『レディース&ジェントルメン!!ボーイズ&ガールズ!!そしてお爺ちゃんお婆ちゃんの皆様!!本日はよくぞ、このナックルシティが誇るナックルスタジアムへようこそお集まりくださりました!!本日から数日にわたり、このスタジアムで開催されるのはPWCSガラルトーナメント!!今大会はポケモンワールドチャンピオンシップ、PWCSのハイパーランクの試合をお送りさせて頂きます!!それでは、出場選手の皆様をご紹介させて頂きます!!』
マイクを持ったリーグの幹部が高らかに音頭を取って始めていく、スタジアムの熱気も相まって凄まじい活気で溢れ始めていく。そんなスタジアムへと歩みを進めていく。今回トーナメントに参加するのは14人。あまりに急な大会の発表に参加できる者をかき集めた結果でこの人数となった。だが面子はガラル地方に名が轟く強豪揃い。
『現ガラル地方のチャンピオン、無敗のダンデから無敗を継承し、未だにガラル地方での公式戦では負けなし!!敢て形容するならば無敵!!無敵のユウリ!!
継承という意味では彼女も同じでしょうが、自らの力を示す為に一からのリトライを望み、見事にメジャーリーグ昇格を掴み取った新進気鋭のジムリーダー!!華麗に咲く惡の華マリィ!!
現在はポケモンの研究者、だがその実力を我らは忘れた事などはないぞ!!白熱のバトルをユウリと繰り広げ、今も飛躍し続けるポケモン博士のホップ!!
あの伝説の記録を持ったチャンピオンが帰ってきました!!ガラルにその人アリとまで言われた驚異の18度の防衛記録を持つチャンピオン!!流派マスタード創始者、マスタード!!!
あのチャンピオン最大のライバルにして魔術師!!ファンタスティック シアター ポプラ!!!
魔術師から継承した彼は言うなればマジシャン!!妖精とエスパーの巧みな併せ技で相手を幻惑する!!エリートオブフェアリーアイ ビート!!!
その仮面の奥に隠した瞳はどんな鬼火を滾らせる!?青白い炎か、それとも地獄の炎か!?サイレントボーイ オニオン!!!
どんな時も鍛錬を欠かさず、常に挑戦者としての気持ちを忘れず邁進し続ける炎のファイター!!何時までも燃え続ける男 カブ!!!
さあ皆さんお待ちかね!!!我らがチャンピオンが登場です!!現チャンピオンはユウリ?だがしかし、私達にとって何時までも貴方はチャンピオンなのです!!またこうしてその姿を見れる事こそ喜び!!無敵のダンデ!!!!!
その美しさは大海が如く留まる事を知らず!!美しさとは強い事!!レイジングウェイブ ルリナ!!!
その男龍が如く、最強のジムリーダーの名を欲しいがままにする無敵のダンデのライバル、ドラゴンストーム キバナ!!!
その歌声はガラル中に響き渡り誰もが虜になる!!私も大ファンです!!今日もその歌声でスタジアムを魅了するのか、哀愁のネズ!!!
エキシビションの場で無敵のユウリを破り、PWCSランクバトルではダイゴ、ミクリ、マスタード!!数々の強者に勝利。その実力は間違いなくマスターランククラス!!配信者としても驚異の男、狂乱の鋼鴉をも従える男、イラストレーターのラビ!!!
ガラル初のフロンティアブレーンの称号を引っさげて帰って参りました!!チャンピオンユウリとの激闘は我々の記憶にも新しい!!フロンティアブレーン マサル!!!』
語りに力割きやがって……とラビは思わず思う。というか明らかにダンデとキバナに力込めてんじゃねぇよ、あからさまな贔屓ではあるが会場全体は確実に盛り上がっている。これは同時にある事の示唆でもある、ユウリはまだ認められてないという事だ。実際、キバナとダンデは表面上こそ隠しているが、蟀谷の辺りをよく見ると青筋が立っているし時折拳を握っている。
『それでは此処で、折角ですのでラビさんにお言葉を頂きたいと思います!!』
此処で自分に?と思ったのだが、ちらりと見たダンデとキバナがウィンクを飛ばして来た。成程、アンタらの仕込みかと納得しつつもラビは前に出ながらも自分のスマホロトムに音響システムと同期するように言いつつも―――同時にポリゴン2に指示を出しておいた。それは問題なく実行され運営側が勝手にカットしたり出来ないようにしておく。さてと―――お前らが誰に喧嘩売ったのか今分からせてやるから覚悟しろ。
「『あ~あ~あ~……マイクのテスト中っと……皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょうでお馴染みの週刊エンジョイポケモン放送局のラビです、はいそこ、私はイラストレーターって紹介された事に対してなに驚いてるんですか、誰が配信者じゃこら、おいコラそこえ~って声を漏らすな』」
各所から笑いが溢れる、配信者をやっているとこの手の言葉回しに台本なんてものは要らない。周囲の反応を抜き取って組み込む事なんて朝飯前だ。
「『今回このような大会に参加させて頂く事になりました、いやぁ驚きましたよ。私はPWCS運営からはユウリさんからのバトルの打診がありますけどガラル行きます?行くならチケット出しますよ的な事しか言われてないんですよ、それで来たらいきなり大会な訳ですよ、本当に驚きですよ―――だって私、ガラルリーグから一切今回の大会についてのお話を頂いてませんから』」
その瞬間、ガラルリーグ関係者はマズいと音響機器を弄ろうとするのだがそれらが一切操作を受け付けない事に慌て始め、関係者がラビに声を掛けようともするのだが、ラビは即座にアーマーガアを繰り出した。アーマーガアが大きな声を上げながらも翼を広げ、その背にラビは飛び乗ると軽く飛び上がって手を出せない状況を作り出す。
「『今回私はユウリさんとバトルする為だけにガラルへ来たのに来てみたらガラルトーナメント?いやはや驚きましたよ、それなのに一切の連絡はないし詳細はユウリさんとキバナさんから口頭で漸く聞いたのが初でしたからね。ガラルでは既にトーナメントの事は周知の事実でもう撤回のしようがない事態だと来ましたよ、本当に―――俺を舐めんのも大概にしろボケ共』」
刹那、ラビの雰囲気が一変する。温和で柔和、礼儀正しいという言葉が似合う雰囲気が一瞬で変貌していく。
「『こっちにも都合や予定ってものがあったんだ、バトルしたらパルデアに帰るつもりだったこっちには全く話を通さない、PWCS運営にも何も言わずに外堀を埋めて開催する……筋が通らない事ばっかりしてんじゃねぇってレベルじゃねぇぞおい。PWCS運営からも今回のトーナメントに参加する意味はない、拒否するのも当然だとも言われてる。正直それも手だなとは思った、だけどな……俺はチャンピオンユウリからの挑戦状を受け取って了承してる、それを撤回するなんて道理が通らないだろ。だから大会には出てやる、だけどな……ガラルリーグ、テメェらダンデを立てるのがお好きらしいが今回の事に一番御冠なのは肝心要でお前達が大好きなダンデ様だ、そして今回の一件はポケモンリーグ本部も怒ってる』」
シィンと静まり返ったスタジアム、最早バトルを楽しめるような雰囲気ではなかった。だがラビは言葉を尽くす。
「『だがな、此処に立った以上俺はバトルをする、何故かって?面白いバトルが出来ると思ってるからな。トレーナーにとって理由はそれだけで十分な筈だ、お前達はバトルが大好きだからこそ此処に来た、違うか、憧れのトレーナーがバトルする姿を見る為に此処に来た、違うかっ……面白いバトルが見たいから此処に来た―――違うかぁっ!!!』」
その言葉に黙っていられるガラル民がいる訳が無い、見たいに決まっているだろうに。見たいからこそ此処に居るんだと、スタジアムが揺れた。
「『だったら確り見つめろ、そして盛り上げてみせろ。それがガラルのバトルなんだろ?さあてお集まり頂いた紳士淑女少年少女の皆さま方―――バトルしようぜ!!』」
「「「「「オオオオオオオオオッ!!!!!」」」」」
ポケモントレーナーにとってはこの言葉だけで、始まりは十分なのだ!!
紹介文に一番時間が掛かった。