「ヒッヒッヒッヒィ、ヒャヒャヒャヒャっアハハハハッ!!!やってくれちゃってまあ凄い事したねぇラ~ビちん、ああいう事するんだったら誘ってくれないと駄目じゃなぁ~い♪」
「こういう事に師匠を巻き込むのは色々と失礼ですし、こういうのは直接的な被害者がやらないと雰囲気出ませんからねぇ」
「お主も悪よのぉ~♪」
「いえいえ師匠ほどでは~♪」
「「ヒ~ッヒッヒッヒッヒッヒッ♪」」
ワザとらしく声を揃えて笑うラビとマスタード。PWCSガラルトーナメントの開会式の場でとんでもない爆弾発言をしてガラルリーグを揺るがしてしまったラビは全く反省の色もない、そもそもこの場合反省するべきはガラルリーグなのでラビが頭を下げる謂れなんてないから当然なのだが……結果的に開会式は成功を収めており、問題なく観客たちは盛り上がっている。まあガラルリーグはこれから大揺れだろうが自分は知ったこっちゃない。
「にしても師匠も師匠で大変っすね初戦から」
「いやぁこれはこれでなんか策謀を感じちゃうよね~」
発表されたPWCSガラルトーナメント、参加人数は14名で2人がシード権を獲得する事になっており、それは完全な抽選で決まる事になったのだが……それを得たのはユウリ、そしてマサルの2人だった。ダンデが絡んでいない所を見ると本当にガチランダムなのが伺える……のだろうか。
「ラビちんは……今日の最終試合だねん」
「そっすね」
第一回戦第一試合はダンデ対ホップの兄弟対決、いきなりのとんでもない対戦カードだ。第二試合はマスタード対ポプラ、現役当時に互いに鎬を削り合った者同士のぶつかり合いで当時からのファンにとってはたまらない。第三試合はビート対オニオン、ポプラの弟子とゴースト使いの対決は、妖精と幽霊の対決と話題となっている。第四試合はカブ対マリィ、燃え滾る炎のベテランファイターと新進気鋭の悪の華、ベテランジムリーダーとルーキージムリーダーの対決。第五戦はルリナ対キバナ、此方も目が離せない美男美女同士の激突は絵になる。注目の最終戦はネズ対ラビ、ガラルのジムリーダーとしてダイマックスを用いる事をしない哀愁のネズと大波乱が起きる事間違いなしとされるトラブルメーカーの激突と最後まで興奮すること間違いなしと期待されている。
「俺はそんなにトラブルメーカーかこら、ガラルだとそんなに大した事起こしてなかっただろ(大衆の面前では)」
と言った事が言われている事に対して苦言を呈するラビ。本人的にはトラブルメーカー扱いは不服な様子。そこまで表立った問題を起こした覚えはないんだぞ、全部裏で処理したからな。
「それでネズちんとバトルだね、勝つ自信はあるかな?」
「さあ?だけど俺としては楽しみな相手ですね」
ネズはマリィの兄でシンガーソングライター。ダイマックスを用いない、別にアンチという訳ではないし他人がダイマックスを使う事を否定しない、当時の委員長であるローズからも何度か移転を打診されたが、彼は断固としてスパイクタウンに居を構え続けジムリーダーを継続した。だがその実力はキバナも認める程の超実力派、そしてユウリがジムチャレンジをしていた時はネズを突破出来たトレーナーはユウリを含めても10人にも満たなかったというのが彼の実力を物語っている。
「俺としては好ましいタイプですね、楽しいバトルが出来そうで何よりです」
「ひょ~ひょひょひょ、ワシちゃんも楽しみだね~」
「おやまあ、もう勝つ算段かい、気が早いねぇ」
そんな話をしていると背後から年季の入ったレディの声が聞こえて来る、マスタードはそれを聞いてゲッ……と言いたげな表情を浮かべているので代わりに振り向いてみるとそこには弟子を伴った魔術師がいた。ラビは笑顔を作ったまま振り向いて頭を下げる。
「お久しぶりですポプラさん、相も変わらずお美しい……」
「フフッ……何時までも綺麗でいるコツは楽しむことさね、だけど最近はちょっとばかし辛くなってきちゃった所があってねぇ」
隣のビートは何の迷いも淀みもなく美しいという言葉を取り出して差し出してきたラビに対して驚いたような顔をする。未だに口調を注意されたりするビートとしては信じられなかったからだ。
「アタシも遂に歳かねぇ」
「何を仰います、貴方は今も変わらず美しい。人生の酸いも甘いを知ってこその美しさという物を纏えるというものです」
「ビート、お前さんもこういう気の利いた言葉を言えるといいんだけどねぇ……?」
「しょ、精進します……」
「こらこら、弟子ちゃんを困らせるんじゃないよポプラちん」
そんなやり取りをしているとマスタードが横やりを突っ込んだ、これ以上自分の弟子で色々と遊ぶのは止めて貰おうかと言わんばかりだ。それにポプラは悪い笑みを浮かべ、好好爺然としている嘗ての好敵手に向き直る。
「まだ生きてたとは驚いたよ、このくたばり損ない」
「酷い事を言うねぇ、そっちこそ弟子を見つけられるのが随分と遅かったみたいじゃない。えり好みしてたんじゃないのかな?」
「ジックリ吟味って奴をしてたのさ、アンタみたいに誰彼構わず弟子を取っちまうのと違うのさ」
「ワシちゃんだって沢山の弟子ちゃんに囲まれながらも一人一人の指導は欠かさないよん、ダンデちんやユウリちんだって可愛い弟子ちゃんさ―――今日こそけりを付けてみるかポプラ」
「望む所さ、最近まで現役張ってたアタシに勝てると思ってるのかい?」
と火花を散らせている2人を見ながらもビートと共にその場から退散しておく、このままだと更に面倒な事に発展しそうだ。
「お互いに、師匠には苦労するみたいんですね」
「全くですね……ですがあそこまでポプラさんが声を張り上げるなんて……矢張りマスタードさんとは因縁めいたものがあるのですね」
ビートの言葉通り、現役時代から争い続けていた二人の関係は何処か不思議な物がある。仲が悪いように見えてお互いの事を知り尽くしている、ライバルとは本当に面白い物だ。
「さて、お互いに頑張りますか。師匠に怒られない程度には」
「そうですね、最低限はそのぐらいしないと……」
そんな会話をしつつもラビは自分用に宛がわれた控室へと入る、その時を待った。そして―――
『さあ本日第一回戦の最終試合、哀愁のネズ VS イラストレーターのラビ!!どんな戦いを見せてくれるのでしょうか!!?』
「さてと―――……俺は元スパイクタウン、ジムリーダー!!現在はシンガーソングライター!!悪タイプの天才!!人呼んで哀愁のネズ!!この戦いに挑むお前に、俺に挑むお前にッ!!最高の仲間達で挑むぜ、テメェら盛り上げて行けえええ!!!!」
「望む所、さあ来い!!」
「行くぜ威嚇だズルズキン!!」
「行こうか、GOガブリアス!!」