「でも、その本当に良いのかしら……ラビ君のポケモン達なのよ?」
「まあ流石に付き合いの長い連中とかを引き抜かれるのは困りますけど、流石にあいつらは付いて行かないですよ。極端な話をしちゃうと俺はポケモン達が独立したいです、って言われたら喜んで受け入れる覚悟ですよ。此処を実家だと思って偶には帰ってきて欲しいですけどね」
「……本当に凄い考え方ね」
翌日、カルネは漸く一日フリーな日を作れたとのんびりとした朝を迎えられた。ラビ謹製の朝食にアンシャと舌鼓をした後に話を始めた。それはアンシャの友達となるポケモンの話である。因みにキバナは今日はカロリー消費を相当に気にしているのか、バトルフィールドを借りて徹底的に動くと言っていた。
「ラビ君としては、どんな子が好ましいと思うかしら」
「そうですね……カルネさんの相棒と同じくラルトススタートが一番ベターだと思います」
それにカルネは少しだけ反応した姿にサザレは微笑む。娘と同じポケモンならば話の話題にもなるし色々と教えられるしそれは良いかもと、言いたげなのがバレバレである。だがそれを口にはしないのか、理由を尋ねて来る。
「まず、ラルトスは気持ちポケモンという分類の通りにトレーナーの気持ちを察知してくれますのでポケモンを育てるうえで大切な相手への思いやりを自然と身に着ける事が出来ます。強さだけに目を向けてしまうトレーナーになりにくいですね、加えてラルトスはテレポートを覚える事が出来ます。将来的にアンシャちゃんが旅をするかは未定ですが、すると仮定した場合、危機的な状況から距離を取る、避難するといった選択肢を取る時にテレポートは最適な技だからです」
「あ~なんだっけ、ネンドールの配信でも言ってたよね。テレポート持ちはいざって時に凄い頼りになるって」
「そうそう、俺も助けられたって実績持ちだからな。それにラルトスってポケモンの性質上、ポケモンの不調とかも直ぐに見つける事も出来る。それにエスパータイプって育てる場合は難易度が高いけどラルトスの場合は気持ちのキャッチボールを自然とするから、入門としても有難いんだ」
2人の会話を聞いていてカルネは少しばかり情けない気持ちになって来た。自分と一緒のポケモンなら会話の種になるし指導も出来るなんて浅い事を考えていたのが本当に恥ずかしい……この二人の方が娘の安全や教育ならの観点を確りと考えてくれているじゃないか……。
「加えて熟達していった場合にぶつかる壁は自分の弱点ですが、ラルトスの場合は毒とゴーストと鋼ですね。毒は言うまでもなくエスパー技、ゴーストの場合はシャドーボールなどのゴースト技、鋼に対してはマジカルフレイムと言った技も覚えられます」
「そう思うとかなり隙が無いんだね」
「ああ、電気や草、氷とかなり隙が無い。サーナイトともなると相当だからな。エルレイドになるとまた話も変わって来るけど……脱線しました、すいません。そしてポケモンバトルをする場合には確実に聳えるであろうドラゴンタイプにも強く出れます」
改めて自分のパートナーの長所を列挙されると嬉しくなると同時にそれらを全て頭に叩き込んでいるラビの凄さに言葉が出なくなる。教師とか向いているのではないだろうかと思う。
「それに、ラルトスの段階で命の雫という回復技を覚えられる。旅だけではなく、誰かを助ける事が出来るというのは極めて重宝します。そして……これらをカルネさんが教えてあげる事が出来る、なんていうのはお母様としては見過ごせない所ではないですかね」
「……バレてたのね、人が悪いわラビ君」
「フフフッこれは失礼」
見透かされていたと思うと途端に恥ずかしくなってきてしまう。本当には自分の心に一番に生まれていたそれを分かっていたんじゃないか……。
「と言っても可能であればもう一匹位は連れるのがバランスとしてはいいでしょうね」
「3匹、って事?フーパを入れるにしてもあの子に3匹のトレーナーになるのは少し荷が重い気がするのだろうけど……」
「いや、アンシャちゃんはトレーナーとしての才が極めて高い子ですよ。私のギャラドスを初見でその心の機微を感じ取って優しいと断じて平然と近寄る位ですから」
「アンシャが……」
それは、カルネにとっては嬉しい知らせであると同時に母親としてそれを察知して上げられなかった事への後悔を抱いた。母親としてこの子の成長を傍で見られていない事に他ならないのだから……だからこそ此処は確りと母として我が子の事を考えて上げなくては……。
「訓練、という訳ではありませんが3匹位の方があの子も寂しさなんて覚えませんよ。寧ろ、フーパ相手にお姉さんぶってみせるぐらいですから」
「まぁっそれ、是非見たかったわぁ……」
「あっ写真撮ってありますよ、見ます?」
「勿論見るわ!!」
サザレがベストショットと胸を張って言える程の出来栄え。フーパがおやつを独り占めしてしまった所をアンシャがめっ!!と叱っている姿が鮮明に映し出されており、カルネとしては、
「やだうちの子可愛すぎ……!!」
と口元を覆ってしまう程だった。この人も大概親馬鹿の素質あるな……と思うラビであった。咳払いをしてカルネも漸く正気に戻ると、サザレは酷くニヤついており嵌められた……!!と無念そうにしているが、これまで見てきたチャンピオンの痴態に比べれば幾分も可愛らしい物だ。
「そ、それでもう一匹ってなるとどんなポケモンを思ってるの聞いても!?」
「そうですね……個人的にはアシマリを推しますね」
「アシマリ?それってもしかして貴方のアシレーヌ繋がりかしら」
それがないとは言わん。なんとあのアシレーヌはラグラージとゴールインしている、というかアシレーヌが押し倒したらラグラージがし返したというべきか……それに呆気にとられたアシレーヌはそのままラグラージから告白を受けて、顔を赤くしながらもただコクコクと、頷く事しか出来なくなっていた。そんなこんなでアシレーヌとラグラージの間には既に子供が出来ている。ついでにアシレーヌとラグラージからの許諾は取れている、後はアシマリがうんと頷けばOKな状態。そして、アシマリを推す理由だが……
「単純に水タイプだからです。だって、アンシャちゃんはドーナツ作りが好きなようですし、いざという時に消火可能なポケモンは好ましいでしょう?」
「……負けたわね、とことん貴方はアンシャの安全を考えてくれてるのね」
「この位出来ないと7兄弟の長男なんて出来ませんから」
「良いパパになるわよ貴方」
そんな風に思われているアンシャは今日も今日とてムーランド&ブースターに抱かれてフーパと一緒に夢の中であった。