「きゅううんぬ」
「ヤミィッ……」
先鋒であるウルトのポケモンはヤミラミ、そしてそれに対するラビのポケモンはアシレーヌ。リコは改めてスマホロトムを向けて図鑑を確認する。
『アシレーヌ ソリストポケモン 水フェアリータイプ。歌声を活かして戦う大海原のシンガー。アシレーヌにとって戦いはステージ。華麗に歌って舞い踊り獲物を仕留める。月夜の晩に群れを率いて歌う姿は姫のように幻想的』
「アシレーヌ、アローラ地方のアシマリの最終進化……だけど」
「うん、あのアシレーヌはやばい……」
自分達は相対している訳でもない、それなのにその威圧感で汗が流れている。ラビのアシレーヌと言えば世間一般的にイメージされるアシレーヌとは真逆の極致と言っていい程の肉体派、メガラグラージの10万馬力を軽々と受け止めたり、メタグロスの攻撃を受け止めた上に一本背負いで投げた事などは最早語り草になっている程。
「ヤミラミ、パワージェム!!」
「ヤンミィ~!!!」
発射されるパワージェム、それをアシレーヌは軽く腕を払うように動かした。パワージェムは確かに命中こそするが、その動きであらぬ方向に弾かれてしまう。
「へっやるじゃねぇか!!ならこれは如何だ、影打ち!!」
「ヤァァンミィ~……!!」
ヤミラミの影からヌッと闇が伸びてアシレーヌを背後から襲おうとするのが、それをフッと身を沈ませると回避して、再び腕を振るってそれを粉々にする。そしてアシレーヌは退屈そうに欠伸をしてしまった。この程度なのかしら、私が出る事もありませんでしたわね……と言いたげなそれに、ヤミラミは流石に怒ったのか声を上げた。
「やる気あるなヤミラミぃ、だったらやってやろうじゃねぇか!!!」
そう言いながらもウルトはキーストーンが嵌められたメガリングを見せつけて来た。来るかとラビは思うが、アシレーヌは大した期待を抱いてはいなかった。
「トンデモパワーで全開突破……メガシンカァ!!!」
メガシンカによって瞳の宝石が赤く歯が金色になって角のような突起部分が大きくなり、胸の宝石が巨大化し盾のようになった。それがメガヤミラミ。
「いっけぇっパワージェムだ!!!」
「ヤンミィィッッ!!!」
「芸が無いな、アシレーヌ」
「きゅううんっぬっ!!!」
再び飛来するパワージェムだが、今度は軽く力を込めて弾いてやる。それは真っ直ぐにヤミラミへと向かって行く、だがヤミラミを確りと宝石の盾で防御。流石の防御力―――と言いたい所だが、その一瞬にアシレーヌはヤミラミの目の前まで移動していた。
「なぬっ!?負けるな地獄突きだ!!」
「ヤンミィィッッ!!!」
「一撃で終わらせてやれ、ムーンインパクトォ!!!」
「きゅうううん――――ぬうううん!!!」
アシレーヌの喉目掛けて放たれる地獄突き、狙いは悪くないが……残念ながら遅すぎる。特殊部隊のように宝石で確りとガードしていたヤミラミだが、その盾目掛けて放たれた一撃は―――ヤミラミを一瞬で吹き飛ばしてウルトの足元にまで転がしていた。
「や、ヤミラミ!?お、おいメガ確りしろ!!!ってな、何だよこれ……メガどうなってんだよ……!?」
そこにあったのはメガヤミラミ自慢の宝石の盾、それはどんな攻撃でも傷がつかない凄まじい強度を誇るとされていたが……そこには確りとアシレーヌの鰭の痕が残っており、宝石全体にも無数の亀裂が走っていた。そしてヤミラミは静かにそれを口へと運ぶと、メガシンカが解除されてしまい動かなくなってしまった。
「ヤミラミ、戦闘不能だな」
「―――っし、信じ、られねぇ……オレ様のメガヤミラミだぞ、それが、手も足も出ねぇ……?それどころか、盾が割れそうになった……?」
「傷が付かないのはあくまでヤミラミの宝石のモース硬度の関係で決して壊れないという訳じゃない。寧ろ、一点にパワーを収束させてやればアッサリと割れる。だが褒めておこう、ムーンインパクトで割れないのは大したもんだ、賞賛に値する」
「きゅううん……きゅんぬ」
アシレーヌは溜息を吐くとそのままフィールドから出て行ってしまうと、そのまま近くで待っていたラグラージに寄り掛かって甘え始めた。ラグラージはぎこちなさそうにしながらもアシレーヌを労い、まだまだですわねと言いつつもラビは
「こりゃ続きをやってくれる程気が乗ってねぇ……すまんが次はオニゴーリで行くぞ。次は誰だ」
「ウルト、ご苦労様。次は僕が行くよ」
圧倒的な力の差を見せつけられたウルトはヤミラミを抱きながらも呆然としているので手を引いてフィールドから出すロイ。矢張りラビは強い、ラクアを探す旅でそれは分かり切っていた筈だが、その旅で見せたポケモン達など本当の意味で力の一端でしかなかった事がよく分かった。
「ラビさん、本当に強いですね!!でもそれは旅をして成長したこっちも同じなんです、自惚れかもしれませんけど、前にバトルを教えて貰った時とは別人だと思ってください!!」
「何時の話だよ……なら見せてみろ、波動の勇者として相応しいかどうか、この予測不能のオニゴーリで見てやろうじゃないか」
「オニニニニイ」
自分が何を出そうとしていたかもバレている、それもそうかラビだって持っているポケモンなのだからそのポケモンが発する波動を感じ取っても可笑しくはないのだから。
「なら行きます、ルカリオ!!!」
「ルルゥウォオウ!!!」
飛び出して来たのは黄色く輝くルカリオ、まさかの色違いだった。そして……ロイはそのままメガリングを見せつけて来た。成程、メガシンカ2連発だったか。
「真なる力を掴んで超えろ!!メガシンカぁぁぁ!!!」
「さあてオニゴーリ、少しは真面目にやろうじゃないか」
「オンニィィ?」
「めんどくさいじゃない」