週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

424 / 691
エンジョイ?:テストオブメガシンカ

ラビの目の前にはプラターヌ博士から渡されたメガストーンが並んでいる。彼はパルデア地方のポケモンの生態調査に向かったが、ラビとしては残されたこれらが奇妙な残り香のようなものを放っているように感じられてしょうがなかった。

 

「しかしすげぇ数だな……これ本当に全部メガストーンなのか……逆に言うとこれだけの数のポケモンが暴走メガシンカ起こしたって……カロス、大丈夫か」

 

通常メガストーンは希少という枕詞が付く。これだけの数となると一体幾らになるのだろうか……プラターヌはこれによって巻き起こるであろう厄介事から遠ざかる為に自分に渡してきたのではないだろうかと……と疑いたくなる量だ。普通なら喜ぶ所だが……改めて思うとなんだかそんな気も失せてきてしまった。

 

「ひいふうみい……20個以上ないかこれ、どんだけだ……メガシンカのバーゲンセールだな……」

 

その内の一つを手に取ってみる、手にしたのは―――ペンドラナイト、ペンドラーをメガシンカさせるメガストーン。個人的にはこれは嬉しかったりはするのだが……問題はメガシンカがポケモンにどんな影響を与えるのか。メガシンカは世間一般的にはポケモンの超強化手段という認識をされているが、その実はポケモンに大きな負担を強いる。物によっては凶暴化するだけではないものもあるのでラビ的には大手を振って今すぐメガシンカ!!ということはしたくない。

 

「ペド?」

「ああ、ペンドラー……ほらこれ、お前のメガストーンだってさ」

「ペドッ!?ペ~ド~……」

 

自分のメガストーンと言われて驚きつつも興味深そうにそれを眺める、ラビのポケモンの間でも、メガシンカはある種の花形のような扱いをされる。分かりやすく派手で強くなる事に憧れを持ったり、逆に出来なくても気にしてないし!!分かりやすく拗ねたり目の敵にしたり、逆に自分の今持ち合わせている力だけで打倒してみせるという者もいる。ペンドラーはそれらに属さないが……首を傾げているようにも見える。

 

「試してみるか?」

「ペド?ペ~ド~……ランドラペ~ド」

 

ペンドラー的には何方でもいいが、ラビがやってみるというならばやってみると返してくる。ならばとメガストーンをバンダナに着けて即席の装着具を作ってペンドラーに巻いてやる。中々様になっていてカッコいいじゃない、赤いバンダナも映えている。

 

「んじゃロトム、これからメガペンドラーのメガシンカ検証を始めるから撮影頼むぞ」

『お任せロト!!皆、頑張るロトよ!!』

「「「「「ロトトトトトッ!!!」」」」」

「サザレも頼むぞ~」

「任せといて~カッコよく撮ってあげるから」

 

メガシンカの資料と映像の撮影を自分の愛用スマホロトムがリーダーとなった撮影班にサザレが協力する形での準備を整えた。今日はバトル出来ない旨の看板も立てているのでいざという時も大丈夫だろう、周囲には見物に来ているポケモン達も多い。いざという時は―――これらの総力を以てペンドラーを押さえつける。当人にもそれには納得してもらっている。

 

「アーマーガア、テストの相手頼むぞ」

「ガアアアアアアアッ!!!!」

 

相変わらずのやる気十分といった様子だ、ルカリオとウーラオスは渋々と言いたげな顔をしているが、恨むなら自分を恨め。さっきまでガチの殴り合いをしていたからリストから外したのだ。後、アシレーヌ、ムクれながらもラグラージに当たってやるな。お前はポカポカと軽くたたいているつもりだが、ラグラージの顔色は悪いのだから。

 

「よし、行くぞペンドラー!!」

「ペド!!」

 

メガリングを指に嵌める、深く深呼吸をしてからキーストーンに触れる。

 

「超克せよ、ペンドラー、メガシンカ!!」

「ペエエドォオオオオ―――ペエォドオオオラアアアアアアアアアアアア!!!!!」

 

メガシンカエネルギーがペンドラーを包んでいき、繭のような光を突き破ってメガシンカしたペンドラーがその姿を見せつけた。進化前であるホイーガの強固な甲殻が鎧として広がって柔らかいお腹を守るように広がる。そして頭部の角はより毒々しく、より鋭くなっており重装騎士を思わせる姿へと変貌している。

 

「メガペンドラー……」

「ペドオオオラアアア……!!!」

 

その圧倒的な存在感と威圧感、そして感じる異様なまでの力強さ、全てがメガシンカでなければ出せないものを醸し出す。それを見たサザレも必死になってシャッターを切っていた、これがメガペンドラーなのかと必死に写真に収めるが、途中でそれを止めた。それはラビがじっとペンドラーを見つめているからではない、ペンドラーの異様な興奮に気づいたからだ。

 

「……ペンドラー、俺の事がちゃんと、分かるよな」

「ペェ、ドォォラ……」

「かなりの興奮状態だな……メガルカリオに近いかもしれないな、アーマーガア、悪いが一撃だけにさせてくれ」

「ッ!!……ガァッ!!」

 

ラビの言葉にアーマーガアは一瞬文句を言いそうになったが、その瞳を見て即座に納得して翼を広げた。これから行うのはバトルなどではない事を即座に理解した、そしてペンドラーはゆっくりと振り向いた。

 

「メガホーン!!」

「ペエェドォォォ、ラアアアアアアアッ!!!!」

 

一瞬、踏ん張ると即座に地面を蹴り抜いた。真っ直ぐにアーマーガアへと向かって行くが、その様相は以前のメガホーンと全く違う。虫タイプのエネルギーが身体から溢れているのか、メガホーンを繰り出す姿は一本の槍を突き出して突撃する騎馬を思わせる。そしてそれをアーマーガアが真っ向から受け止める、鋼と飛行という半減が重なっているが―――

 

「ガアアアッ!!!」

「ペエエドラアアアアアアア!!!!」

「ガアアアアアアアアアアアッ!!?」

 

真っ向からアーマーガアの防御を突破してアーマーガアを吹き飛ばしてしまった、思ってもみなかったのかアーマーガアですら驚きの声を上げた。吹き飛んだアーマーガアはフィールドを越えていくが、それをカイリューが受け止めるのだが、思わず尻餅をついたので慌ててガチゴラスが後ろからフォローに入って漸く止まった。

 

「ウリュ~?」

「ガ、ガアアアアッ……」

「ゴアアアッ……」

 

カイリューの大丈夫?と言いたげな言葉にな、何とかと返す、呆然とするガチゴラスと重なる言葉を口にするアーマーガア。それもその筈、半減の半減な上に防御には自信があるアーマーガアが受け止めきれない程の破壊力を秘めた一撃……周囲からも感嘆の声が溢れ出るのだが、ペンドラーは歯を食いしばって何かを耐えているような顔をしており、ラビはそっとその身体に触れて声を掛ける。

 

「もういい、今日は此処までにしておこう。もう、いいんだ」

「ペ、ペド―――ラァッ……」

 

緊張の糸が切れたように膝を折って身体を地面に叩き付けるように下ろしたペンドラーのメガシンカが解除される。荒い息で呼吸を繰り返すペンドラーの姿を見て医療班のタブンネやハピナスが大慌てでやって来てその身体に癒しの波動や癒しの鈴を使用して応急処置を始めていくが、ペンドラーに大きなダメージはない、むしろ精神的な疲弊が目立っている。

 

「これは、思った以上に厄介なもんを引き受けちまったかもしれないぞ……」

 

視線の先にあるメガストーン、これは暴走メガシンカから得られた物故か、それともメガペンドラーになった故か……それは分からないがこれは嵐を呼びかねない代物だとラビの瞳は鋭かった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。