手伝うし、ワザと仕事を多く振られても文句一つ言わない所か、道場で世話をするポケモンの中でも最も気性の荒いギャラドスにも恐れる事無く向かって行ったほどだ。
「それにしても懐かれとるね」
「いやいや、これを懐かれてると喜んでいいのか―――はい嬉しいですので噛まないでください」
「ほっほっほっ愉快愉快ダイヤモンドぐらいにユカイ☆」
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。そして本日のゲストは此方」
「やっほ~皆元気にポケモン捕まえとるかな?沢山捕まえた君も、まだまだの君も此処で学んでいってちょっ☆という訳でワシちゃんはマスタードだよん☆」
「本日はこのメンバーでいきます、そして本日ご紹介するポケモンさんは此方」
「バァナァ」
「フシギバナです」
| ・おおっ前回のバトルで活躍したフシギバナじゃないか!! ・今までヌシが紹介してきたポケモンばっかりなのにいきなり違ったから吃驚したぞ ・そうか、今まで紹介してたか……どんだけやって来たんだよって話だな。 ・キバナ:まだラビの所にいたんだなあの人。 ・ユウリ:まあ師匠はお茶目な人ですから。 ・アイリス:ホント好好爺って言葉が似合うお爺ちゃん、そんなお爺ちゃんとフシギバナ。 ・ナンジャモ:いやぁ立派なフシギバナだなぁ ・ナモ公がいます!! |
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「フシギバナは草と毒の複合タイプです。進化前から背中にあった種は蕾を経て大輪の花を咲かせています―――がなんでか分類は種ポケモンのままなんですよね。そこんところどうなんですか博士方、大華ポケモンとかでもいいんじゃないんですか」
「それは確かに思っちゃうね~」
| ・オーキド:いやぁ、それは決めたのワシじゃないし…… ・ウツギ:当時のポケモン学会でそう決まりましたしねぇ…… ・オダマキ:確か種の形がまだ残っているからでしたっけ ・ナナカマド:それらがあったが為に、流れとして種ポケモンという種別にしたのかもしれんな。 ・アララギ:あらら、でもこれはラビの指摘もしょうがないわねぇ……学会に再定義要請します? ・な、なんか凄い事になってる…… ・流石ヌシの配信、博士がすげぇ数いるぜ |
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「その大きな花は太陽光を吸収してエネルギーへ変換可能で、太陽光を浴びていると体温が上がると共に活力が漲って来ます。十分な栄養と太陽光を受けた個体程、花の色は鮮やかであるとされています。そしてその花から漂う香りは戦うものの気持ちを宥める効果があり、雨が降った翌日は特に香りが強まって、誘われたポケモン達が集まって来ると言われています」
「ラビちんのフシギバナはとっても綺麗な色をしておるね。良い育て方をしておるわ」
「有難う御座います、そしてフシギバナと言えばカントー地方では初心用ポケモンとして進化前であるフシギダネが渡される事がありますね」
| ・そうそう、俺のライバルもフシギダネでスタートした ・お前は?ゼニガメ? ・いやロコンだった。 ・そこはゼニガメだろwwww ・しょうがないだろ!!俺もゼニガメ欲しかったけど子供のころから一緒だったロコンが私を連れてって!!ってせがんで来るんだから!! ・ああそれは勝てませんわwww |
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「それでラビちん、あのフシギバナは一体何だったん?」
「ああこれですか?フシギバナ、師匠がご所望だ」
「バナバァアアナッ!!」
| ・うわ出た!? ・蔓の鞭で足を作ったあの姿!? ・というかメガシンカしてなくても出来んのか!? ・ナタネ:やっぱり素晴らしいわ……この艶とハリ―――あああん頬擦りしたぁい!! ・安定のナタネさん |
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「これはフシギバナの機動力と手数、そして攻撃力を上げるために考えた蔓の脚です。そもそもフシギバナは蔓の鞭を無数に出す事が出来ますからそれを利用しない手はないと思ったんです。そこで思い至ったのがパワーウィップから得た着想で、蔓の鞭を纏め上げて太い一本の蔓にする事で強度を上げてフシギバナの新たな脚兼腕にしてしまおうって事です」
「それでこうなったのね」
「ええ、限界までやった結果として4本の新たな脚を得る事に成功しました。これによって高速移動が出来るようになり、悪路だろうが断崖だろうが安定した戦闘が出来るようになりました。実際崖崩れに巻き込まれた時は命を救われましたから」
| ・あ~成程、確かにこれなら身体を固定しつつ悪路だろうが戦えるのか ・こりゃすげぇ発想だわ。 ・キバナ:これで鈍重なフシギバナのスピードを確保できるし、そのまま攻撃範囲もリーチも絶大になるって寸法か ・ショータ:発想としては僕のジュカインのハードプラントと似てますけど、改めてこれは…… ・どっからその発想持ってきた。 |
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「特性は新緑、夢特性は葉緑素です。彼は新緑ですけどね」
「ふ~んそこは一緒なのね」
「それとフシギバナは鈍重だという意見もありますが、実際はそんな事はありません。同じく草タイプのドダイトスが重量級だからかそう思われがちですが、フシギバナの体重は100㎏でドダイトスが310㎏と三倍以上の差があります」
「およ、そんなに違うのね」
「だから俺は別にフシギバナの動きが遅いからこれを編み出したわけじゃないです。割とこいつ動けますから」
| ・えっそんなに違うの? ・三倍も違うのか、確かにそれなら重量級とは言えないな。 ・でも100㎏って具体的に他に何がいる? ・ナンジャモ:えっと確かトロピウスが同じぐらいじゃなかったかかな ・キバナ:あとは少しだけ重くなってボーマンダとかラムパルドとかもいる筈だな ・それらと同じと思えば確かに重量級ではないか |
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「技としてはリーフストーム、エナジーボール、花弁の舞、ギガドレイン、ハードプラント、ソーラービーム、蔓の鞭、ヘドロ爆弾、アシッドボム、大地の力、ウェザーボール、物理は花吹雪、種爆弾、種マシンガン、パワーウィップ、毒突き、地震、叩き落とす……とこの辺りでしょうか。変化技は宿木の種、剣の舞、鈍い、堪える、守る、身代わり、眠り粉、毒の粉、毒々、日本晴れ、ど忘れ、両壁、糸を吐くなんかも使えます」
「糸を吐くが使えるのは知らんかったねぇ~」
| ・草が中心だけど、毒と地面とかも使えると中々良いんじゃない? ・剣舞覚えるとかも中々だな。 ・特攻上げる技はないけど、代わりにアシッドボムで下げていくってのもありだもんな。 ・ああそうか、そっちがあるのか。 ・キバナ:交代されると無意味になっちまうけど同時にダメージを与える事が出来るからな、まあこればっかりは一長一短だな。 |
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「そしてメガシンカしてメガフシギバナになると特性は厚い脂肪になります、この場合は厚い子房ですかね。これは炎と氷に対する耐性を獲得するも同じであり、これによってメガフシギバナは草タイプでありながらも最大の敵ともいえる炎と氷に対して強く出られるのでメガシンカの中でも上位の強さを獲得しているとも言われています」
| ・実質的に弱点が二つ等倍になるようなもんだもんな~ ・キバナ:実質的に弱点は飛行とエスパーだけか。 ・リザードンはきついかもしれないけど、氷相手にはめっちゃ強く出れるな。 ・う~んこれは強い。 ・弱点が減るってすげぇいいな。 |
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「草技でガンガンと攻めていくのもいいですが、宿木の種とギガドレインとアシッドボムを駆使し相手の体力を削りながらも此方は回復していくという耐久戦も可能です。なんならそこに毒やら眠りで状態異常にしつつ、光合成で高速回復も可能です」
「流石ラビちん、そういう相手に不利を押し付ける戦術に関しては一流ね」
「戦術って奴は相手に自分の得意、相手の苦手を押し付ける類の嫌がらせですからね。卑怯なんだと言われてもそれは此方を褒めているも同じです、自分の戦術レベルの低さを棚上げしているだけの戯言に過ぎませんから。さて、太陽の光を力に変えて戦う大華のフシギバナ、いかがでしょうか」
| ・俺、最後に挙げた戦い方すげぇ好きだ。 ・そうだよな、戦術って奴はそういうもんだからな。 ・シロナ:実際そう言うものだからね、文句を言う人はポケモンバトルに限らず作戦を語る事も使う資格もないって事になるわ。 ・キッツいお言葉だけど事実だからなぁ……。 ・ナタネ:私も最後の戦術やりたいわね……研究のし甲斐があるわ、だけどフシギダネとかは滅多に会えないからなぁ~…… ・キバナ:そこだけがネックだよな。オレ様は相棒なら上手くやれるか、大地の力は警戒がいるが。 ・アイリス:私は毒技を警戒しないとマズいかなぁ……。 ・ナンジャモ:相変わらず他人からの評価とかあんまり気にしないよねラビ氏って。 ・まあヌシだし。 ・気にしてたら何時までも収益化してねぇよな。 |
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そこで配信を切っておく。終わると直ぐにフシギバナは蔓の脚を展開して移動を開始した。別に自分の脚で動いても良いのだが、蔓を鍛えるという意図もあるらしい。筋肉じゃないから使っても蔓は強くならないのでは……とも思った事もあるが、それで太くなっているナットレイがいるので何も言わなくなったラビであった。
「うんうん、今も修行大好きみたいだね」
「やり過ぎな気もしますけどね、あれ」
今フシギバナは蔓の脚を使っての高速移動訓練と悪路突破訓練、それらをこなすと次は岩場エリアに足を踏み入れて壁に垂直に立つとそのまま高速で回転したりしながら自分の視点をぐるぐると回転させ始めた。
「バア、ナッ……バアアナッ!!!」
平衡感覚を鍛えるのも楽ではない……正直言って目が回りそうになるからやりたくはないが、これが一番蔓の脚を鍛えるのに効くからしょうがない。じゃなきゃ自分はこんなことしたくはない。こんな事をしているから、偶にリザードンにお前ってアリアドスだっけ?って言われるんだ。
「バアアナアアッ!!!」
あいつ、何時か絶対に泣かしてやる……と誓いながらも鍛錬を続ける。今回メガシンカしておきながら敗北したのは自分の失態にして屈辱。今度は勝つ、今度こそ……!!そんな熱を燃やしながらもフシギバナは訓練を続ける。昨日の自分を越える為に……。
「バナァァァァ~♪」
「お前本当にこれ好きだな」
そして鍛錬をした後のミックスフルーツジュースを飲むのが堪らないんだ!!よく冷えていて堪らなく美味いんだ、この為に生きていると言っても過言ではない!!
「なんか、仕事終わった後に風呂入ってビール飲んでるおっさんみたいだぞ」
失礼な事を言うな、鍛錬だって大切な目的だ。だけど―――それ以上にこれが良いんだこれが!!