「ユウリ~様子見に来たけど調子は、どんな……ってなにムクれてるのよアンタ」
現在チャンピオンユウリはカンムリ雪原のダイマックス巣穴を中心にポケモンの調査を継続中、時折ダイマックス巣穴にて発生するウルトラホールの対処にも即座に飛んでいくとその圧倒的な実力を見せてあっという間に鎮圧して事態を収束させる。最近はシンプルな生態調査が中心になり、自分で論文などを書いて発表するなど研究者にでも転身する気か?という勢いの所、そんな彼女の陣中見舞いをしにきたソニアが見たのは、活動拠点としているフリーズ村で借りている一軒家の中で炬燵に入って頬を破裂しそうな程に膨らませているユウリだった。
「ソニアさん、何しに来たんですか……」
「何って陣中見舞よ、最近貴方頑張ってるから差し入れを持ってきたのに何よその態度?」
「別にいらないもん」
こりゃ確実に何かあったな……とソニアは女の勘でそう悟るとお土産のあれこれを勝手に冷蔵庫やらに入れていき今食べた方が良いお菓子なんかに合うお茶を淹れてこたつの上に置いていくと、彼女も炬燵に入った。
「それで何があったのよ、アンタそんな風になるって事はまあ十中八九、ホップ関連でしょ」
「(ギクッ)……違うもん」
「何処がだゴラ、一度アタシとホップが付き合ってるとかいう根も葉もない噂を信じた小娘が、私を誤魔化せると思ってるのかこら、おおっ?」
トレーナーとしての腕前は遥かに劣るが、人生経験という意味合いではまだまだ負けていないのだから早く白状しろと頬を突いているとスマホロトムにある物を出力させながら渡してきた。
『え~っと……やっぱり常に威力が上がってるなぁ、となると攻撃上昇系の特性じゃないかと思うんですよ』
『そうなると最有力はヨガパワーとか力持ちになるんですかね、いわゆるスキン系みたいな特定のタイプ技を強化する系という線は?』
『今度はその線を探りますか、スターミーっておい何時までその場で足踏みしてるんだお前。その位にしねぇとマジでアシレーヌとラグラージが本気で入院案件だからやめろ』
『ヘアッ!!!』
「あ~最近ラビさんが配信している奴だっけ、確かお婆様辺りから是非メガシンカポケモンの特性解明中も配信してほしいって連絡したからやるようになったって言う」
ユウリが見せたのがラビがお世話になった博士達から頼まれたメガシンカポケモンの特性解明の様子配信、当人的にはやる気はなかったのだが、まあお世話になった人達の頼みならまあ……という事で配信する事にした。正直紹介やバトル配信以上に需要はないのでは……と思ったのだが、これが思いの外視聴者数が多く、通常の紹介枠の8割強の人達が視聴を行っている。ついでにタマムシ大学から講義に使わせてくれという話まで来て頭が痛くなった。
「これがどうし……成程、愛しのホップが憧れのラビさんと一緒でヤキモチ焼いてるんだな?」
「~ッ!!!だから、なんでソニアは私の内心をそんなビシビシ当てちゃうの!!?」
「舐めんな、ダンデ君の内心を察するよりもずっと楽ぞ」
こればっかりはまだまだ小娘に負ける様な事ではないのだ。
「だって、ホップだけラビさんの所行ってズルいんだもん……私だって色々やって、ラビさんに正式な場でのリベンジをしたいんだもん……それなのにホップだけ一人で行っちゃってさ……ズルいよ」
顔を隠しながらもムクれるユウリにソニアは笑う。無敵のチャンピオンを継承、様々な事で参ったり、そこから復活して様々な声をぶつけられ、不適格者だのなんだの言われるがそれをたった一言
「それが如何した!!」
それで吹き飛ばす明るい笑顔のチャンピオンとして、ガラルに定着し始めたユウリ。だがその実はまだまだ幼い少女である事は変わらない。ソニアとしてはそれがユウリとして当然の事だと受け入れられているが、周囲はそんな事はない……その結果があれなのだから。そして今、年相応な姿を見られて自分は酷くホッとしている。
「だったらさ、アンタがそれを超えればいいじゃん」
「超えるって、何を……?」
「アンタは誰?」
「誰って……ユウリ?」
「そうユウリ、ガラルのチャンピオンのね。それだったら色々と出来る立場ではある訳でしょ、それを利用しない手はないって事よ」
ユウリは頭に無数のハテナを浮かべている、ダンデならこういうのは直ぐに思いつくのだが、こういう事も今度教えて上げなきゃって言ってやらなければ……改めてダンデは自分の周囲の力を使う事が酷く上手かったと思う。
「ガラルのチャンピオンがPWCSランクバトルでリベンジ、上等じゃない。だったらすればいい―――このガラルでね」
「ガラル、で?」
「そう。自分のホームでリベンジをしたい、いい考えじゃない。貴方には色々と力があるんだからそれを使えばいい、ラビさんには連絡とか色々いるだろうけど前以てちゃんと言っておけば何とかなるでしょ。ついでに言ってやりなさい、私は強くなりました!!てね」
「―――うん、そうする!!!」
「じゃあドリュウズはどう思う?」
「う~ん……まだなんとも、この種族値っていう数値への書き起こしは何とかできると思いますけど、やっぱり特性を解明するっていうのは本当に難しい作業だな……だけど夢特性とか明らかにしてるラビさんは流石だな!!」
「これに関しては10年の貯金がありますからね……んっなんかメールが……PWCSの運営から?」
「運営からなんてあるのか……?」
「まあこうしてきてますし……え~っと何々……ラビ選手へ次回のランクバトル申請がされました。相手はハイパーボールクラストレーナー・ガラル地方チャンピオン、ユウリ選手。ユウリ選手はガラル地方でのバトルを希望されておりますが、ラビ選手のご予定などは如何でしょうか、宜しければ此方で往復分のチケットなどは手配します……」
「ユウリがリベンジマッチを申し込んできた!?」
「……今度はザシアンとのリベンジか?」