「うわっ」
こんな声が出たのは何時以来だろうか、東京タワーが赤い理由の画像を見た時以来だろうか。そのレベルのうわ、が出たなと自分で笑いそうになるが笑えねぇよこれ、とそして仕事早過ぎね?という出来る男たちの所業が凄すぎて笑う。砂嵐を試した翌日、ククイ博士とシゲルから力業天候の調査報告が届いたのだが……想像以上というか、案の定酷い事になった。
『力業雪景色を試したが、霰の存在が確認できた。複数匹のポケモンでテストしたが砂嵐によるダメージと同程度のダメージを受ける。氷タイプの防御が約2倍になり、氷タイプの技威力上昇、そして水タイプの技が氷タイプになってしまう、これに関して威力は上がらない。そして炎タイプの威力が通常の雨程じゃないんだが、威力が下がっている印象がある、これは今も調査中だ。そして吹雪は通常の氷技以上に威力が上がってる。今は雪に関連する特性について調査中だ、ポケモンリーグ本部には報告しといたから』
『力業日本晴れに関する報告です。此方も通常の日本晴れ以上に気温の上昇が確認出来ました、余りの暑さに炎や暑さに耐性がないポケモン達が参っていました。僕は炎タイプと一部のポケモン以外は体力が削られていると解釈しました。炎タイプ技は適応力並の威力上昇を見せ、逆に水タイプの技は威力がさらに半分ほどに落ち込んでいました。驚いたのが草タイプは特性サンパワーを発動させているかのように特攻が上昇しましたが、時間ごとにダメージを受けていた事です。加えて、氷タイプの技威力も低下しました、こちらは水タイプ程ではなく、強いて言うならば25%程度のダウンに感じられました、引き続き天候と深く結びつく特性の調査を行うと同時にこれらをポケモンリーグ本部に報告しておきます』
「……これは酷い」
本当に酷かった。想像はしていたのだが、此処までとは……特に日本晴れ、これ下手したらゲンシグラードンの終わりの大地はこの世界だとこれより酷くなる可能性があるのだろうか。取り敢えず此方も砂嵐についてのレポートを二人と共有しつつも本部へと提出すると、即座に連絡が返って来たので通話を繋ぐ。
『ほっほ~いラビ君ワシじゃよワシ』
「何詐欺みたいな言い方してんすか会長、というかなんで会長?」
『いや偶然リーグの管理部門に慰労の為に差し入れしとったら、担当者のPCにラビ君からのメールが来とってたから、担当ちゃん今お手洗いだから代わりに出て上げようと思って』
「それ、担当さんが帰ってきたら今度は胃潰瘍でベッドに行くことになりそうっすね」
本当にフリーダムな会長だ……と思いつつもタマランゼは声色を変えて聞く。クリック音が聞こえるのでメールを開いているのが分かる。メールだけにしてやってくれ、担当者がマジで死ぬぞ。
『それで今ククイ博士とシゲルちゃん博士からのメールも合わせて見とるんだけど、これマジかな?発見したラビ君には悪いけど、これはポケモンリーグ本部から直々にお知らせを出して、力業天候に関する発表をせにゃならんのよ、発表だけじゃないね、これはポケモンレンジャー本部と連携協議の上で力業天候が完全に調査されるまでは使用禁止令を出さにゃいかんと思う訳よワシ』
「正直妥当な所だと思います。グラードンとカイオーガが暴れたあの事変並の事にはならないと思いますが、散発的にやられると対応のしようがないです。悪の組織連中にも知識を与える事にはなりますが、誰彼構わず悪戯にやって環境壊しました、より遥かにマシです」
『ウムッ……これは罰則の策定やらも急いだ方が良いね、国際警察からも意見を貰う事にするよ』
タマランゼ会長の判断は極めて正しく思える、こればっかりは悪の組織にも餌を与える事にも繋がるが、独自に気付かれて研究されるよりも大規模に捜査を行える此方の方が良い。それに力業天候だと思われる天候が確認されたら、即座に国際警察と周辺警察が連携できると思えば……。
『それでラビ君には悪いけど名前を出す許可が欲しいのよ、不服かもしれないこればっかりは発見者についてはハッキリさせておきたいし、その発見者が極めて此方に協力的でその人でお陰でこれからの被害を抑えられますってアピールもしたい』
「その辺りはしょうがないですよ、というかもしもなんかあったら業を復活させた私に疑いの目が向けられるでしょうから寧ろ有難いですよ。俺の保護とかは期待していいんでしょう?」
『もちのロンで当たりのマエよんラビちゃん、リーグはガラルに加えて騒がしくなるけど、起こるかもしれないあれこれに対して先手が打てると思えば安いからね。その代わりに頑張ってくれてる皆の昇給とかボーナスも検討しないとねぇ』
「なんか、マスタード師匠みたいな言い方になってますぜ会長」
『ひゃひゃひゃ』
兎も角、これはリーグ本部も本格的に動き出すという事になったのは有難い。同時にリーグのバトル部でも調査をしてくれるというので、力業変化技の調査をお願いした。主にフィールド系や設置技系を中心にして貰うようにお願いをしておく。
『あっそうだ、どうせならラビ君が配信で今回の事のお知らせをして貰えるかな。下手にこっちでお知らせ打つよりもそっちの方が即効性高いからね』
「エ~……いやまあいいですけど、これでまたホントイラストレーターなんですか?ってのが増すなぁ……」
『ぶっちゃけちゃうとイラストレーターとしての仕事よりも芸術家的な方がずっと需要あるよねラビちゃんって』
「やめて気にしてるの」
そんなやり取りをしていると会長の背後からカイチョー!!?ナンデカイチョーナンデ!!?という悲鳴が聞こえて来たので恐らく担当者が帰って来たのだろう。一先ずそんな所で通話を終えておく。
「……取り敢えず、配信するか」
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。本日はゲスト付きです」
「どうも皆さん!!勝負いつでも全力でユウリに決めちゃおう!!ユウリです!!」
「今回は此方をゲストにお迎えしてお送りします、そして今回紹介するポケモンは此方」
「―――……ダイル」
「オーダイルです」