週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ:PWCSガラルトーナメント決勝 VS ユウリ 後編

『ユ、ユウリ選手最後の砦は……な、なんとこのガラルの一大事件たる再来したブラックナイトを解決したあの伝説のポケモンザシアンです!!妖精王の剣、剣の王と様々な異名を取るこの地方に伝わる英雄とも呼ばれる伝説のポケモンです!!まさかこのような場で見る事が出来るなんて……!!』

『あれがザシアン、なんて美しい……そして過去のブラックナイトを解決した生き証人……圧倒的な存在感ね、これほどの存在にはなかなかお目に掛かれないわ』

 

ガラルの伝説のポケモンたるザシアン、ユウリは表立っての使用は避けて来た。前回のラビと戦ったエキシビションマッチでも使う事はなかった。だけど自分は全てを使って勝ちたいという思いを遂げる為にはザシアンの力が必要、ザシアンを晒し者にするようで悪い気もしていたが……彼女もそれを了承してくれた。

 

「ウルォオオド」

「ありがとうね、ザシアン。私の我儘に付き合ってくれて」

 

何を今更?子供は我儘を言うものでしょ、貴方は遠慮しすぎなのっという意思が視線に込められて返って来る。ザシアンからすれば自分はまだまだ未熟で可愛い子供に過ぎない、それでも彼女自身が、自身を従える勇者としてユウリを認めている以上、主の意向は極力尊重する。何より……自分と弟を下した相手、ラビとのリベンジマッチなんて望む所なのだから断る理由もないと意気揚々なザシアンは静かに剣を咥える力を強めた。此方を凝視する武者の殺気と歓びが入り混じった異様な闘気が此方へと向けられている。

 

「ザシアン、あの子もしかして……」

「ウルォド」

 

ザシアンも感じている、あのグソクムシャは……死に場所を求めている。剣の王たるザシアンならば確実に自分を殺してくれると理解している、だがならば何故ラビはグソクムシャを繰り出した?それは単純だ……このグソクムシャは極めて面倒だからだ。

 

「お前を狩ってくれる剣を携えた勇者様のご登場だぞグソクムシャ、さあここから指示に従えよ、さあ行くぞ剣の王よ、剣のキレは十分か」

 

ユウリは理解した。なんて面倒な子なんだ……ただ倒されるのではない、自分の限界を発揮させてくれる相手を求めている、自分の限界を超えて全力を出し尽くした末の敗北の中での死を望んでいる、だからこそラビのポケモンになっている。強い相手と戦わせてくれるトレーナーの元で、自分の強みを完全に引き出せる主の元で戦う事を望んでいる。ならば―――此方も応えるのみ。

 

「愚問。ザシアン、果し合いを、受けてやろう」

「ウルォド」

 

『NEXT BATTLE グソクムシャ VS ザシアン!!3、2、1……BATTLE START!!』

 

開始の合図を鳴らされるも両者は剣を交えない。互いに一定の距離を保ったまま、ゆっくり、ゆっくりと歩き始める。互いの一挙手一投足を見逃さない、と言わんばかりの鋭い眼光の投げ合い、何方が先に鯉口を切るのか、今か、それともまだ先か……冷たい緊張感が漂う、実況も思わず何も言えずに喉を鳴らす事しか出来ずにいた時―――

 

「聖なる剣!!」「シェルブレード!!」

 

遂に、互いの刃が交錯した。互いの抜刀は認識する事も出来ず、次の瞬間には鍔迫り合いが起きている事しか認識させない程の神速の太刀筋の斬り合い、すれ違いざまの斬り合い、互いに互いの刃を受け流すように滑らせていく、身体へと向けた刃を紙一重で避け続ける神の領域。

 

素早く―――嫌な音、力強く―――アクアブレイク!!!

グソアアアアアアッグゥゥシャアアサァ!!

 

素早く―――怖い顔、力強く―――雷の牙!!

ウルオオオオオドッ……グアアアアアアルドッ!!!!

 

強烈な嫌な音と本能的な恐怖を呼び覚ます怖い顔の後に激突するアクアブレイクと雷の牙、タイプ相性上はザシアンの有利、だが……

 

「そこからアクアジェットを上乗せだ!!押し切れ!!!」

「ソクァァァァァアアアアア!!ッシャアアオオッ!!!!」

「ウルルルオオドッ……!!」

 

敢て吹き飛ぶことでダメージを最小限に抑えるザシアン、この武者、単純に死に場所を求めてるだけではない……本当に面倒な性質を持っているな、更に迫って来たグソクムシャの一撃を地面に剣を突き刺して自分を回転させながらも剣を抜き、全体重を乗せた抜刀術擬きの聖なる剣を叩き込んでその勢いを削ぐが……削ぎ切れないな、ザシアンは舌を鳴らす。

 

「グソオオオオオオオオオオオオッ!!!」

 

良いぞ、もっと、もっとだ!!!俺の死に場所に相応しい場所を作ってくれ!!!貴方の剣で俺の心臓を貫け!!!と叫ぶグソクムシャ、酷く歪んでいるそれにザシアンは顔を背けそうになった。本当に……見るに堪えないそれには死を懇願している、いや違う、もっと別の物が歪んでいると直感する。

 

「さあ滾ってみせろ、素早く―――剣の舞!!力強く―――シェルブレード!!!

ソォォオオッ―――グッシャアアアアアアアア!!!!

 

飛び出してくるグソクムシャの連続の斬撃は怖い顔で素早さが下がっているとは思えない程に力強く素早い、ザシアンと同じくその斬撃は不可視の領域に到達している。故に刃を振るう根本、肩の動きから予測して回避していく。

 

『グソクムシャ連続のシェルブレードにザシアンは回避回避回避!!しかしこれはなんという斬撃!!回避した斬撃の一部がフィールドに命中しておりますが、その切り口が鋭いナイフで果物を切ったかのような美しさ!!刃物という美しさと恐怖の同居、それが今見せつけられております!!』

『腕を伸縮させる事でスピードを上げてる、引き戻すのもそれを利用している……なんて技量』

『だが、此処でザシアンが突撃していくっこれはインファイトだぁぁ!!!一瞬の隙を突いて斬撃の嵐を掻い潜ってのインファイト!!』

 

「(違う、掻い潜り切れてない……!!)」

 

ユウリは間違っていない、この斬撃を超えるには今のタイミングしかなかった。だがそれも罠で確実に一太刀、運が良ければ二太刀が当たるように待ち構えられていた。なんとか背中の装甲で受けたがそれでも衝撃が凄まじい、このまま決めきる――――ッ!?

 

「ソァァァアアアシャアア……」

 

恍惚としたグソクムシャの顔がある、グソクムシャの小さな4本の腕が自分に突き刺さるようにして動きを止めていた。しかも剣は片腕に刃を食い込ませるようにして止めている。強い、本当に、強い……!!だけど。

 

「ムーンフォース!!!」

「ウルォオオオオオオドッ!!!!」

 

咄嗟に刃を離し、口からムーンフォースを接射する。光に包まれるグソクムシャはラビの足元まで吹き飛ばされて何度も地面を転がった。だがその顔にはまだまだと言いたげな意思が宿り続けていた。だがここである疑問が浮かんだ。

 

『こ、これはどういう事でしょうか……グソクムシャの特性は危機回避、既に体力は半分を切っている筈なのに戻る様子が全くありません!!これは一体……』

『夢特性なのかそれとも……時たまあるのよ、本来ある筈の特性を捻じ曲げるという事が。有名なのはセンリさんのケッキング辺りかしら、まああれは特訓して何とかしたって話だから違うだろうけど……あのグソクムシャはそれとは違うわね』

 

「グソオオオオオオオオオッ!!!!」

 

立ち上がるグソクムシャ、既に体力は限界に近い。それでも手持ちに戻る気配はなく、戦いの意欲だけが高まり続けているのが分かる。バトルへの執着はアーマーガア以上、しかしこれ以上戦えば命の危険までもがある、ザシアンは如何するべきか迷った。剣を引くべきか……また迫ったグソクムシャの爪が顔へと向けられた、反射的に剣をその爪へと放ち、ダイヤモンド並と言われる甲殻が拉げた。マズい、これ以上は本当に彼の命を奪ってしまいかねない―――!!

 

「ザシアン前!!!」

「ウルォルド!?」

「ソグァァアアア!!!!」

 

下から掬い上げる様なシェルブレードが、ザシアンの剣へと当たった。剣を、止めておけない。駄目だこれは、持っていかれる……!!

 

『ザシアンを剣ごと掬い上げたぁ!!!妖精王の腹が、がら空きぃ!!!!』

 

猛々しく―――シェルブレェエドッ!!!!

グソオオオオシャアアアアアア!!!!

 

込められる力の全てを込めて放つ一撃、それが確かにザシアンの身体を捉えた。重撃シェルブレードがその肉体を揺るがし、吹き飛ばした瞬間にザシアンが―――空中で体勢を整えるとそのまま跳躍、グソクムシャの喉笛へと向かった。

 

「巨獣斬!!!」

「ウルォオオオオオオオオオオドッ!!!!」

 

それは、ユウリの指示を聞いたからか、無意識的な行動だったのか。最強の一撃を以てグソクムシャへと斬りかかっていっていた。そしてその一撃はグソクムシャの甲殻を切り裂き、その奥へとダメージを通していた。

 

「グ、ソォグァ……ァァシャァ……!!」

 

足元が覚束ない、身体を維持出来ない、望んでいた筈の物が漸く手に入った……と言わんばかりに崩れ落ちるグソクムシャだが、ザシアンは申し訳なさそうな顔をした。残念だが、与えていない、私にはそれは与えられない。

 

『グソクムシャ、戦闘不能!!ザシアンの勝ち!!!』

『剣の王が武者を討ち取ったぁぁぁ!!!白熱の剣戟の嵐を制したのは剣の王、ザシアンだぁぁ!!!』

 

倒れ込んだグソクムシャをボールへと戻す、ラビはそれを見つめる。

 

「相変わらず面倒な奴だな……よくやった、暫く休め」

 

お前の願いは既に叶っている、それを理解するのは何時のだろうか……いずれ理解する時を待つ。それが自分の出来る事だ。そして最後のボールを手に取る。

 

「相手は誉れも高き剣の王、ガラルに轟く英雄ザシアン、相手にとって不足なし、さあ俺達でその剣を越えてやろうじゃねぇか相棒!!行けぇっダイケンキぃ!!!!」

「ケエエエエンキッ!!!!」

『ラビ選手の最後の一体はダイケンキだぁ!!!』

 

「遂に来た、ラビさんの相棒―――ザシアン、油断せずに行くよ!!!」

「ウルォオオオオオドッ!!!!」

 

 

To Be Continued……!!




PWCSガラルトーナメント最終戦、ユウリ戦は次回決着!!今年の投稿は此処まで。

それでは皆様、よいお年をお迎えください。
それではそれでは~!!
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