週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ:PWCSガラルトーナメント準決勝 VS キバナ 中編

「ヴァアアアアアアアアアアルディッ!!!!」

 

ラビが繰り出したポケモンを見た時ガラル民はある印象を抱いた。あのポケモン達に似ている、というものだ。それはガラルの化石ポケモン達だった。ウオノラゴン、パッチラドン、パッチルドン、ウオチルドン。本当にこれらのポケモンが当時存在したのか?とポケモン学会でも論議の対象になる程の奇怪で異形の化石ポケモン達には疑問の声が常に出ていると言っても過言ではない。

 

「ヴァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

天へと雄叫びを上げるそれの姿はそれらと比べるとそこまで奇怪という訳ではないが……昆虫を思わせる前脚、爬虫類のように鱗が生えた後脚、魚の尾鰭のような尻尾、鳥を思わせる形状のトサカ……グリフォンを連想させるような猛々しい顔立ちは凛々しくも力強い。

 

『あれは―――シルヴァディ!?アローラ地方のエーテル財団が生み出したと言われるポケモン……だがあれは今の所5頭にも満たないような数しか確認されていない筈だし、そうなるとエーテル財団から託されたという事になるのか……?』

 

思わずダイゴも声を上げてしまう程に驚愕を露にする。シルヴァディはポリゴンなどと同じく、人間が技術を用いて作り出した存在、その存在は極めて歪で厳しい管理が求められるポケモン。人工的にポケモンを生み出すという事はそういう意味なのだ、そんなシルヴァディだが……その身体は銀色である筈の部分が一部金色に染まっており、耳と思われる部分は赤が緑に変わっている。

 

「こりゃまた、随分と珍しいのを―――あん?」

 

キバナはこりゃまたすごいのが出て来たと笑っていたのが変わった、何故ならばシルヴァディは自分ではなくラビを見ながらも前掻きをしている、まるでこれから突進をするぞと意思表示をしているケンタロスだ。

 

「おいラビぃ!!」

 

思わずキバナは声を上げた。何故ならばシルヴァディが飛び出したから、キュウコンから高速移動の加速までもらっている為にそのスピードは凄まじいの一言、そしてそのまま技を繰り出す、それはブレイククロー、それはラビの胸へと真っ直ぐに差し向けられるのだが―――

 

「よしよし、今日のキレも中々だな」

「ヴァアアア♪」

 

そっと懐へと入って頭を撫でてやる、すると先程までの異常な覇気が消え失せ、喉を鳴らして甘え始める光景にキバナもポカンと口を開けてしまった。大きな口を開けて甘噛みをしつつ頬を舐めて甘える姿は大型のポケモンが主人に対して甘える姿そのままだが……如何せん直前が殺す気満々の覇気アリアリの姿だった為、観客たちからもどよめきが広まっている。

 

『随分と面白い子だね、あれがルーティンなのかもしれないね』

『ル、ルーティンですか?』

『ポケモンの中にはトレーナーに勝負を挑む子も多いんです、自分を従えるならそのトレーナーにも一定の強さを求める。きっとあのシルヴァディもその類でしょう、そしてそれが終わると甘えに入る、ラビ君もそれを承知しているから一切動きに淀みがなかった』

『マルヤクデの時はカブ選手が思わず慌てていたというのを聞きました、どうやらラビ選手は本当の意味でポケモンと対等なのかもしれませんね』

 

「ったくビビらせやがって……オレ様を心配させたんだそれだけの実力があるんだろうなぁ!?」

「ダイケンキクラスだよこいつは、言っておくが……こいつは特別な理由が無きゃ出さない俺のとっておきの一匹だ」

 

喉を指で掻いてやりながらそう答えるが、キバナにはそうは見えない。喉を掻かれて嬉しそうにしている姿からはそうは思えないが……ダイケンキクラスと言われて気が引き締まっていくのが分かった。最強だと疑わない自分の相棒たるダイケンキと同格、それは無条件で警戒に値する。

 

「シルヴァディ、ウルトラビーストとのバトルではない、だけど相手は強敵だ、力を貸してくれ」

「……ヴァアディッ!!」

「サンキュ」

 

キバナへと向き直り、唸りを上げるシルヴァディにバクガメスは喉を鳴らした。先程のブレイククロー……あれは並ではない事を理解している。だからこそ、本気で当たらなければ。

 

『NEXT BATTLE シルヴァディ VS バクガメス!!3、2、1……BATTLE START!!』

「バクガメス素早く―――殻を破る!!そこから地震!!」

ガッメッスッ!!!メエエエエグアア!!!」

 

殻を破ってからの地震、高機動を獲得しつつの攻撃だがシルヴァディはラビの指示を待つ。だが時折まだ?まだ?と振り向いてくるのでラビは噴き出しながらも言った。

 

「冷凍ビーム!!」

 

それを聞くと一気に駆け出しながらも跳躍、地震を回避しつつも冷凍ビームを発射。だがキバナは素早く切り返しながらも早業鉄壁からの火炎放射を指示、殻を破るで下がった防御を上げつつも、冷凍ビームを火炎放射で相殺する、だがシルヴァディは相殺されようが気にする事もなく、そのまま突貫してきた。

 

「ヴァアアアアアアッ!!!!」

「岩雪崩!!」

 

強く踏み締められた地面が罅割れながらも宙へと舞って巨大な岩石へと変貌する、そしてそれを尾で力強く打ち据えて発射されていく。これは最早雪崩ではない、流星群のようだとキバナは思いながらも再び鉄壁で防御を固める。

 

素早く―――噛み砕く!!からトライアタック!!」

ヴァアアアディッ!!!シルルッルウルラァ!!!

力強く―――トラップシェル!!

 

神速の領域の噛み砕くに対してのトラップシェル、元々トラップシェルは技を受けてからでないと意味をなさないので力業は合理的、そして噛み砕くで起動するトラップシェルはシルヴァディの身体を容赦なく焼く、のだが―――シルヴァディは爆発に全く怯む事もなくそのまま甲羅に噛みついたままバクガメスを持ち上げると飛び上がり、バクガメスを地面へと投げるとトライアタックで追撃を仕掛けていく。

 

「こいつ―――全然怯まねぇ……っ高速スピン!!」

 

思考する時間が極端に短い戦いを強いて来る、トライアタックの直後にはシャドークロー。多種多様なタイプの技で攻め続けて来るシルヴァディにバクガメスは防戦を強いられる。同時にキバナは汗をかいた。こいつは理解している、バトルに勝つ為の最大のコツを、それはトレーナーを攻める事、と言っても直接的な攻撃を仕掛けて来るという訳ではなく、トレーナーがポケモンに指示を思考する時間、指示を飛ばす時間、届くまでの時間、それらを実行するまでの時間を極端なまでの連続攻撃で削りに来るのだ。

 

「そのまま火炎放射だ!!」

「メエエエスッ!!!!」

 

高速スピンを維持したままの火炎放射、炎の竜巻となって攻防一体の構えを作り出すがこれは唯の付け焼刃、思考の時間を稼ぐ為の行動でしかない。

 

『バクガメスが巨大な竜巻と化していきます!!その範囲は徐々に拡大していく!!このままフィールドを飲み込む―――い、いやこれは雨乞い!?フィールドに雨が降り注ぎます、竜巻の拡大に歯止めが掛かった、そしてそのまま波乗りだぁ!!!』

『相手の動きを抑えると同時に自らを強化する一手……炎タイプもあるバグガメスにとってはこれはきつい。そしてそのまま、氷の牙……そこから冷凍ビーム、これは凄いな……シルヴァディのバトルはバトルに勝つ為の技術に満ちている、極意と言っても良い』

『ご、極意ですか!?それは一体……』

『相手に何もさせない、させるにしても準備時間を作らせない。ラビ君も早業を積極的に使わせている、ポケモンバトルはその性質上、トレーナーとポケモンの思考と視界などが一致しないと成立しない場合が大半です。トレーナーとポケモンと思考の相違があっては求めた結果とは別の物が生まれる、そこから不和が広がる。だからスクールでも教える事は基本として意志の同一化、そこからトレーナーはポケモンが自分の思っている事を実行させるための指示を組み立てる訓練をしますが……勝つ為にはそれを崩すのが一番簡単です、ただ攻めるのではない、時間を奪うように戦う。これがバトルにおける勝利を目指す最大の極意です』

 

素早く―――剣の舞!!力強く―――マルチアタック!!

シッルルルルゥゥゥゥ―――ヴァアアアアディ!!!!

 

相手に思考をさせない、言うなれば相手の見せ場すら作らせないというのはガラルの興行としてのバトルの観点からはあり得ない視点だった。相手の全力を受け切り、それを返しで凌駕する威力で倒す、というのが王道のパターンが染みついているガラルでは異形とすら映るそれに……皆が魅入っていた。トップジムリーダーのキバナが一方的な蹂躙とまでは言わないが、押されている姿がどうしようもなく、瞳を奪っていた。

 

「ガメエエエスッ!!!?」

「バクガメス!!」

 

遂に痛烈な一打が決まった、バクガメスは吹き飛ばされて転がった。そして立ち上がろうとした目の前に大口を開けたシルヴァディが構えており、喉元を噛みつかれて地面へと叩き付けられて、目を回してしまった。

 

『バクガメス、戦闘不能!!シルヴァディの勝ち!!』

『バ、バクガメス沈黙ぅ!!!なんというバトル、なんという戦略、なんという攻め!!相手に思考の時間を与えないという俊敏な戦い!!これが、これがマスターズエイトすら屠ってみせるイラストレーター、ラビの実力かぁぁぁ!!?』

 

隣にダイゴがいるのにも拘らず、実況は熱く語る。ダイゴもその事は気にしていない。寧ろ誇らしくすらある。もう一度、輝かしい場に出て欲しいと願ったトレーナーがこれほどまでに素晴らしいバトルをするのだから……バクガメスを戻すキバナは静かに最後のポケモンを手に取った。繰り出したそのポケモンは相棒たるジュラルドン。

 

「相棒、このバトルを最後にお前を進化させる、だからよぉっ……全力で戦って、悔いがねぇように―――全力で望もうじゃねぇか!!!」

「ジュラアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

 

キバナに決断させた、迷っていた相棒の進化。だが思ってしまった、進化させないのはこれまでの自分のままで変わらない、意地ではなく停滞だと。勇気を持って前に進む、だから相棒を進化させる、それにジュラルドンは望む所だと叫ぶ、自分最後のバトルだとしても悔いはない!!

 

「ラビィっ!!!オレ様とジュラルドンのバトルを、とくとその目に焼き付けなぁ!!!」

「ああ、来いよキバナさんよぉ!!!」

 

『NEXT BATTLE シルヴァディ VS ジュラルドン!!3、2、1……BATTLE START!!』

「荒れ狂えよオレ様のパートナー!!!スタジアムごと、いやガラルの全てごと消し飛ばすつもりで―――ラビを越えてみせなぁ!!!」

「ジュラアアアアアアアアアッ!!!!」

 

To Be Continued……!!

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