「お断りします」
『あっちょっと待って―――』
「また来たの?」
「また来たのよ」
「なんか最近多いな」
最近ラビには仕事の依頼を頼む電話が多い、それはPWCS本選出場もあるだろうがナンジャモからの紹介を受けたVtuberの立ち絵を担当した事も関係しているだろう。結構好評なのはいいが、一番好評だったのがドータクン好きな歴史系Vで、絵画風というべきなのか、他の立ち絵とは明らかに違うタッチで描いてみたらこういうのが良かったんですぅ!!!という当人から大好評且つ配信ではピッタリだという意見が相次いだとの事。
その結果としてイラストレーターとしての仕事は増えたのだが……明らかに自分を利用しようとする者も増えて来たのでラビはそれらを即座に切っている。
「お前も仕事は選ぶんだな」
「俺にだってしたくない仕事はあるんだよ、明らかに保護区に入りたいって連中もいるしな……そういうゴミは相手にしないに限る」
「ラビはポケモンファーストだからね」
分かり易く保護区の絵を望むならいいが、此方を何とか篭絡してやろうという連中もいるし……本当に面倒だ。
「でも最悪は別に完全紹介制でもよくねぇか?ぶっちゃけ、お前さん金に困ってねぇしアグの旦那の紹介のお陰で顧客はついてんだからよ、イラストレーターとしての仕事しなくても食っていけるだろ」
「それはそれでなんか腹立つな」
「ランキングの肩書でイラストレーター……?って疑問持ってる人多かったよね」
「オレ様も思ったもん、あれ保護区管理人じゃねぇんだ」
「……その手があったぁ……」
「気付いてなかったんかぃ!!?代理人とか探してたくせに!!?」
だって此処普通に自分の家なんだもの……保護区っていう意識は滅茶苦茶頭からすっぽ抜けていたのだ……今からでも修正したいなぁ……と心から思ったラビであった。
「にしても今回はダンデが落ちたなって素直に思ったな、あいつ何時も3位なのに」
「シロナさんが追い上げてたね」
「何時そんな暇あったんだろうな、あの人頻繁にウチとかブルベリ学園とかに行ってたのに」
偶にコメント欄でオーバとゴヨウがチャットツール代わりに話をしていたが、シロナの脱走という名の出張は頻繁に起こっている。チャンピオンではあるが、それ以前に考古学者である為にその研究には苦労を惜しまない……だが周囲の苦労は汲んであげてくださいとは思ったが。
「キバナ君的にはなんかこの人気になった、ってのある?」
「オレ様か?オレ様的にはあれだ、オニオンの奴が21位だからビビったわ」
そう、ランキングにはオニオンが21位にランクインしている。ガラルリーグは現在再編の為にシーズンが休止状態になっているが、一部のジムリーダーはこの機会を利用して外へと飛び出して武者修行に勤しんでいる者もいるが……オニオンはその一人でカブに仲介して貰ってホウエン地方の四天王であるフヨウの元で修行を行っていると聞いたが……それがこの結果を生んだ。
「だけどそうなると改めてガラル地方が閉鎖的な環境だったのかってのが改めて理解出来ちまったな……いざ外に出て修行しました、ってだけでこの結果だぜ?なんというか自信無くすぜ」
「よく言うわマスター帯の常連だった癖に」
「そりゃオレ様は、だろ?問題はガラルをもっと風通し良くした方がいい結果になるって現状だ」
今回本選出場したのを地方別にみると……
カントー:6人
ジョウト:3人
ホウエン:4人
シンオウ:4人
イッシュ:3人
カロス:3人
アローラ:1人
ガラル:5人
パルデア:5人
という事になる。と言ってもワタルはカントーとジョウトの兼任な上にサトシはアローラチャンピオンなのでアローラに入れているので本当は違う結果というべきかもしれないが……こう見ると、カントー勢が強い、寧ろ今回パルデアは本当に頑張ったな……と言いたくなる。
「こっからガラルはジムリーダーとか四天王以外でも一般トレーナーが此処に入れるような改革を目指していく必要がある訳だ。理想としてはシンオウのシンジが出てるみたいな感じでな」
「パルデアのラビみたいな」
「こいつは実質的にシンボルエンカウントの裏ボスみたいなもんだろ」
「応喧嘩売ってんのか」
「じゃあさ、アローラ地方は良いの?」
アローラ地方に至っては、チャンピオンであるサトシを除けば完全な0だ。それは良いのかとも思うがアローラはポケモンリーグそのものが最近設置されたばかりでまだまだ地方内の統一やら統制が出来ていないという問題もあるしウルトラビーストによるあれこれもあるのでそう簡単には出せないし寧ろPWCSには少々消極的な所がある、Zワザ習得の為にやって来るトレーナーの対応でも大変なので、こればっかりは除外でも問題はないだろう。
「そもそも島キングやらクイーンやら島巡りっていう独自の文化があるからな、そこに外の文化であるPWCSが介入して定着するのにも時間が掛かるから慎重になってる」
「成程~」
「ンで、ラビはなんか注目している選手とかいるのか?」
「寧ろ俺は注目される側では?」
キバナとサザレはそれは確かに……と納得してしまった。この本選で自分は完全なダークホース枠になっているのだ、と言っても自分は一つ一つ試合をこなしていくしかないだろう。目指すはサトシとの再戦だが……そこに辿り着くまでに一体どれだけのバトルをしなければならないのか……。
「にしてもグルーシャって奴氷かよ……なんだよ氷使いは強い奴しかいねぇのかよ」
「氷とエスパーは強いって決まってるようなもんだからな、ウチの妹たちみたいに」
「ロルは中々だが、レビはぶっちゃけそこまで……」
「言ったわね……?」
背後からヌルッとやって来たレビの目には怒りと闘志の炎が滾っていた。
「だったら思い知らせてあげる、愛馬も解禁して完膚なきまでも叩き潰してあげるわ!!」
「はっ望む所だ、丁度良いウォーミングアップ代わりにしてやる」
「ポケモンを並べてから御託を並べなさい」
「そりゃお前もだ」
と言い合いをしながらも外へと出ていく二人を見送るラビとサザレ。
「なんつうか……いつの間にか付き合ってそうな感じになって来たなあいつら」
「また賑やかな家族が増えるね、でもそうなるとロルちゃんお相手も配信者とかになるのかな」
「あいつの場合は自分が配信者やってそうだからなぁ……」
「言えてる」