週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ?:因縁の空間。

「も~やってられっか……」

 

そんな溜息というか罵倒染みた言葉を吐き出しながらもラビはビールを呷っていた。普段ならば絶対に飲まないし揚げ物とかに使うばかりの苦いそれを喉の奥へと流し込んでいる。酔いたくて飲んでる訳ではなく単純なやけ酒をしたかった。

 

「なんで俺がこんな目に……」

 

誰かに言われた事がある、伝説や幻のポケモンと出会いすぎだと。その運を自分にも寄越せと、だったら味わってみろ自分の苦痛を。自分は伝説や幻のポケモンと出会えた幸運に感謝した事など全くない。珍しいポケモンと出会える事の感謝は確かにあったが、それを幸運だと思う事はない。答えは単純だ、生物としての格が余りにも違うからだ。

 

「一回お祓いでも頼むかぁ……?いやでもそれやってゴーストタイプの皆が嫌な顔をするのはなぁ……だったらしない方がいいかな……いい方向に行くような呪いで上書きした方がまだ楽かな……」

 

あそこの街の近くで何々が出たとか目撃情報があったとか、それらに振り回されるのを滑稽だと笑った事など数えきれないし、ゲットしようと思う連中を馬鹿にした事もある。まあそんな風に思っているが為に、彼らを匿ったりしたことも多いのだが……ラティオスとの出会いなんてそんな感じだったし……。

 

「にしても、あの異空間……可能ならば俺はもう入らない方がいいな……」

 

タブンネやラッキーたちに処置された傷を見ながらもこれからの異空間対策について思いを巡らせる。深層意識が反映されるなら自分は色んな意味で厄ネタだ、今回はダーク・ルギアで済んだが、最悪の場合は目の前で見たディアルガパルキアが出現し、最悪の場合はレートバトルで遭遇しまくった廃人仕様の600族やら伝説幻準伝が勢揃いしたフーパの映画並みの地獄が展開される恐れがあるという事になる。寧ろダーク・ルギアで済んだのは色んな意味で幸運だったと言わざるを得ないかもしれない。

 

「……今回の事で皆も注意はするだろうが、また起きる可能性は高いか……可能であればあの空間は閉じた方がいい、アンシャちゃんには悪いがポケモン達に危険が及ぶならその方がいい……あのレックウザはアンシャちゃんの心が反映された存在……」

 

憶測なら幾らでも出来る上に何とでも言えてしまうので言えるだけ言ってしまうが……ハッキリとしたことは何も言えずじまい。そんな事を思っているとスマホロトムに連絡が入って来た、誰かと確認をしてみるとバーネット博士からだった。

 

『久しぶりねラビ君、まさか貴方からメールが来るとは思ってなかったら時間が掛かっちゃったわ。元気してる?』

「まあ、ボチボチって所ですよ。最近はイラストレーターとしての仕事もちゃんと来るようになって来たので漸く画家気味だったのが本来の塩梅に戻って来たって印象です」

『そう、こっちも相変わらずよ。あっそうそう、イクハがアローラ発のスーパーアイドルモデルになったのって知ってる?』

「いや全然、興味ねぇですし」

『本当に相変わらずねぇ……仮にも一時期旅を一緒にしてた相手でしょ?』

「相手と言っても、俺何度もあいつを置いて行こうとしましたけどね」

『でも未遂でしょ?』

「忘れ物取りに行ったら全く気付かずに挨拶返して来たので毒気抜かれたりしたので未遂ですね」

 

本当にこの子ったら……と言いたげな笑いを浮かべたが、すぐに本題に入りましょうかと話を切り替えたのであった。

 

『そっちにフーパがいるって本当なの?』

「ええ、その影響か分かりませんが空間の歪みによる空間の穴が開いてアシマリとラルトスがそこに落ちちゃったので救出しに行ってた所です」

『ええっ!?貴方、よくそんな危険なことするわね!?』

「ポケモンの為です」

『ポケコンっぷりも変わってないわねぇ……話を聞いても?』

 

取り敢えず、ラビは先程帰って来たばかりなのでその話をすると博士は顔を七変化させながらも、本気でラビが良く帰って来たな……と言わんばかりの顔で見つめていた。

 

『……ウルトラホールとの関係性も考えられるわね、多分だけどそれは空間が不安定だからではないと思うの』

「どういう、事ですか?」

『貴方には話した事あったかしら……実はアローラだと最近ある問題が起きていてね……小規模ではあるけどウルトラホールの目撃情報が連続的に起きているの。エーテル財団と共同で研究した結果としては、ウルトラビーストが関係している事が分かったの』

「待ってください物凄く嫌な予感がして来たんですけど」

『……その異空間は恐らく本来の主が不在だからこそ不安定だと思うの、そして私の推論が正しければ、その主はアローラで散発的に発生しているウルトラホールを開き続けている犯人……』

 

その時、ラビの脳裏にはあるポケモンの影が浮かび上がったきた。それはガラルの地下でジガルデへと襲い掛かっていったあのポケモン。

 

『そしてそれはその主はより強い力を求めている、そこに戻る為に。その主は―――ネクロズマ』

「あいつかぁ……」

 

ジガルデによって送還されたはずだが、戻り切れなかったのか、また暴走していているべき場所から飛び出してしまったのかは分からないが……自分はあれとの因縁を断ち切れていなかったという事になるのか……。

 

『私には一応の解決策が見えてるわ、何方にしろ貴方としては負担にしかならないかもしれないけど……如何する?試してみる?』

「……もうこっちは被害にあってますし、やるだけやります」

『分かったわ、準備が出来次第実行するからそれまで少し待っててね』

 

それで通話を切るのだが……本当に自分は疫病神だなと思えてしょうがなかった。

 

「……シルヴァディ」

「ヴァディ?」

 

名前を呼べばすぐに飛んで来るシルヴァディを軽く撫でながらも問いかける。

 

「悪い、近々力借りることになるわ」

「ヴァァディ」

 

喉を鳴らして甘えてくるシルヴァディにラビは笑った。自分が望めばこいつはどれだけでも力を貸してくれる、そういう奴だ……しょうがない、もう少しだけ頑張るとするか。

 

「ただいま~ってあら、ラビ君お酒飲んでるの?」

「ただいまなのです~」

「お帰りなさい、すいません期限が近い物だったんで」

「でもなんか、妙にいい顔してるわね。そんなにお酒好きだったかしら」

「嗜み程度です」

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