「……此処かってうぉっ!?」
空間を越えた先に到達した異空間、そこに足を踏み入れた途端に面喰らってしまった。何故ならば……以前の異空間とは違う、海上の上にビルが突き出しているかのように揺れ、極めて不安定な印象を抱く。嵐の中で大きく揺さぶられているような酷い状態になっている。
「こりゃ酷い……デオキシス、サーチだ!!徹底的に周囲を洗え!!」
『承知した』
デオキシスは指示を受けて腕を広げながらも分身体、デオキシス・シャドーを無数に空間に放って行く。無数に分身体が飛び交ってアシマリとラルトスの捜索を開始する。
「出来るだけ早く頼むぞ……この空間は明らかに可笑しい」
『分かっている、同時にこの空間の解析も進めている。この空間は……どうやらラビ、君の深層意識とリンクしていると思われる』
「まあ、此処に居る人間は俺だろうからな。問題はそこじゃない、深層意識のどの部分とリンクしているかだ」
繋がっている部分によってはとんでもない物がこの空間に現れるかもしれない、そう思うと本気で此処はやばい空間になり得る。出来るだけ早く脱出しなければならないのだが……デオキシスはそれを踏まえて調査を継続していくが、その時に分身体の一匹から連絡が飛んできた。
『むっ発見したようだ、二人とも無事だ。怪我もしていない』
「よし、そこへ行くぞ」
『承知した』
デオキシスがラビを持ち上げてそこへ向かって行く。空中からこの空間を俯瞰すると本当に此処に何処か既視感を覚えている自分が居る、自分の奥深くと繋がっているからだろうか……一体何処と繋がっているのかと思っていると分身体が手を上げているのが見えた、降ろして貰うと分身体に囲まれてガードされていたアシマリとラルトスが見えて来た。
「アシマリ!!ラルトス!!」
「あしゃ?しゃま~!!」「ル~……ルゥ~!!」
不安がっているラルトスと対照的にここ面白いよ~?と言いたげに元気に飛び込んでくるアシマリとテレポートで飛んで来るラルトスを抱きしめながらも思わず一息ついてしまう。身体を確認するが本当にけがなどはしていない様子で安心した。
「よし、ミッション完了だ。デオキシス、脱出するぞ。元来た地点まで―――」
『待てラビ、何か空間の揺らぎを確認した……何かが来るぞ』
「くそこのタイミングか……」
取り敢えず二人を胸に抱きつつも周囲を警戒する、確かにデオキシスの言う通りに自分でも異変のような物を感じ取れる。自分でも分かってしまう程の空間の異常、ビルがどんどんと沈み始めている、というよりもビルの屋上以外を飲み込んでいた黒々としていた海が徐々に青みを帯び、本当の海のように変質している。
「おいおいおいどんどん沈んでるじゃねぇか、何が起きてる……」
『……君の深層意識との深いリンクが確認された、君の中から何かが出て来るぞ』
「えっつまり俺のせい!?」
『そうとも言う』
「そんなぁ!?」
トラブル体質なのはもう否定しなくなってきたが、まさか自分のせいなのか……腕の中ではしゃいでいるアシマリと不安げなラルトスを安心させようと更に強く抱きながらも警戒していると……ビルが激しく揺れ始めた。
「お、おおおおっ!!?」
『マズいな、空中へ避難する』
残っていた分身を使ってラビを持ち上げて空中へと逃れる、その途端にビルがまるで引きずり込まれるかのように海へと飲まれていく。間一髪だと安心する暇も無い、先程の揺れはビルが揺れていたのではなく空間そのものが揺れていたのだ。そして―――ラビの深層心理とリンクした異空間の海からそれが空間を突き破るように姿を現した。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアッス!!!!」
「ルギアじゃねえか!!?い、いや違う、これは―――」
思わずそんな声を上げたのは飛び出して来たのが海の神様とも言われているルギアだったから、だけではない。その身体は白銀のように美しさと神々しさを纏っていた筈なのに、出現したルギアの姿はそれらとはかけ離れていた。まるで暗い闇を連想させるような暗い紫色のボディに足や頭の角も鋭く尖った禍々しい外見に変貌。自分とレッドが叩き潰した組織であるシャドーが象徴として運用していた究極のダークポケモン……XD001、ダーク・ルギアの姿がそこにあった。
「ちょっと待てダーク・ルギアじゃねぇか!!?そんな訳ないだろ、あいつは俺とレッドが奪い返した上でセレビィの力を借りてリライブして海に帰った筈だろ!!?」
『ダークポケモン……人工的にポケモンの心を閉ざす事で戦闘マシンへと変えられたポケモン……伝説のポケモンたるルギアまでそのような事をされていたのか』
レッドと旅をしていた時、偶然立ち寄ったオーレ地方で目撃したダークポケモン。そしてそこで出会ったとあるトレーナーと共にそれを行っていた悪の組織たるシャドーも壊滅させ、その数年後に復活したシャドーも共に叩き潰し直した筈……。
『恐らく、あれは本物のダーク・ルギアではない。この空間が君の深層意識とリンクし、君の中で最も記憶に焼き付いていたポケモンの一体を映し出しているのだと思われる。だが恐らくあれに実体はある、どれだけルギアが印象深かったのだ?』
「いやだってフリードと一緒だった時にも出くわした事あるし……」
そんな事は如何でもいいんだ、とにかく何とかしないとマズい……再び姿を見せながらも潜水するが明らかに此方に狙いを定めており、ゆっくり旋回しながらも此方を狙っている。
『むっラビ、あそこに島があるぞ。あそこでなら態勢を立て直せる、がどうしてあそこだけあんなにも真っ白になっているのだ?』
「……キュレムが永久凍土の島にしちゃったニケルダーク島だなあれ。ええいもう行くことはないと思ってたけどしょうがない、あそこに避難だ!!」
『承知した』
海上では此方に勝ち目はないと島へと向かうとルギアもぴったりと此方を追跡してくる。付かず離れずの距離を維持し続けている。一先ず島に下りてオーガポンを出す。
「オーガポン、二人を頼む」
「ぽに!!ぽに、ぽにににぽ、ぽ~に!!」
「あしゃまっ!!」「ル、ラル!!」
オーガポンの言葉にラジャりました!!と敬礼するアシマリと戸惑いつつも頷いて後に続くラルトス、二人はオーガポンに任せればいい。後は……
「ダイケンキ、シンボラー!!」
「ケン!!!」「ボララランッ」
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアッス!!!!」
勢いよく飛び出して来たダーク・ルギア、こいつを何とかするだけだ。一人レイドバトルをするようなものだが……やるしかない。
「大物狩りだ、気合入れて行けよ相棒!!シンボラー、遠慮はいらん、派手に行くぞ!!」
「ケエエエエエエエエンッ!!!」「ボラアアアアアアンッ!!!」
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアッス!!!!」
「来るぞ!!」
ダーク・ルギアが現れた!!