週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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タスク:エリアゼロ・ビギンズ

「ガアアアアアァァァ!!ガァッ⁉ガアア!!?」

「探すな探すなっての、まだメインディッシュがあるんだから。この位にしとけ」

 

チャンプルタウンに到着したのは良いのだが……ガラル地方では主流な移動手段の一つとされている空飛ぶタクシーだが、アーマーガアもこのパルデア地方に生息してるのだが、その役目はイキリンコが行っている。その理由はアーマーガアの鋼の身体を狙うハンターであるデカヌチャンの存在がある。

 

デカヌチャンはアーマーガアに限らず、コマタナやキリキザンと言った鋼タイプを標的としてその身体から取れる鋼でハンマーを作ったりする。そしてアーマーガアを狩る場合は地上から岩を持ってハンマーで殴り飛ばして撃ち落とすという手法を取り、お客さんに危険が及ぶ可能性があるのでアーマーガアではなくイキリンコが代役をしているという事情がある。

 

「ガァアアスッ!!ガアアアア!!」

「嘘は言わない、お前が満足できる相手が居るさ。それまで休んでな」

 

此処に来るまでの間に総勢8匹のデカヌチャンからの攻撃を受ける事になった、色違いのアーマーガア故か、アーマーガアで空を飛ぶと本当によく狙われる―――が、ラビのアーマーガアの場合は襲い掛かってくるデカヌチャンを逆に狩ってしまう。結果的にアーマーガアのテンションは既にMAXに近い状態になってしまっている。

 

「やれやれ……さてと、この先か……」

 

スマホロトムのマップにはご丁寧に自分を誘導するマップとルートが映し出されている。此処までの来たのだから自分はそれに従うつもりでいる。少しだけ、深呼吸をしてから一歩を踏み出して行くのであった。

 

「あっラビさん!!?」

「ああっ!?マジじゃん!!?」

「おいマジか、強力な助っ人ってアンタだったのか!!?」

 

苦労して上がってきた先に聳えるゼロゲート、煙草だって吸ってもいないのに煙草やめるかな……なんてぶつくさ言いながら先に元気いっぱいな若人たちが立っていた。如何やら自分だけ遅れました、なんて事はなくて安心した。

 

「お久しぶりですね皆さん、如何やら話は既に行っているようですね」

「あっはい、オーリム博士から子供達だけでは危険だろうからって私達の方で強力な助っ人を確保しておいたって」

「その人と上手く協力してくれって……」

「やれやれ、それなら名前ぐらい出してくれても良いじゃないですか。ですよねぇオーリム博士とフトゥー博士?」

 

思わせぶりにスマホロトムに問いかけるのだが、既にマップは閉じられて通常の状態になっていてロトムは首を横に振っている。

 

「一先ず俺が呼んだ二人と合流しようぜ、もうゲートの中で待ってる筈だ」

「私もそのお二人程のお力になれればいいですけどね」

「ラビさんがいれば大丈夫ですって」

「そうそう、何せ初見のポケモンのタイプを速攻で見つける位だし」

「余りおじさんを持ち上げないでくださいね」

 

そんな子供たちに先導されながらもゼロゲートへと足を踏み入れた。緊張も増していく中で足を進めていく、施設内部はメイン電源が落ちているのか暗いままだ。何かお化けでも出てきそうだ、と思っていたら。

 

「あっラビさんだ~!!ラビさんもエリアゼロの強いポケモンとバトルしに来たんですね!!それじゃあまずは私と一勝負しましょうか!!」

「おいおい生徒会長その辺りにしとけよ、これからエリアゼロに行くのにポケモンを消耗させんなよ……つう訳で俺が呼んだ奴その1だ、学校じゃ小うるさい奴だけど実力はあるから頼りになるだろ。強いポケモンと戦えるって言ったら秒で返事したぞ」

「お~何だ戦るか~!?」

「まあうん、ネモさんならそうですよね」

「「激しく同意」」

 

姿を現したネモ、言うまでもなくペパーが戦力になる一人として呼んだ。その実力は折り紙付き、チャンピオンクラスの実力を思う存分に振るって貰おうと思っていたところに施設の灯りがいきなり点灯し始めた。

 

「あれ、なんか電気!!」

「ウ、ウチがやった……」

 

ペパーの呼んだ応援その2のお陰であった。黒のパーカーに中のホットパンツが見えるほど薄いチュールスカートにもふもふのイーブイバッグ、赤と水色の髪が特徴的な少女だった。そんな彼女の姿を見てハルトは声を上げながら小走りに近寄っていった。

 

「ボタン!!来てくれたんだ」

「う、うん……ハルトには借りがあるし、お世話にもなったし……と、友達だし……力になりたいって思って、校長からなんかお願いもされたし……だから、まあ……そういう事」

「それでも嬉しいよ、有難う」

「べ、別にウチはただ……」

 

笑顔のままボタンの手を取って感謝を述べるハルト、真っ直ぐ且つキラキラした笑顔の威力は相当な物、言うなれば眼鏡ラティオスの流星群だ。ボタンは顔を真っ赤にして伏せてしまっている、効果は抜群だ。

 

「う~んアオハルで青春してますね、おじさんにはちょっと眩しい光景過ぎて辛いです」

「い、いやおじさんって何、老け顔でもない癖に」

「もう直ぐ三十路のおっさんですからねこれでも、忘れられがちですけど」

「―――えっマジなん?」

 

信じられないと言いたげな顔のボタン、様々な機器へのハッキングが出来る程にメカに強い彼女だが流石にラビの年齢云々は調べていなかったのか、それとも忘れていたのか……

 

「それでも改めて自己紹介を。私はラビ、しがないイラストレーターをする傍らで配信者をしております。今回は皆さんの盾となれるように努力する所存です」

「ラビさんと冒険なんてワクワクするなぁ~!!この後でバトルしましょうよ!!」

「ホント会長ってそれしか言わねぇな……」

「……ねえハルト、サインって強請ったら怒られるかな……?」

「ボタンもラビさんの配信見てるの?」

「うんまあ……よく、ね」

 

『生体認証確認中、生体認証確認中』

 

自己紹介をして、これから自分達がするべきことを確認している時の事だった。施設のスピーカーから何やら機械音声が聞こえ始めて来た。それは自分達の存在を確認しているかのような物だった。そして直後に聞き覚えのあるものへと変わった。

 

『『ハローハルト、アオイ。優秀な仲間を集めて来てくれたようだな』』

『ラビは私の方で手配した助っ人だ、実力は保証する』

 

何処か偉そうな態度に苛立ちを覚えるのかペパーはムッとした顔を崩さない、彼からしたら余りにも複雑な事だ。この声の主は彼の両親、そしてその両親は自分を気にせずにアオイとハルトを気に掛けている……息子としては複雑な所だろう。

 

「……父ちゃん、母ちゃん、あのさっ!!」

『『……』』

『ペパー、話は直接会ってからにさせて欲しい』

『私達にも少しだけ時間が欲しい』

『『身勝手な親ですまない、そこのエレベーターで下に向かってくれ』』

 

そう言い残し、スピーカーからの音声は途切れた。思わず拳を強く握るペパー、久しぶりの親子の会話なのにまるで話したくないような物言いだった……だがそんなペパーの心を表しているような拳を解いたのはアオイだった。

 

「大丈夫だよペパー、私がいるから。ハルトだってネモだって、ボタンだって、ラビさんだっているんだから大丈夫」

「……悪い、まあ向こうは話すつもりはあるみたいだし……色々ぶちまけてやるさ、顔突き合わせてな」

 

そういってアオイと先にエレベーターへと向かって行くペパーを見てボタンはハルトにこっそりと声を掛ける。

 

「なんか、仲悪いん?」

「複雑な親子関係って奴だよ、話すと相当に長い話だし……取り合えず俺達もいこ」

「あっ―――うん」

 

自然と手を引いて歩いていくハルトに連れて行かれるボタン。先程の雰囲気との温度差で風邪を引きそうだが、こういうのは見てるだけならば面白い物だ。

 

「それじゃあ行きます?それとも一勝負します?」

「いやなんでですか」

「アハハッ軽いギャグです!!」

「貴方の場合はギャグじゃすまないんですけどねぇ……」

 

一先ず、エレベーターへと乗り込んで下層へと降りていく。そして降りた先では降下ゲートと呼ばれる隔壁が大きく開け放たれ、遂にパルデアの大穴へと道が開かれた。

 

『アオイ』『ハルト』

『ミライドンは連れているね』『コライドンは連れているね』

『『ライド技の滑空を使えば大穴への降下が可能だ。下に着いたら連絡する、健闘を祈る』』

「……言うだけ言って話、切ったし……」

「強引な奴……」

 

兎も角、コライドンとミライドンを繰り出すのだが―――二匹は怯えた表情になりながら及び腰になっていた。何か怖がっているのか、それとも……だがそんな二匹の背中を押したのはペパーだった。

 

「なぁに、高くてビビってん、だろ!!ほら、こうすりゃ大丈夫だ」

「あはっそうだね、皆でいけば怖く、ないもんね!!」

「そ~いうもんかな」

「まあいいんじゃない?」

 

真っ先にペパーがミライドンの背に、続いてネモが。コライドンにはハルトとボタンが、そしてそんなペパーに手を引かれて前に座らされたアオイ、そんな光景を見ながらもラビは―――コライドンの背に乗った。

 

「さてそんじゃあ行こうぜ皆!!」

「大冒険へいざっ!!」

「意味分かんない……まあ、いいか」

「さて、何が待ち受けているのやら……!!」

「よ~し、ミライドン!!」「それじゃあコライドン!!」

「「いっけぇぇぇ!!!」」

「「アギャァスッ!!!」」

 

ミライドンとコライドンが翼を広げた、滑空を行いながら大穴へと下降していく。少しずつ高度が下がる度に心拍数が上がっていくのを感じる。もう後戻りは出来ない、だが不思議と不安はなく、高揚感と好奇心ばかりが湧き上がってきている自分がいる事にラビは笑っていた。

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