週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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タスク:エリアゼロ・ファースト

「と、途中2回は死んだ……」

「ボタン大丈夫?確り」

 

背中を摩られるボタン、そういいたくなるのも分かる様な体験だった。コライドンとミライドンは滑空が出来るだけで飛び上がる事は基本的に出来ない、なので渦巻のようなコース取りをしながら大穴へと降下した訳だが……途中の雲への突入やら着地などでスリルが満点過ぎてしまった。だが。

 

「ここが、パルデアの大穴……エリアゼロ」

 

自分達はとうとう此処まで来たのだ、エリアゼロへと。高い岩壁に覆われた内側に広がっていたのは大自然という言葉だけでは片づけられない。所々に設置されている施設が人間の文明が此処まで踏み込んでいるという証にも思えるが、それすら容赦なく飲み込む大自然の力強さをより強く感じさせるだけ。

 

「……大丈夫だ、この位……」

「ペパー……ってミライドン?」

「お、おいコライドン」

 

ペパーの様子を心配していたアオイだが、突然頭を擦りつけて来るミライドンに驚く。それはコライドンも同じでハルトのボールに頭を擦りつけるとそのままボールへと入って行ってしまった。

 

「自分からボールに戻ってった?」

「腹でも減ったのか?」

「そういう風には、見えませんでしたけどね……何かに怯えているようにも見えましたよ」

「怯えてたって、何に」

「ね~凄いよ~エリアゼロ~!!」

 

それこそ分からない、とはぐらかそうとした所へ何時の間にか先行していたネモが駆け寄ってきた。この先の様子を確認して来たらしいが、その環境と生息しているポケモン達に興奮気味。

 

「早く行こ~!!」

「……特性、マイペースなん?」

「マイペースというか鈍感というか……対戦では強い特性ですねぇどっちも」

「んっバトルの話!?」

 

先が思いやられるなぁ……と溜息を吐こうとした時にスマホロトムが鳴り響いた。連絡をして来たのはフトゥーとオーリムの両名から。

 

『無事に降下出来たようで安心した』

『さて、君達には私達のいるゼロラボへと来て貰うのだが現在ラボへの入り口は外部からの緊急性の高いロックが掛かっている、それを解除する為には道すがらに点在している4つの観測ユニットを巡って欲しい』

 

「ロックが4つでそれを解除するのが4つの観測ユニット……まあ兎に角進めって事?」

『『正解だ、それでは健闘を祈る』』

 

そう言って連絡は絶たれてしまった。全く好き勝手に言ってくれる人だとラビが内心に抑えていたのに態度が気に喰わないのかボタンがボソリと言った。

 

「何回ハモればいい訳、さり気無いおしどり夫婦アピールかなんかなん?」

「まあご夫婦な訳ですから不思議ではないでしょうね、まあこちらにも青春している方々がいる訳ですし負けてはいませんよ」

「あっそっか、アオイとハルトで青春姉弟だもんね~!!」

 

ネモは分かっているのか分からないのか、二人の事を言うのだが……実際はアオイとペパー、ハルトとボタンの事を指している。当人たちは気付いているのか顔を赤くしたり、繋ぎ掛けていた手を大急ぎで離しているが、繋ぎたそうに指が触れ合っている。

 

「それでは参りましょうか、ネモさん独断専行だけは勘弁ですよ」

「ハ~イ!!あっでも帰りって如何しようっか?コライドンとミライドンは?」

「なんか、ボールに戻ってったよ」

「え~心配だね~」

「何とかなんじゃねぇの?最悪の場合はタクシー呼ぶしかねぇけど」

「いや来てくれんの?」

 

エリアゼロを歩いているというのに会話そのものは弾み続けているし楽しげな雰囲気も一切損なわれていない、これが若さなのか……と何処か羨まし気な瞳を向けそうになってしまった。

 

「そう言えばラビさんって旅をしてたんですよね」

「ええ、してましたよ。年数で言えば9~10年ですかね」

「10年!?随分と長い事旅してたんだな」

「10年とか、全然想像出来んよウチからすれば……」

「旅かぁ……パルデア地方は旅って言う程じゃないかもね」

「まあそれは言えてるかもな、冒険はしてる感じしてたけど」

 

パルデアやガラル地方は基本的に旅をする側へのサポート体制がかなり確りしている部類なので彼らが行っているのは旅という認識ではないだろう。宝探しで完結している。

 

「悪くないものですよ、色んな所を巡っていくのは。ポケモンさんと一緒なら寂しくもありませんし、偶に意気投合したトレーナーと道中を共にするのも乙な物です」

「どういう事があったりするんだ?」

「そうですねぇ……まずポケモンさんが自然のままに生きている光景が見れますし、偶々出会った人が四天王だったりとかホント色々あります、運が良ければ幻のポケモンとだって会えますし、アカデミーで学びを得る日々に負ける事はないと断言しましょう」

 

と言っても自分からすればアカデミーでの日々も実に楽しそうではあるのだが……そんな事を言いながらもいよいよ最初の観測ユニットが見え始めて来た―――その時だった。

 

「クレベースさん!っミラーコート!!」

「ベッシッ!!!」

 

突然、ラビは腰に付けているモンスターボールを投げた。そこから飛び出したクレベースはミラーコートを展開した。それはユニットの陰から飛んできた毒々しいエネルギー波を受け止め、倍増させながら反射させた。

 

「うおっ!!?め、滅茶苦茶でかでかちゃんだぜ!!?」

「いやマジででか!!!?」

「それよりも今のは、ヘドロウェーブ!?」

 

反射されたエネルギー波、それは発射源へと向かい大爆発を起こした。爆炎の中から飛び出してきたそれは続けて、宝石のような光を放ってきた。

 

「今度はパワージェム!!」

「って事はこれって―――」

「「キラフロル!!トップが使ってたポケモン!!」」

「如何やらそのようです、ジャイロボール!!」

 

その場で超高速回転を始めたクレベース、パワージェムを逆に容易く砕いてしまう程の威力を見せながらもクレベースは唸るような低い声で威嚇する。その巨体も相まってキラフロルは怯え始めるが、先に仕掛けてきたのは其方、弁解の余地はない。

 

「氷柱針!!」

「ベェエエススウ!!!」

 

身体の周囲から冷気を放出、空気中の水分を凍結させて氷柱を生み出しつつもそれらをまるでミサイルのように発射。キラフロルは回避を試みるが、まるで航空母艦の対空弾幕染みた氷柱針の回避は難しく、被弾し続けて弱気になったのか逃げて行った。

 

「……行きましたか」

「いやぁ~ビックリしたぁ、いきなりクレベース出すんですもん」

「マジでビビった……何事かと思った」

「お騒がせしました、これが私が此処ですべき役割ですので」

 

旅慣れをしている為に突然バトルを仕掛けて来るポケモンの対処にも心得があるラビ、子供たちを守る盾としては十分に機能出来る自信がある。

 

「さてと、満足ナゲットに急ぎましょうか」

「ちょっさっきの俺の間違いを引きずるのはズルっこちゃんだぜ!!?」

 

少しだけ笑いが生まれながらも観測ユニットへと入っていく、そこで第一のロックを解除する事に成功する。だが此処からが本当のエリアゼロ、油断はならない。

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