「お久しぶりです、ラビさん!!」
「こりゃまた随分と久しぶり、でもないか、連絡自体は取り合ってたもんな。だけど背、伸びたな。これだから成長期の子供って奴は、少し目を離すとどんどんつけ上がる」
「えへへ、能力も数段階レベルアップです」
「おっ言うようになったなこいつ、マスカーニャも元気だったか」
「ンンナアアアアゥ」
久し振りに訪れてくれたリコ、マスカーニャも元気そうにしている。レッド達に会いに来たのかと思ったのだが、どうやら自分に会いに来てくれたらしい。しかもご丁寧にお土産まで持ってきてくれている、あの自分を見て緊張していた子とは思えぬ成長っぷりだ。
「あと数日早かったらレッドさんもいたんだけどな」
「私はラビさんに会いに来たんですから、まあちょっと惜しいかなぁとは思いますけど」
「サザレは今仕事でいないんだが……まあゆっくりしていってくれ、そう言えばロイは?」
「あれ、さっきまで一緒にいたと思ったんですけど……」
ロイと一緒に来るという話は聞いていたのだが、肝心のロイの姿が見えない。そんな時、ゲッコウガが自分の元へとやって来た。
「コウガ」
「構わない、言ってみろ」
「コウ、コウガッェイガ」
「侵入者?だけど子供でロイが止めてる?」
「あっも、もしかして……ラ、ラビさんお願いですそこに連れて行ってもらえませんか!?」
「ああ分かった、ギャロオオオップ!!!」
「ヒウウウンッ!!!」
即座に跳んできたギャロップに跨り、後ろにリコを乗せるとゲッコウガに案内を任せてその後を追いかけていくと……
「だから邪魔するなっての!!オレ様は此処の主とバトルして最強の足掛かりにすんだからよ!!」
「それがだめだって言ってるじゃないかウルト!?此処には勝手に入っちゃダメなんだって!!ここは人の家の敷地なんだから、勝手にバトルしたらマズいんだって!!」
「こんなデカい家があってたまるか!!」
「あるから言ってるんだよ!!?ホント勘弁してよ僕までラビさんに怒られる!!?」
そこには自分の庭の柵を乗り越えて中に入っているヤミラミのように上に二つ尖っている緑髪の少年を必死に止めているロイの姿があった。その周囲には警備班が既に攻撃準備を整えており、何時でも先制攻撃が出来るようにしているのだが、ロイはその面子を見て顔を真っ青にする。
「うおおおおっメガ強そうなやつらがいっぱいいるじゃねぇか!!やるぞヤミラミぃ!!!」
「ヤッミィッ!!」
「バカやめてぇ!!?メガ強そうじゃなくてウルトラ強いんだよおバカ!!?アチゲータヤミラミを止めて!!!??お願いだから攻撃しないでね警備班の皆!!?今止めるから、本当にストップだよ!?」
顔見知りのロイが必死に止めているという状況から判断して、これはロイに悪意はなく、寧ろ彼が止めているという事だと理解して警備班であるヨノワールがゲッコウガに追加の伝令を出そうとした時、そこへゲッコウガを伴ったラビがやって来た。
「おいこりゃどういう状況だ?」
「あっラビさんお久しぶりですお願いですから攻撃しないでくださいね今僕が何とかしますからこいつは色んな意味で暴走特急ですけど絶対に何とかしてみせますから本当にお願いします悪い奴ではないんですいい奴かと言われたちょっと微妙な所ありますけど!!!」
「お、応……リコ、彼、知り合い?」
「知り合いというか、ロイの知り合いっていうか、私もロイ経由で知り合ったもので……」
「っておい逃げんじゃねぇお前ら!!オレ様が怖いのか!!!?」
「またオレ様キャラだよ」
「ンでその旅の途中で出会ったのが」
「そう、このオレ様ウルトだ!!黒いレックウザは俺のもんだ!!」
「なんだロイ、またあいつを追ってるのか」
「いや追ってるっていうか、折角旅をするならはじめ旅をしてた頃を思い出そうと思いまして」
一先ず三人をベランダに招いてお茶を出して話を聞いてみる事にする。彼、ウルトはロイが旅の途中で出会ったらしく、黒いレックウザを追っているという意味では同じ目的を持っているらしいのだが……曰く、ロイといれば黒いレックウザと出会えると確信しているとの事。まあ、間違っていはないかもしれないな……。
「六英雄の奴らなら、偶にうちに来るからな、レックウザも例外なく」
「何ぃ?!お前レックウザをゲットしちまったなんて言わねぇよなぁ!?」
「言わねぇよ、少しは話を聞いとけ餓鬼。あいつらはお前みたいに追い掛け回してくるバカ共から逃れる為にウチに来て休んでんだよ、別に俺がゲットしてる訳じゃない」
「ならよし!!」
「面倒くせぇなこいつ」
「本当にごめんなさい……!!」
今回、柵を無理矢理越えた事で自動的に警察に連絡が飛びもしたが、ラビの方から子供が大切な物を柵の向こう側に落としてしまったが故の行動だと説明し、自分が代わりにちゃんと説明と説教をする事を条件に見逃されている事は敢て言わない。というか、こういうタイプに言った所で多分、聞き入れはしないだろう。
「それにしてもラビさん、PWCSランキングで28位なんて凄いじゃないですか。僕達も何れ挑戦しようと思ってたんです」
「運が良かっただけさ」
「そのPWCSランキングってなんだ?」
件の少年、ウルトはそれを理解していないらしい。ロイとリコは汗を流しつつもその事を説明するとウルトは徐々に顔色を変えて絶叫にも似た声を上げた。
「じゃ、じゃあこいつは世界で28番目に強いって事なのか!!?」
「世界大会で28番目の序列に居るだけ。生憎俺は嘘つきでも無ければ錬金術も嗜んでねぇけどな」
「それじゃあ―――オレ様と、バトルしろ!!!」
「ヤミヤミィ!!!」
ヤミラミと並んで威勢よく叫ぶ少年、これが若いというものか……と少しだけ年を取った楽しみを見出した気がする。
「さっきの連中の親分はお前だろ」
「お、お前ってウルトお前な!!」
「いいさロイ、まあ親分と言えば親分か、あいつらは全員俺のポケモンだ。ここら一帯の土地は全部俺の縄張りって所だな」
「―――だったらお前、メガ強いだろ」
「さて、如何かな……試してみるか?」
「たりめぇだろ」
ギラギラした光を携えているウルトにラビはお茶を一気に飲みほしながら言う。
「どうせだ、お前ら三人纏めてかかってこい。俺のポケモン3体と、ウルトにロイとリコの三人で3匹のポケモンのバトルだ、ルールは勝ち抜き戦で俺は最初にポケモンを全て提示する。どうだ、やるかい?」
「ハン、だったら一番手はオレ様だ!!オレ様だけで3匹全部倒してやるぜ!!」
「ラビさんの実力を知らないからそういう事言えるんだよなぁ……でも、負けませんよラビさん!!旅をして強くなったんですから!!」
「私も、マスカーニャと強くなりましたから、それを見て欲しいです!!」
「ならみせて貰おう」
そんな三人を伴ってバトルフィールドへと移動する。そこで指笛を鳴らす、そこで飛んできたポケモン達は―――
「きゅううんぬ」「オンニッ!!」「ゴト」
アシレーヌ、オニゴーリ、ゴーゴートであった。確かに暇な連中を呼んだがよりによってお前らか……まあ呼んでしまったもんはしょうがないと思いつつもこれで挑もうと開き直る。そして真っ先に前に出るアシレーヌ、対して相手は―――
「よおぃしヤミラミ、行くぜ!!」
「ヤンミィッ!!」
「さて、どんなバトルを見せてくれるのかな……?」