週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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タスク:エリアゼロ・セカンド

「親、か……」

 

不意にアオイがそんな言葉を呟いた。アオイにとっての親は大好きな母と父の事、ハルトとしては仕事の関係で此方に来られなかった父の事を残念に思っているが、何時かパルデア地方に来れた時は自分が案内をしようと思っている。そんな二人からすれば親の事をよく知らないというペパーは不思議に思えた。それだけ二人が親から愛を受け取り続けている証明でもある。

 

「ラビさんのお父さんお母さんはどんな人なんですか?」

「おや、私ですか」

「ペパーからの流れというか、折角だから聞いてみたいなぁ~なんて」

「アオイ、個人情報だろ一応それ」

「構いませんよ、その程度」

 

ペパーの会話の流れを切りたくなかったのか、それとも単純に無言の空気が耐えられなかったのかアオイはバトンをラビへと渡した。ラビは何処か気恥ずかしそうに話しだした。

 

「私の両親はそうですね……何時までも若い時の気分が抜けないバカップルですかね」

「へっ?バカップル?」

「……あ~……あれなん、何時までもベタベタしてるタイプなん?」

「それだけならどれだけ良かったか……」

 

ラビの両親は端的に言えば自分の年齢を自覚していないバカップル、片方だけならばそこまでの問題はない。母親が買い物に行くならば自分も荷物持ちをする、だが途中で父親が合流したら地獄と化す、所かまわずにハートを飛ばすラブラブムードを全開にするのである。

 

「まあ、仲が良いのはいい子ちゃんじゃないか。ウチとは大違いだ」

「出掛けた先のショッピングモールで当然のように腕を組んで頭を預け合って、周囲の視線なんて気もせずにハグやらキスをする親がですか」

「ごめんなさい」

「それはキッツ……」

「でしょ、私が旅に出たのもあの家から一刻も早く離れたかったのもありますし旅に出て今に至るまで数えられる程度しか帰省してませんからね」

 

ラビが帰るのは本当に数年に一度程度でしかない。マジでその位で良いと思っている、まあその結果として帰る度に新しい家族がいる事には愕然とするのだが……4人の妹弟がいる長男になっているのだから本気で勘弁してほしい、尚、妹弟達も早く旅に出たがっている。

 

「加えて私に早く結婚しろって見合い写真を大量に送り付けて来るんですから……孫が見たいと言いながら新しく子供を作ってる人たちには本当に言われたくないです」

「あ~やっぱりラビさんもそういうのあるんだ、私はまだないけど私のお姉ちゃんは見合い写真とかお見合いの申し込みがあって大変だって言ってた」

 

ネモにも姉がいる、姉のお陰で自分は自由にやらせて貰っている事は自覚しているし姉は姉で自分に自由を満喫してほしいと言ってくれているが、何やら苦労しているのはネモとしても分かっているつもりでいる。

 

「大人の世界ってやっぱり大変なんだなぁ……」

「まあこういうタイプの苦労は貴方達にはないと思いますけどね」

「えっなんで?」

「だって、ねぇ……?」

 

ニヤニヤし始めたラビにアオイはペパーと、ハルトはボタンと見つめ合うのだが途端に顔を真っ赤にしながらも背中合わせになってそっぽを向いた。ネモは余り分かっていなさそうだが、何やら楽し気な雰囲気は感じ取っているのか笑顔になっている。

 

「さて、間もなく二つ目の観測ユニットです。そこで休憩しましょうか、ネモさんも少しお疲れなようですし」

「アハハ、バレてました?」

「なんだよ生徒会長、アンタ普段からバトルだなんだって言ってる癖に体力は無いちゃんか?」

「意外でしょ」

「いやドヤ顔で言う事じゃないし」

「ま、まあ此処は普段の所とは違うし疲れてもしょうがないって」

 

フォローなどもしながらも観測ユニットへと近づいてきた時の事だった―――突然それは現れた。

 

「うわっなんだし!!?」

 

 一見プリンのように見えるが、頭部から伸びた体毛はポニーテールのように身体の後ろにまで伸びていた。そしてもう一方は鋼鉄の冷たさを感じさせるデリバードのような何かだった。

 

それは激しい戦いを繰り広げていた、乱れ飛ぶハイパーボイスとハイドロポンプ。強力な技を敵へと向けて躊躇なく繰り出し続けているそれは異様な光景だった。スポーツとしてのポケモンバトルなどではなく生存競争としての技の応酬にペパーたちは圧倒されていた―――が、それは此方の存在に気づくと排除すると言わんばかりの雄たけびを上げた。

 

「ぷりぃぃぃいあああああ!!!!」

「デデデデデリリリリリバアア!!!」

「うわ、うわわわわっ何なん!!?」

「アーマーガア、アイアンヘッドです!!」

「ガアアアアアアアアアア!!!!」

 

素早くアーマーガアを繰り出したラビ、飛びだしたアーマーガアは出番だぁ!!と言わんばかりに雄たけびを上げながらも二匹へと猛進していく。アイアンヘッドをまともに受けるプリン―――サケブシッポ、だが吹き飛ばされながらもハイパーボイスを放つ、それに合わせるかのようにデリバード、いやテツノツツミが袋からハイドロポンプを放つ。

 

「ラウドボーン、火炎放射!!」

「マスカーニャ、エナジーボール!!」

 

ハルトとアオイもポケモンを出した、初めて貰ったポケモン、御三家たちの最終進化形であるラウドボーンとマスカーニャ。ラウドボーンは口から火山の噴火を思わせるような炎を吐き、マスカーニャは深い深い深緑色のエネルギー球を生成してそれぞれぶつけた。技を完全に相殺して爆風が吹き荒れた時、爆煙を突き抜けてアーマーガアが飛び出して二匹を驚愕させた。

 

「鋼の翼からアイアンヘッド!!」

「ガアアアアアアッス!!!」

 

すれ違いざまにテツノツツミを鋼の翼で切り裂くと急速反転しながらサケブシッポへと鋼鉄の頭突きをお見舞いした。二匹は地面へと叩きつけられて目を回しているが、そこへラビのモンスターボールが投擲される。二匹はボールへと吸い込まれ、暫しボールが揺れると音と共にボールは止まった。それをアーマーガアは回収してラビへと手渡す。

 

「有難うアーマーガア、ですがまだまだですよ。貴方好みのもいますから」

「ガアアッ!!!」

 

まだまだ戦えることを喜びながら叫ぶアーマーガアを戻しながらもゲットした二匹を預かりシステムへと転送すると二人へと頭を下げた。

 

「お二人とも、援護有難う御座いました」

「い、いえまたラビさんに助けて貰っちゃいました」

「この程度気にしなくていいんですよ、これが私の役割ですから」

「い、いやでもウチら……圧倒されちゃってたし……」

「ここが普通じゃないって分かってたのにな……」

「それは当然ですよ、何せここで行われているのは生存競争ですからね……それにポケモン自体が普通じゃない」

「確かに……さっきのプリンとデリバードっぽかったけど、凄い荒々しかったしなんかメカメカしい感じしたよね」

「ああ、ロースト砂漠のあいつらみたいだった」

 

このエリアゼロを取り巻く環境が、一歩一歩と正体を見せ始めている。太古の荒々しさと鉄のような冷たさをそれぞれ有するポケモン……何故それがこのエリアゼロにいるのか、それを知る為にも観測ユニットへと入り、ロックを解除した時、フトゥーとオーリムからそれは告げられた。

 

『そろそろ話しておくのが筋だろう、このエリアゼロに生息している一部のポケモン……』

『君たちが見たポケモン達、その正体は』

『未来から来たポケモン』『そして太古から来たポケモンだ』

 

「「「「えっ!!?」」」」

 

過去と未来が現在で交錯する、そしてそれは徐々に大きな歪となろうとしている。パルデアの大穴を覆う分厚い雲の層に、怪しげな光を放つ渦が生まれ始めている。

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