「メタルクロー!!!」
「ルルゥゥオッ!!!」
「アイススピナー」
「オンンンニィィィッ!!!」
ロイのメガルカリオとのバトルが始まり、メタルクローをアイススピナーで受けて立つオニゴーリ。タイプ相性には辛いの極みなのだが回転を舐めてはいけない。特に、このオニゴーリの場合は何が起こるのか全く予想が付かない。例えば―――ルカリオのメタルクローを削るみたいに。
「ルォォォッ!!?」
「ル、ルカリオ?!後退しながら波動弾!!」
素早く後退しながら波動弾を放つが、それすらも無効化するアイススピナー。ロイは冷たい汗が流れるのを感じつつもレベル差が激しい事を察する。強くなった自覚はあった、フリードともそれなりに戦えるようになったしキャップにも褒めて貰った、他地方のジムリーダーに勝った事だってある、それなのに氷タイプのオニゴーリに全く歯が立たないのでは……という焦りが湧き上がるが、それを握り潰す。
「違う、まだ負けてない!!ルカリオ、剣の舞!!」
「ルゥゥゥオオオオッ!!!!」
「その意気だ、だけど俺のオニゴーリの厄介さ……は此処からだぞ、影分身」
「「「「「オニニニイニオンニオニニニッ」」」」」
瞬時に分身していくオニゴーリ、あっという間に包囲されてしまいルカリオは周囲を見渡すがロイは落ち着きながら指示を出す。
「落ち着くんだルカリオ、波動で本体を探すんだ!!」
そう、メガルカリオというポケモンの特性を最大限生かせばこの状況の打開は容易なのだ。瞳を閉じて波動を周囲に広げて相手の命と気配を感じ取って探知する。だがルカリオの波動の視界にはとんでもない物が広がっていた、影分身を行ったすべてのオニゴーリに気配を感じた。しかも分身も含めて此方を煽るように変顔をしたり、舌を出したりして馬鹿にしに掛かっているというのが広がって、思わずルカリオは酷い頭痛を患って頭を押さえてしまった。波動が極限にまで高まっているせいでオニゴーリの精神的な気配までダイレクトに受け取ってしまい、ルカリオはそこから逆に精神汚染のような侵食を受けてしまった。
「ル、ルカリオ大丈夫!?」
「お前、なんかやった?」
「オンンイィ^-^」
「その笑顔が怖いよ俺。この変化は……よし、地均し!!」
「「「「「「オンンニイ!!!」」」」」
一斉に飛び上がったオニゴーリはそのまま地面に激突すると周囲から凄まじい地響きがルカリオへと向かって放射されていく。それを受けて膝を突く、飛び跳ねるようにしながらはしゃぐオニゴーリにだんだん腹が立って来たのかルカリオは歯茎を剥き出しにしながらも唸り声を上げ始めた。
「ルカリオ落ち着いて!!」
「そう、メガルカリオの基本は冷静さだ。だけどこいつを前にそれが保てるかな?冷や水だ」
「オンニイイイ」
「ルガアアアアッ!!!!」
そんな所に頭から被らされる冷や水、ルカリオは完全に怒りに飲まれてしまった。周囲に波動を撒き散らしながら激昂し始めた、その様子にロイはマズいっ!!と焦りだす。
「ルカリオ落ち着くんだ!!冷静さを保て、また暴走しちゃう!!!」
「ゥゥゥウウウルオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
「やっぱり、ウチの馬鹿が特別なんだ……オニゴーリ、ウチの波動の勇者気取りを相手にするつもりで、あれを潰せ」
「ゴォリ」
ラビのルカリオは元々沸点が極めて低いので怒ってもそこまで理性が飛ぶわけでもなく、十二分に理性があるという悪質さがある。だがロイのルカリオは何方かと言えば温厚な部類なのだろう、故に一度その怒りに火が付くとそれと同調した波動が一気に溢れ出て暴走する……メガルカリオとしてはまだまだ発展の見込みアリという所だろう。
「マズいよラビさんっこうなったルカリオは……!!?」
「制御してみろ、キーストーンを通じてメガシンカポケモンとトレーナーは繋がっている」
「つ、繋がってる!?そ、そうなの!?」
「特にルカリオはそれが顕著なポケモンだ、制御してみろ」
「―――やってみるっ!!」
「ルウウウウガアアアア!!!!」
インファイトの体勢に入るルカリオ、それに対してオニゴーリは再びムラっけが発動。この輝き方は防御が上がっている、代わりに特攻が落ちたか……それを見極めて攻撃を指示。
「アイススピナー!!」
「オニイイイッ!!!」
「ルガアアアッ!!!」
凄まじい勢いの殴打を回転でいなしていくオニゴーリ、メガシンカしているだけあってアイススピナーの回転にも負けていないのは流石だが……ただ我武者羅に打ち込んでいるだけ、矢張りロイの指揮下の方がいい動きをしている。ロイはメガリングを握りながら必死に呼び掛けている。それがどうなるか……。
「ルオオオオンッ……!?」
遂に回転に拳が飲み込まれて引き込まれ、身体が大きく弾き飛ばされてルカリオは倒れ込んだ。流石にいきなりは無理か……とラビは絶対零度を指示した。オニゴーリは勢いよく息を吸い込んで冷気をチャージする。
「ロイ、絶対零度が来ちゃう!!」
「ルカリオ、ルカリオ、ルカリオっ……!!」
「絶対零度、発射!!」
「オンンンニゴオオオオオオオオオオッ!!!!」
遂に発射された一撃必殺の絶対零度、冷凍ビームを凌駕する絶対的な冷気が迫って来る。迫る毎に空気が音を立てて凍っていく、飲み込まれたが最後瀕死は絶対の一撃必殺、その一撃が命中する―――
「ルカリオオオオオオッ!!!」
「ルォッルゥゥゥラァァ!!!」
刹那、ルカリオの瞳に正気が宿って咄嗟に身体を捻った。絶対零度は頭を掠ってフィールドに炸裂して一瞬でフィールドが凍結する。それを目の当たりにしながらもルカリオは激しく呼吸を乱しながらも膝を突くとメガシンカが解除される。今のでバトル出来るだけの体力が無くなってしまったらしい。
「ル、ルカリオ大丈夫!?」
「ル、ルルゥゥウウオッ……」
「ごめん僕がもっとちゃんと出来てればよかったんだけど……」
「ルゥゥッ!!」
「うん、だから今度は二人で一緒に強くなろう」
「……ルゥオウ!!」
「最後の最後でうまく行ったか……やれやれ、若いってのは良いねぇ」
「オンニィ~?」
「黙れオニゴーリ殴るぞ」
「オッニニニニニニッ~♪」
何がおおっ怖い怖いだあの野郎……というかまたどっか行きやがった……アシレーヌに続いてお前もか、勝ち抜き戦ルール何処行った。兎も角最後はゴーゴートだ、その相手はリコで相手はマスカーニャ……どうしても身構えてしまうのはマスカーニャの恐ろしさを身をもって体験しているからだろうか。
「それじゃあリコ、悪いけどゴーゴートで戦わせて貰うぞ」
「はい大丈夫です勝ちますので!!」
「言うようになっちゃってまぁ……ならゴーゴート、レックウザとも張り合える脚力でマスカーニャを踏み潰したれ」
「ゴォト……!!」