いよいよその時が迫って来てると言っても過言ではない、アオイとハルトは最後のジムを攻略してポケモンリーグへの挑戦権を正式に得ることが出来た。これから本部での面接を経て四天王への挑戦が認められる、そして同時にスター団最後の格闘組にも勝利し、スターダスト大作戦も大詰めとなっている。
「もう直ぐ、だな……」
エリアゼロ突入までもう時間がない、と言ってもラビは既に突入選抜メンバーは定めている。どのポケモンも自分と苦楽を共にしてきた猛者ばかり。彼らとならばパラドックスポケモンとも戦う事は出来る筈……サザレからの情報でとんでもないのがいるかもしれないというのが気になる所だが、それも一応想定している。
「下手したら、これで最後かもしれないな……」
価値観その物が異なるパラドックスポケモン、それらと本気で戦うのだから最悪の場合、自分は死ぬかもしれない……そう思うのだが、それ以上にわくわくしている自分が居て呆れてしまう程だ。タイムマシンに古来と未来のポケモン達と本気と戦える……そして―――
「んっなんだ誰だ?」
と思っている時に突然の来訪者がやってきた。何かを注文したか?と思いながらも出迎えに向かう、そして扉を開けてみるとそこに居たのは―――
「来ちゃった♪」
「ぐふぅん!!」
其処にはカメラを構えて開けた直後の自分の顔を撮影し、悪戯成功と言いたげな笑顔を浮かべているサザレと自分と会えて嬉しそうに声を上げている彼女の相棒であるヒスイガーディの姿があった。一先ず、二人を家の中へと上げた。自分のヒスイウインディも出してガーディと久しぶりの再会をさせてあげている間にお茶を淹れる。
「……ちゃんと言ったよね俺、モチって返事もしてたよね?」
「……ねぇっ何か近々あるんじゃない?」
「さて、如何でしょうね」
「隠し事しなくていいじゃん、一晩同じテントで寝泊まりした間柄じゃん」
「シャッターチャンスを待ってただけだろ」
「私に毛布譲ってくれたりもしてね」
そう言いながらもサザレはウインディの喉を撫でながらもラビの事を見つめ続けている。
「配信を見直してみたんだよね、そうしたらラビのガチパーティクラスが多く出てたからもしかしたら何かをやるんじゃないかって思った訳。それで大急ぎで飛行機でパルデア地方まで来たの」
流石はサザレ……伊達に自分と一緒に旅をした訳ではないという事か、と素直に感心しつつも茶を出す。
「……ああ、詳しくは話せないんだけどな」
「やっぱり……じゃなきゃ態々オノノクスを出すとは思えないもん。あの子は相変わらずなの?」
「相も変わらずに不愛想、勝った時に褒めた時位だよ喜ぶの」
「ホント変わってないんだね。懐かしいなぁ……ラビとシンオウ地方で会ってさ、それから暫く一緒に旅をした事」
「もう、何年前になるんだろうな」
思えばサザレとの関係はシンオウ地方から始まった。天才少女と呼ばれて賞まで取って新進気鋭の超新星カメラマンとして売り出し中だった頃の話になるだろう。偶然出会った自分達は不思議と反りが合ってそれからは旅を共にするようになった。そんなサザレだからこそ自分の変化に気づいたのかもしれない。
「ねえ、何があるの?」
「……詳しく話す訳にはいかない。色々と厄介な事に首を突っ込んじまってな」
「またなの?何というか、ラビって昔からそういうところあるよね……面倒は嫌いなんだってカッコ付けてた癖に誰かが困ってたり悪人が居たら我慢出来ずに首突っ込んじゃって損するって奴」
「う、煩いな……お前だってそのお陰で助かったんだから文句言うな」
「うん感謝してるよ、ねぇガーディ」
「ぐふぅん!!」
「ああ、分かった分かったからガーディやめろ!?ウインディお前までペロペロしなくていいんだよ!!だあああやめんかお前は重いんだぁ!!」
シンオウ地方を旅をしている時、ギンガ団にガーディを奪われそうになった所を助けて貰ったのが自分とラビとの出会いだった。きっと今回だって誰かを助ける為に何かをするんだろう。そうでなければガーディがあんなに懐く訳もないし彼のポケモンだって彼の善性に惹かれているのだ。
「それでさ、決めた事があるの」
「決めた事ぉ……?」
「これが終わったら私の予定に付き合ってよ。キタカミの里って所に行きたいと思ってるの、そこには不思議なポケモンの目撃情報があって是非撮影したいんだよね!!」
カメラを構えながら笑うサザレ、だからと言ってもいきなり押しかけて来る事は無いだろうに……と思っていたら彼女は真面目な顔で言った。
「だから、ちゃんと帰って来てよね。私の助手は貴方しかいないんだから」
「……勝手な事を言うな、俺以外にも助手は出来るだろ」
「出来ないよ、私にとっての助手はラビだけ」
じっと見つめて来るサザレにラビは何かを言う事が出来なかった、茶化してはぐらかそうと思っていたのに、言葉に詰まってしまった。全くズルい……そういう顔をされたら自分が断れない事は一番分かっているだろうに。
「なんだよ、プロポーズでもしてるつもりか?」
「それなら最大の障害はアブソルだねぇ~ラビの事好き好きだし、負けない自信あるけど」
「なんだそれ……分かったよ、キタカミの里だな。絶対に行こう」
「うん、約束」
そのまま二人で旅をしていた頃によくやっていた指切りをする。絶対の約束を決めて、その光景を見ていたガーディとウインディはうんうんと頷き合い、ラビのボールの一つは激しく揺れ動いていたという。
『ラビ、その時が来た』
『チャンプルタウン近くのゼロゲートへと向かってくれ、そこまでのルートは此方で誘導しよう』
「ああ、分かった」
そして、その翌日にフトゥーとオーリムからの連絡がやって来た。遂に―――エリアゼロ突入が始まる時が来た。家の番をサザレとガーディに任せながらラビは歩き出した。
「アーマーガア!!チャンプルタウンまで頼む、途中デカヌチャンが出てきたらウォーミングアップ代わりにぶっ潰して構わない!!今日はボルテージMAXで頼む!!」
「ガァッ!!?ガアアアアアアアアアアア!!!!」