ガラル初のフロンティアブレーンとなったマサルとのバトル、一体どんな戦術が飛び出してくるのかとラビは内心で楽しみにしている。相手も相手で自分の配信のリスナーらしいので、正直に楽しみな気持ちが先行してくる。
『えっと、ラビ氏本当にこの子でいいんだよね?』
『OKOK意外とちゃんとやれてんじゃん、レベと上手くいってれば文句なしだな』
『行ってるから!!もうラブラブちゅっちゅしてるから!!……ごめんなさい見栄張りましたお願いだからレベ氏に確かめるのだけは勘弁してください!!!』
『なんで見栄張った』
『本日の第二回戦最終戦はイラストレーターのラビ選手対ガラル初となるバトルフロンティアの顔役、フロンティアブレーンとなったマサル選手とのバトルをお送り致します!!実況はこの私、ガラルバトルトーナメントの生き字引、ヒトシが、そして解説はカントーとジョウトのチャンピオンを兼任されておりますワタルさんでお送りいたします。最終戦もどうぞ宜しくお願い致します』
『宜しくお願いします』
『さあ大注目の最終戦、その注目度度合いは新旧チャンピオン対決にも引けを取らないと私は思っておりますがワタルさんは如何お思いですか?』
『そうですね、バトルフロンティアのフロンティアブレーンと言えばその実力はポケモンリーグの四天王にも匹敵すると言われている程の実力者、その候補の座を勝ち取り、正式なブレーンとして認められたマサル選手の実力は確かな物だと言わざるを得ないでしょう。ですが対するラビ選手も各リーグを優秀な成績で突破し、チャンピオンズリーグへの出場経験もあり、チャンピオンとバトル経験も豊富です。ハッキリ言って強敵です』
如何やら今回の実況はメジャーリーグでも実況を担当している有名且つ人気のある人らしい、第一回戦はあの人も自分の発言の対応に追われていたらしいが、流石に実況がダメ過ぎたという事で、交代して貰ったとの事。そして解説はキバナが呼んだというワタルがいる、いやどうやって呼んだとも思ったがそれは自分は人の事を言えないので黙っておこう。
『スマホロトムより互いの情報を取得。このバトルはPWCSランクバトル、ハイパーボールクラス公式戦として承認されました。対戦ルールは3対3、メガシンカ、Zワザ、テラスタル、ダイマックスは各選手一度ずつのみ、ポケモンの交代は両者自由となります。ラビ選手 VS マサル選手。それでは両者、最初のポケモンをフィールドへ』
「行きますよラビさん!!僕の先鋒は、この子!!いけぇっオーロンゲ!!」「ゲヒャヒャヒャ!!!」
「GO!!フォレトス!!!」「フォッ」
『対するマサル選手はオーロンゲ、ラビ選手はフォレトスであります!!タイプ相性だけを見るならば鋼タイプであるフォレトスが有利でしょうか』
『額面通りに受け取ればそうでしょうね、ですがオーロンゲも侮れないポケモンです。どんな戦略で出るかが勝負を決めますね』
『フォレトス VS オーロンゲ!!3、2、1……BATTLE START!!』
「よしオーロンゲ挑発!!」
「ゲ~ロンゲゲゲゲゲッ」
悪戯心ゆえか速攻で決める事が出来た挑発、マサルもラビの配信のリスナーで、シンジとのバトルが好きなのであのフォレトスが起点作成役なのはバッチリ分かっている。なので先制挑発で動きを封じる、これで大したことは―――
「フォフォフォフォッ~!!!!」
「ッゲッ~……!!」
「ボ、ボルトチェンジ!?」
フォレトスは即座にボルトチェンジを発動させてダメージを与えながらも戻っていった。その余りにも早い行動にマサルは此方のオーロンゲが挑発を撃って来る事を分かっていたのか……と僅かに戦慄を覚えていた。ラビからしたらまあやるだろうな、とは思っていたので既定の行動である。
「GOエクスレッグ!!」
「レィッグッ!!!」
今度はエクスレッグ。パルデア地方のポケモンで虫タイプだった筈……ならばそれを前提に立ち回るしかない。ロトムの再開の合図を受けてマサルは指示を飛ばす。
「電磁波!!」
「勉強不足だな、力強く―――出会い頭!!」
「レエエエイッ!!!ガァァァッ!!!!」
跳躍を繰り返しながらも超高速で迫っていくエクスレッグへと電磁波を放つが、電磁波が命中したのにも拘らず、効果がまるでない。そのまま痛烈な蹴りがオーロンゲの顔を捉えて吹き飛んでしまった。マサルはしまったっ!!と顔色を悪くした。
「しまった、エクスレッグには悪タイプもあるのか!?」
「狙いは悪くないが、相手のタイプは把握してないと悪戯心はリスクが高いぞ。そういう時は―――自分を高める事だけを考えておくんだな、素早く―――挑発そこから蜻蛉返り!!」
「レイレイ!!イレイレイッ!!!レエエイガァ!!!」
素早く挑発を掛けるとそのまま再び飛び蹴りをかましてからボールへと戻っていくエクスレッグにマサルは苦虫を噛み潰していた。今の状況がいかにマズいかを理解している証拠だ。
『ラビ選手、エクスレッグの機動性と早業を活かした高機動戦を繰り広げていきます!!これはオーロンゲにも大ダメージだ!!ここで蜻蛉返りでポケモンの交代が行われますがワタルさん、何故電磁波が効力を発揮しなかったのでしょうか』
『悪戯心は確かに変化技を素早く繰り出せるのですが、それは相手が悪タイプであった場合には失敗してしまうのです。エクスレッグは虫と悪タイプ、故に無力化されてしまったんです。この場合、マサル君はリフレクターを展開するべきでしたね、自分にむけて発動する変化技であれば、無効化はされませんので』
『成程、ラビ選手の言葉はそういう意味でしたか。そしてラビ選手は再びのフォレトスであります!!さあ再びフォレトス対オーロンゲの盤面となりましたが、此処でマサル選手、炎のパンチを指示です!!おっとっそれをステルスロックを盾のようにして防御しました、更にステルスロックが周囲に四散しますが、オーロンゲにもその破片が突き刺さっております!!』
「ゲェェッ……!!」
「リフレク優先で両壁」
「負けるな炎のパンチ!!」
マサルは思った以上に焦っていた、自分のオーロンゲは悪戯心を活かして相手を翻弄するのが基本とする起点作成型で正面切っての戦闘は不慣れだ、なんとか覚えさせていた炎のパンチで対抗するが、リフレクターでダメージを半減されているのかフォレトスはまだまだ元気そうだ。
「いや瓦割だ!!!」
ならば、相手の嫌がる事をしようじゃないか!!とオーロンゲも納得したように突撃していく。相手は両壁を出来るだけ継続させるつもりだ、ならばそれを邪魔するしかない!!
「高速スピンで阻め」
「フォフォフォフォフォフォフォフォッ!!!!」
高速スピンを開始するフォレトス、まるでダイジェットの竜巻の向きが変わったかのような巨大な空気の渦が展開されてオーロンゲの一撃を易々と阻んだ、だけではなく内部から発射される無数のまきびしと毒びしはオーロンゲの身体へと突き刺さっていった。
『本来まきびしと毒びしに攻撃能力は皆無に近いが、高速スピンと併用する事で勢いを付けて射出する事に成功している、矢張りあのフォレトス相当に厄介だな……』
『正に盤面構築の仕事人というべき活躍です、ステルスロック、まきびし、毒びし、そして光の壁とリフレクター!!自らに有利な状態を作り出し続けるフォレトス、マサル選手とオーロンゲ、これは少々厳しいか!?』
その時、オーロンゲの身体から光が放たれた、それは挑発が切れた証の光だった。オーロンゲは力を取り戻したと言わんばかりにマサルに笑いかけ、マサルも笑った。
「よし、オーロンゲ―――「大爆発!!」えっ!!?」
「フォオオオオオオオオオオオッフォッ!!!!!」
再び技を繰り出そうとしたオーロンゲをしり目にフォレトスは巨大な閃光と爆風を巻き起こしながら大爆発を引き起こした。それにオーロンゲは巻き込まれて戦闘不能となっていた。当然フォレトスも戦闘不能になっているが……ラビは感謝に満ちた瞳を送っていた。
『フォレトス、オーロンゲ両者戦闘不能!!両者、新しいポケモンを同時に出してください!!』
「有難うフォレトス、十分すぎる位に仕事を果たしてくれたな。厄介な奴も処理してくれて助かったぜ」
マサルはその時に見た、フォレトスを見つめながらもその優しい瞳と声色。大爆発はポケモンとの信頼関係がなければ成立しない技、そしてそれによって確実に此方を持っていく手段として活用……ブレーンも使って来る戦略にマサルは息をのんだ。
『オーロンゲを相当に警戒していた証拠ですね、オーロンゲを残しておくことの危険性を天秤にかけて倒す事を最優先にした』
『迷いのない選択、これがラビ選手の凄さという所でしょう!!そしてそれに応じられるフォレトスとの絆も強いという事です!!この絆に対抗できるのかマサル選手!!』
「―――してみせる、いや勝ってみせる!!有難うオーロンゲ、よし……ストリンダー頼むぞ!!」
「リイイイインッダァァ!!!」
「GOエクスレッグ!!」
「ィィレイグッ!!!」