眼前に居るネクロズマは唯のネクロズマにあらず。ウルトラネクロズマ、本来の姿を失ったネクロズマが力を取り戻した末の新たな姿。その種族値は圧巻の754。合計種族値的には6位ではあるが……バトルに入ったと同時にその身体が輝いたのを見てラビは舌打ちをした。更に能力が上がった輝きに苛立ちすら感じた。
「素早く―――バークアウト!!」
「ギャアアアア!!!」
咆哮と共に炸裂するバークアウトがネクロズマへと直撃するが、ビクともしていない。全く本当にふざけた存在だ伝説のポケモンという奴は、まるで砲門を開くように開けられた口、徐々に高まっていくエネルギーが口から放出するぞという言わんばかりの音が聞こえて来て、ラビは咄嗟にシルヴァディへとディスクを投げた。それはシルヴァディへと挿入され、瞳とトサカの先端の色が闇色に染まっていく。その直後、放たれたすさまじいエネルギーの奔流はシルヴァディを飲み込んでいってしまった―――がそこから飛び出してシルヴァディは加速しながらも水上を駆け抜ける。
「素早く―――水の誓い!!そして再び素早く―――炎の誓い!!」
「シヴァアアア―――ディッ!!!」
矢継ぎ早に放たれた水色の光、赤い光は一つに融合しながらもネクロズマへと直撃した。ドラゴンタイプ持ちの今のネクロズマには効き辛いだろうが―――水と炎が四散するとフィールドへと鮮やかな虹が掛かった。此方が狙い、キバナ戦でも使った虹を発生させた。その直後にファイヤーが燃え上がる怒りでの追撃を掛けに行った。
「ギャアアアアアアアアアアッッッ!!!」
「ォォオ、ォォォォオオオッ……」
「よし怯んだ!!素早く―――剣の舞と悪巧み!!そして力強く―――マルチアタック!!悪の波動!!!」
「ヴァアアアアッッディ!!!」
「ギャアアアアアアアッ!!!」
シルヴァディの悪タイプへとなったマルチアタックが胸を大きく袈裟に切り裂き、そこへ悪の波動が放たれていく。流石のネクロズマでもかなり効いた筈―――が、突如としてネクロズマは全身から無数の光を放つとそのままに矢鱈目たらに周囲を薙ぎ払い始めた。
「パワージェムかこれ!?なんてパワーだ……頭を抑えろ!!毒々の牙ァ!!!」
「ヴァアアアアッディ!!!!」
強烈な一撃がネクロズマの頭部へと炸裂し、虹の影響で追加効果発動率が2倍になっている事で猛毒に侵されるネクロズマ。そこへ更に悪巧みを重ねたファイヤーが飛来して、燃え上がる怒りを浴びせかけて来る。全身を蝕む毒と憤怒の炎が焼き尽くそうとする事への怒りか、ネクロズマは更に輝きを増した。その光が毒そのものを焼き、炎を一瞬で焼き尽くした直後にあったのは―――ネクロズマからウルトラホールのような穴が開いている光景だった。
「何をしようってんだ……!?」
「ゼァァリカァ……リィィィイイァァッ!!!!」
そのウルトラホールの奥から二対の赤い瞳が見えた、そこから飛び出して来たのは―――
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアスッ!!!!」
「ビシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!」
「げぇっ!?」
思わずラビが言葉を濁す程度には最悪過ぎる光景がそこにあった。なんとネクロズマは自らの身体から取り込んだと思われるダーク・ルギア、そして更にギラティナまでをも生み出した。そしてネクロズマは高く高く上昇していき、倒してみろと言わんばかりの態度だ。
「ダーク・ルギアを取り込んでたが、それから俺の意識の情報でも読み取りやがったか……!?」
「ギャアアアアスッ!!!」「ビシャアアアアンッ!!!」
「ザッケん、なああああ!!!」
ルギアとギラティナは同時に此方へと狙いを定めながらも同時に波動弾を放って来た。それを慌てて回避するが、こうなるとネクロズマはその気になれば手駒を増やせることになる。しかも出して来たのは伝説のポケモンという最悪の状況に歯軋りをする。
「こうなったらこっちも全力投入するしかないのか……!!って考える暇すらねぇってか、ファイヤーはルギアを止めろ!!燃え上がる怒り!!シルヴァディはギラティナにマルチアタック!!」
激しい空中戦を開始するルギアとファイヤー、燃え上がる怒りを展開しながらも相手のトップスピードを出せないような立ち回りで先手先手を取り続けるファイヤー。アナザーフォルムで重々しくも翼を変化させて素早い刺突や薙ぎ払いをしてくるギラティナの攻撃を捌きながらも首へと噛みついたまま押し倒し、マルチアタックを浴びせていくシルヴァディ、何方も頼もしいが……なんというか、以前よりも弱さを感じる。
「流石に同時はスペックが落ちるのか……!!だったやりようが―――やっべ!?」
深層意識からの反映を基にして二体ではあるが、同時に生み出されているが為に本来のルギアやギラティナに比べるとスペックが落ちているのか押し切れている。これならばまだ希望が―――と思っている時にネクロズマは光の球体を出現させるとそれを一気に炸裂させた、光は無数の線へと変貌して降り注いでくる。
「シルヴァディ、ファイヤーは回避しろ!!」
咄嗟に指示を飛ばすとシルヴァディとファイヤーは身を翻して回避するが、その光はダーク・ルギアとギラティナへと容赦なく炸裂し、苦しみ悶えている姿に容赦のかけらもないのか……と思う中で光が迫って来る、それをシルヴァディがマルチアタックで消し去ろうとするが余りにも数が多すぎる。間に合わないと―――と思った直後にラビは誰かに掴まれてそれらを回避する事に成功した。
「ふぅ、危機一髪であったな!!」
「わ、悪い手間かけさせた」
「気にするでない」
バドレックスが自らの意志でボールから飛び出してラビを救いだした。此処からは自分も機動力を確保した方が良さそうだな……と思いながらもバドレックスの肩に置く。
「さあ、第二ラウンドだ!!」
「その意気である、行くぞ我が愛馬よ!!」