「早速馬鹿が出やがったぁぁぁ……」
「いっやぁ……昨日の今日でこれって、マジっすか……」
「確かにまだ正式な罰則は発表されてないし決定もされてないよ?だからって無罪じゃすまないって分からないのかな……」
「いや分からねぇからやったんだろ」
力業と天候の組み合わせはラビの配信後に正式に禁止技となり、罰則は後日国際警察とポケモンレンジャー本部との協議にて決定する事と免許制になる事が明らかになったその当日中に……馬鹿が出現した。何も考えていなかったのか複数人のトレーナーが力業天候を同時にやったのだ、しかも……最悪だったのが全て、バラバラの天候技だった事だった。
「なんでさぁ……パルデアに帰る日にこんな事起きる訳?」
「いやぁ本当にこればっかりは……何も言えません」
大雨、日照り、砂嵐、猛吹雪、これらが一か所で纏めて起こったが為に現場は大混乱。そこに住んでいたポケモン達にも大きな被害と環境の破壊が起きてしまい、国際警察とポケモンレンジャーが合同で出動し居合わせたトレーナーと協力、パニックになったポケモンをキャプチャーしたり、落ち着かせたり、ゲットしたりで現場は酷い有様になっていた。因みに現場はカントーだったらしいのだが……今回の事で一番、心を痛めていたのはレッドだった。
「レッドさん大丈夫ですかね」
「あのニュース映像を見るに、あそこはかなり大切な場所だったっぽいよね」
そのニュースで居合わせていたというのが他でもないレッド本人だった。ちょうど里帰りの途中だったらしいのだが……どうやらそこは自分のポケモンの一匹と出会った大切な土地でグリーンやブルーと一緒にゲットをした思い出の地だった、とニュースで居合わせた理由について語っていた。その時のレッドの瞳は酷く悲しげな物だった。
「あそこ、元通りになるのかな」
「なるにはなるだろうが、時間と労力が掛かる。掛けたとしても元居たポケモン達はそこから離れちゃうだろうから、それこそ完全な再生は無理だな……出来たとしても十数年後、そんなレベルの話になる……こういう事を心配したから配信をしたのに、無駄だったか……」
犯人たちは自分達は悪くない、配信で聞いたからやっただけだと責任転嫁をしているらしいが……そんなのが通じる訳もない。自分も取り合う気はない。
「悪いなユウリ、折角見送りに来てくれたのにこんな嫌な気持ちにさせちまって」
「いえいえいえそれとこれとは別の話ですよ、どっちかというと早速やっちゃったガラルの方が頭痛いっす……いやこれは完全なうっかりでやった人も反省してますけど……」
そう、ガラルでもやらかしは起きている。此方はダイマックス中の力業でダイバーンを放った結果として力業日本晴れと同じ効果が表れたのだが……これをやってしまった人はダイマックスの技の追加効果を狙ったのではなく、高火力の炎技として使った事が認められたので厳重注意で済んだ。当人は平謝り状態なのでラビも完全なうっかりだったのは理解しているが、これでガラルではダイマックスの関係でより強い注意喚起が必要な事が分かったのは良い収穫だった。
「私は私でこれからまたカンムリ雪原に戻って調査を続けます。それではラビさん―――今度はマスター帯で、負けませんから」
「望む所だ」
最後にそんな握手を交わした。今年のマスター帯は荒れるなと思いながら飛行機はパルデアへと飛んでいく、漸く愛しのわが家へと帰れる……という安心感に浸っている、ラビは眠りに就いてしまい、そんな横顔をサザレはシャッターを切った。
「ラビ氏御帰り~!!」
「ただいま、いやマジですんませんした予定伸びて」
「それに関してはラビ氏のせいじゃないから良いよ別に」
「流石ナンジャモちゃん、というかサラッと庭ネタにして配信してたよね。強かだよねぇ」
「それがボクだもん」
と胸を張っているナンジャモが留守番をしてくれていた我が家に漸く帰ってこれた……この広々とした庭が酷く懐かしく感じられるのはなんでなのだろうか……。
「お~いこのお土産何処に置くよ」
「ああ、半分は冷蔵庫でそっちはそこでいいよ。後でコルさんとかに渡しに行かねぇといけないからこっちでやるから」
「あいよ」
「手伝うわ、こっちよ」
「応助かるぜ」
とレビも手助けに入るお土産の仕分け、ガラルリーグ、というよりもダンデからせめてもの詫びという事で大量のお土産を貰ってしまった。高級ワインに化粧品に食べ物と……選り取り見取りだ。
「ンでナモ公、レベとは少しは進展したん?」
「い、いきなりそれ聞くか!?」
「そうだった兄さん聞いて頂戴よ、ナンジャモさんったらあれだけ私がチャンスを作ってあげたのにも―――」
「わ~!!!わ~!!!!??」
「おおっいい顔の赤らみっぷりだねぇ」
「そうね、ナンジャモさんはからかい甲斐があっていいわ」
「ちょっとラビ氏君の妹さん趣味悪いよ!?」
だって自分の妹だしなぁ……と思っている辺りで庭からレベがやって来たのだが、ナンジャモと顔を合わせると一緒に顔を赤めて反らすので思わず全員でははぁ~ん?と言いたげな顔を作ってやった。これは、やったな?それとも言ったな?そんな中でレビらがお茶を淹れてやって来た。
「いやぁ良い物が見れたなぁ」
「ホントホント写真撮ればよかったなぁ」
「「それはやめてぇ!!!」」
「息ピッタリじゃねぇか、オレ様もこれにはニッコリだ」
「ホント、お茶が美味いわね」
「ホントホント……ってなんでいんだよキバナアンタ⁉」
「えっ今更?」
余りにも自然と会話に混ざっていたしレベと一緒にお茶を運んで来たので違和感に気づけなかった。本当になんでキバナがいるんだ!?とサザレも吃驚である。
「いやラビ氏が連れて来たんじゃないの?普通に玄関から一緒に来てたからお客さんだと思ったんだけど……」
「違うわ!?マジでなんで居んだよアンタ?!」
「暇だから」
「カエレ!!!!」
「冗談だよ、いい加減マスター帯も決定される頃合だろ?オレ様はデカい敗戦をやらかさない限りはマスター帯は決定的だから先に現地入りしているだけだぞ」
と、なると本格的にマスター帯は拡大されるのは間違いないらしい。そうなると……マスターズなんちゃらになるのだろうか。
「まあその間の宿の交渉だな、オレ様一応家事得意だぞ?」
「はぁぁぁ……レベ、良いか?」
「私は別にいいわよ、何かあったら凍らせるだけだもの」
「おっ強気な奴は嫌いじゃねぇぞ、勝負してみるか?」
「望む所よ」
何故か火花を散らし始める二人を見つつもラビは漸く帰って来た筈の家で奇妙な気疲れを感じるのであった。
「取り敢えず……配信する時はゲストで」
「軽いもんだな」
「あら、私とバトルをしてそれだけの体力が残ればいいのだけど」
「ハッ俺様を舐めるなよお嬢ちゃん」
「なんで喧嘩になってんだよテメェらは」
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。本日はゲスト付きです」
「よおっ元気か皆、ガラルのジムリーダーのオレ様キバナだぜ!!」
「本日はこのメンバーでいきます、そして今回ご紹介するのは此方」
「ヒゥウウウウウウンッ!!!!」
「ギャロップさんです」