週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ: VS ネズ―――の幕間

「本当に凄い」

 

そんな言葉を漏らしたのは控室でバトルを見守っていたユウリだった。近くにはキバナやマリィもいて食い入るように画面に集中していた。乱れ飛ぶタチフサグマのミサイル針を空中で体操の技のような見事な回転で回避しつつも両手から水を噴射するメガスターミー、それをバックステップを踏んで回避するが、目の前に飛び込んで来たメガスターミーは渾身の蹴りを放つ。だが、咄嗟の防御が間に合ったのか最小限のダメージで切り抜けたタチフサグマは自慢の声でバークアウトを放って反撃する、スターミーは光の壁で守りを固めつつも浮遊しながらも後退していく。

 

「ネズの奴、本当にステロとまきびしを受けてんだよな。すげぇキレッキレな動きだ」

「アニキ、凄い……アニキが本気になってる……」

 

実の妹であるマリィもネズの指示の機敏さ、先読みの鋭さ、危機管理能力の高さに舌を巻いている。今自分が座っているジムリーダーの椅子はネズから継承したもの、だがマリィはそれを自分の力で、今ここに座っている事を証明する為に自らマイナーリーグからの再出発を行い、見事にメジャー昇格を果たしている。そんなマリィも二人の戦いには目を見張っていた。

 

「ユウリ、どう見る?」

「流石ネズさんっていう所です、ラビさんはガブリアスにバトンタッチでペンドラーの加速と剣の舞での能力上昇を渡す前提で動いていた。それなのに大爆発をした事でそれが潰された上にドラゴンテールとステルスロック、三回分のまきびしを最大限活用するつもりだったのを完全に潰した」

 

そう、ラビは最初に描いていたのは起点作成をガブリアスで行いつつも切り札としても温存し、ペンドラーで能力を上げてからバトンタッチ、それでガブリアスで決めるプラン。あくまでスターミーは後詰めというか予備兵力だった。それを引きずり出され、ガブリアスのドラゴンテール活用はたった一手で崩壊させられてしまった。

 

「つまり、ラビさんは」

「かなり追い詰められてるな、予定していた作戦はもう断念して完全なアドリブで立ち回ってやがるが……それでもその経験値は並じゃねぇ、マリィ、お前PWCSで体験しただろ」

「……うん」

 

キバナからの言葉にマリィは頷いた。PWCSに参加した時、ガラルの外でバトルした時、勝手の違いに驚いた事はよく覚えている。ガラルのトレーナーの傾向として強いのが真っ向勝負をする傾向があるという事。これはダイマックスを前提とするガラルリーグ、何よりガラル地方でのバトルを興行としている為に起きている弊害だ。ガラルリーグはダイマックスを前提とする為に大きなスタジアムで行われる、結果として観客は遠い場所からポケモンを見る事になるので分かりやすく派手なバトルが好まれるのでそれに合わせたバトルが行われる事が大半。

 

が、ダイマックスは基本ガラル地方でないと使用できないので他地方ではガラル程のスタジアムを必要としないしバトル施設の最大動員可能人数もガラルのスタジアムと同等かそれ以上の人数をずっと小さな施設で可能としている。主戦場とする場の規模によってトレーナーに差が生まれているという事である。

 

「観客的にはこのバトルはハッキリして受ける試合じゃないのは確実だな、他地方だとバリバリに評価されるとは思うぜオレ様、実際ユウリ、ラビはこのバトル配信してんだろ。様子は?」

「えっとですね……」

 

・まきびし三回にステロってヌシガッチガチだな……

・これ、絶対ドラテで回してダメージ与える気だろ。

・アイリス:あっでもペンドラー!!

・ここで更に加速ペンドラーでバトンタッチ。

・ナンジャモ:ボクも経験したやつぅ……

・うわっ大爆発!!?

・すげぇネズさん、ヌシの戦略バリバリ読んでるじゃん!!

・なんでそんな評価できるのか分からない、面白くねぇじゃん

・推定ガラル民がINしたお

・ただの姑息なバトルなだけじゃん。

・強いなら正々堂々勝負しろ童顔やろう

・お前らの中ではそうなんだろうな、お前らの中ではな。

・これが姑息ならPWCSでシロナさんがやった道連れなんてどうなんだよ

・卑怯に陰湿陰険って所か

・ははっ笑えるな、自分の発言がガラルを下げてる事にも気づかないか。

・そしてメガスターミーだ!!

・ちょっおまwwww

・やめろ笑うじゃねえかwwww

 

「一部抜粋でこんな感じですね、ラビさんを評価してるのはいつもいるリスナーさんでガラルの人からは凄い低評価です」

「そんなとこだろうな、我らがガラル地方ながら情けねぇなぁ……」

 

深々と溜息を吐いたキバナは現状の原因は自分にもあるんだよなぁ……と言いたげな溜息を吐いてしまった。ダンデが長らく座っていたチャンピオンの椅子、そして勝ち続けて築いた無敗の城に魅せられた人々がその素晴らしさを喧伝し続け、それに応えるが如く勝ち続けたダンデ。そんな彼を倒す為に努力してきた自分もガラルの現状を作り上げる一因になっていると思うと溜息ばかりが出てしまう。

 

「マリィ、お前もよく見ておけよ。こっからお前が世界に羽ばたく気ならラビの戦い方はマジで参考になる。別にあれをやれという訳じゃない、世界にはああいう事を普通にやってのける奴らがいるって事を認識しておくことが大切で、それをリスペクトして対策して乗り越えろ」

「うん、分かった」

 

そうして再び兄とラビの戦いに目を向け直した。

 

「キバナさん元気出して」

「はぁ~……オレ様も、もちっと我儘に勝ちを追求してみても良いかもしれねぇな……見てて楽しいバトルも大切だが、結局一番大切なのは自分と自分のポケモンなんだからよ」

 

そう思うとやはり理想的なのはポケモンを愛していると何気もなく口に出せるラビのようなトレーナーなのだろうな、とユウリは感じながら戦いに目を向ける。




幕間的な感じにして見ました。コメント云々を反映して少しやってみました。
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