「いやぁひっどい叩かれ方してるよラビ」
「知らんわ、ガラルの評価なんてどうでもいいわ」
「だと思ったよ」
ネズとのバトルの翌日、今日も今日とてトーナメントはある訳だが……サザレが見せるネットニュースではラビの発言がガラルの評論家から叩かれていたり、観客から幻滅だのトレーナー失格だのと言われたりしている。あの程度の事でこの叩かれ方、本気の害悪戦術を取ったらどうなるのだろうか、ラビは怪しい笑いを浮かべている。
「いや、地元民としてはホントすまねぇとしか言いようがねぇわ」
「本当にご迷惑おかけしてます」
「気にするなってお二人さん、他人からの評価を気にしてるならそもそも配信を続けてないって」
一緒に朝食をとっているキバナとユウリからは神妙な顔つきで謝罪をされるのだが、二人から謝られてもしょうがない、寧ろ二人もラビの戦術や考え方に関する意見を求められていたがそれに対しても二人はラビを支持する発言をしている。
「いやあれを快勝とは言えねぇだろうな、というか実況も酷かったぞあれ。明日の解説はオレ様が手配したから期待していいぜ」
「実況とか言いながら全然出来てませんでしたもんね、何だったら私やりますけど」
「いやお前明日からバリバリ試合だろ」
「あっそうでした」
という訳で今回の解説と実況は期待が出来るとの事。そもそも前回の実況とインタビュアーはラビが試合前にあんな事を言ったお陰で地方内地方外からの連絡が相次いだ為に対応に駆り出されてしまったが為に、まだまだ新人だったのに駆り出されてしまった人材だったとの事。
「ンで誰に頼むんです?」
「それは任せとけ、オレ様が責任を持って仲介させて貰ったぜ」
「それじゃあ期待以下だったら明日の昼食おごりで」
「言われなくたって奢ったるわ」
「「イエーイ」」
ワザとらしくグラスをぶつけ合ってふざけ合うラビとキバナ、なんだかんだでこの二人も仲いいよなぁと思うユウリであった。そりゃ仲が良くなければ即興で叔父と甥の真似だって出来る訳が無いのである。サザレは今日の試合日程を見ながら呟く。
「今日のこれだって目玉試合がおおいね。新旧チャンピオンのバトルにマスタードさんにゴーストのオニオン君、マリィちゃんとキバナさん、それでラビとマサル君のバトル」
「昨日のマスタード師匠とポプラさんの試合は凄かったですね~ホント、二人は現役中あんな風にバッチバチにやり合ってたのかと思うと凄いですよ」
ユウリの言葉に全員が頷いた。マスタード対ポプラは二人が現役時代でやり合っていた時を知っている人間からすると感涙物の試合をしていた。歳を取る事で深みと技のキレが増したマスタード、時を経た事で戦術という魔術の凄みと華麗さを増したポプラの対決、結果的にその天秤はマスタードに傾いたのだが……
『今度は互いに業を習得してからもう一度、雌雄を決しようぞ』
『望む所だよ、アンタの弟子の業―――完璧に習得してやろうじゃないか』
お互いに今回の決着に納得が行っておらず、後日、PWCSでの再戦を約束していた。ポプラもポプラで業の習得には励んでいたのだが、既に現役ではなく弟子であるビートの習得に尽力していたので自身のレベルは低かったためにマスタードとの競り合いで負けてしまったと理解している。そしてその弟子のビートと共に既に業の修練に励んでいるとユウリが語っていた。
「負けた直後なのにピンクが足りないねぇ、お互いにって言われて顎が外れそうになったって言ってましたよビート」
「ンで、あの婆様ワイルドエリアで業の特訓してるとか聞いたぜ。よくやるよ」
「は~凄いお元気だねポプラさんって」
「あの人らしい」
ビート曰く、なんか以前よりもずっとエネルギッシュになったらしく、今日なんて朝からオムレツをカレーと一緒に食べたらしい。朝からカレーを食べるなんて……と電話を掛けて来る程に驚いたとの事。
「ンでユウリはダンデとのバトルだけどさ……自信あるの?」
「さあやってみるまで何とも言えませんよ、一つだけ言えるとすれば……私はレジアイスを完璧に理解しましたって所ですかね」
そうだこいつにはレジアイスがいた。キバナ曰く、レジアイスとの特訓も相当に重ねていたらしく氷タイプの使い手であるメロンの所に通って氷タイプとの向き合う為の心得という物を教授して貰っていたとの事。
「あいつ、オレ様的にもキッチぃんだよなぁ……何処で見つけて来たんだよ」
「見つけて来たというか、私が見つけられたというべきか……気に入られたというか」
「お互いがお互いを気に入った的な感じだよな」
「ですね~」「レジアイ」
「ほうほうレジアイ……てぇっレジアイス何時の間にぃ!!?」
キバナが驚愕するのも当然だ、いつの間にかレジアイスが出ていて背後を取っているのだから。道理で背中が寒いと思っていたんだ、そういう事かよっと勝手に納得するのであった。
「取り敢えず―――ダンデさんには悪いですけど新しい私の実験体になって貰おうかなぁって思ってます」
「お前仮にも旧チャンピオンに何つう事を……」
「良いんですよどうせその内私の義理のお兄さんになるんですから今から雑な扱われ方にも慣れて貰わないと」
「こりゃホップ、早くなんとかしねぇとその内ユウリに喰われんじゃねぇか?」
「俺達から警告しときますか」
そんな事もあってから本日の第二試合初戦であるユウリ対ダンデがスタートするわけなのだが……そこでユウリは徹底してある戦略を取り始めた。それが―――
「レジアイス素早く―――ど忘れそこからもう一回ど忘れ」
「レ~ジ~ア~イ……レジアイ」
「ならばギルガルド、聖なる剣!!」
「ドドドッギィィルッ!!!」
「素早く―――鈍いもうっかい鈍い」
「レ~……ジ~レジアイ」
『チャンピオンユウリ、ダンデ選手に対して徹底した能力向上戦略を取ります!!既に特防は限界まで上がっており、そこから攻撃、防御も極めて高水準!!!そして―――』
「「素早く―――冷凍ビーム!!そのままチャージビーム!!」
「レ~ジア~イ~!!!レジアイ~!!!」
『冷凍ビームとチャージビームを交互に放っていきます!!!』
『これは、鈍いで落ちたスピードを早業で補っていますね、そして更に地面を凍結させる事でレジアイスをアイススケーターのように移動させてレジアイス自体のスピードを補っている……そしてチャージビームで徹底して特攻を上げていく……これは何と厄介な』
「そして素早く―――雪景色からオーロラベール!!さあどうしますダンデさん、私のレジアイス―――突破出来ます?」
「やってくれるな、流石俺に勝っただけの事はある!!」
レジアイスをいやポケモンの能力を文字通りに最大限に生かし、業でそれらを補強していくという戦術だった。
「素早く―――ロックオン!!そして、力強く―――電磁砲七連!!」
「レジアイ!!レ~ジ~ア~……イイイイイイイッ!!!!」
「キングシールドだギルガルド!!!」
「ドドドドッ!!!ギィィィィ~ルゥゥゥッッ!!!!?」
「ギ、ギルガルドぉ!!?」
『ギ、ギルガルドのキングシールドを貫通したぁぁ!!!?こ、これは電磁砲が、まるで速射砲のように連射されているぞ!!ロックオンによって確定命中をさせてからの連続での電磁砲、しかも七連発!!!これは流石のキングシールドでも防御しきれない!!ですが、それだけではありません!!!シールドフォルムになっているギルガルドでも受け切れていないこの破壊力!!チャージビームによって特攻が大幅に上がっているが故の破壊力であります!!』
「ダンデさん、悪いですが私は私です、貴方じゃない自分のバトルでこれからも戦わせて貰います!!」
「―――……ああ、そうでないと君がチャンピオンになった意味がないからな!!!」