週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ?:ポケモンを愛する者?

「初めまして、っていうのもなんか変な気分がしますね……ガラルリーグトーナメントでは弟が、マサルがお世話になりました」

「まさかマサル君のお兄さんが来るとは……しつこいようですけど、まさかリスナーだったとは……」

「その節は本当に気持ち悪いコメントを打ってしまってすいませんでした……」

「いやいやいや、事情があったら別に……私も言い過ぎましたから」

「いえ、知らなかったとはあんな事を口走ってしまった俺がいけないんです、そう、俺が……ああっ俺が、俺が……」

「リィィオン」

 

突然目からハイライトが消え、頭を抱えるようにしながら震え始めてしまう客人。そんな彼の相棒と思われるブリムオンが背中をそっと撫でる。如何やら本当にいろんな意味で重い物を抱えているらしい……。

 

「なんつうかさ、訪ねて来てもらって悪いけど……嬢ちゃんがカルネさんと一緒に出掛けてて正解だったな……」

「言っちゃ悪いけどな……」

「うん、なんかあんまり聞かせたくない感じだよね……」

「……すいません、ああっダメだな俺……いい加減立ち直らないといけないのに、いつもブリムオンに迷惑かけて慰めて貰わないと前に進めねぇなんて……ああ、俺って、俺って奴は……」

「リイイムゥ~」

「こりゃ本格的に病み深いな……」

「ああっえっと、すいません。俺はライナンと言います、マサルの兄でえっと……ラビさんの配信ではMr.Mで通ってます」

「ああっあのポケモナーの奴か!!」「ああっヒスイバクフーンに求婚してた人!!」

「ぐふっ……!!!」

 

キバナとサザレの分かった!!と言わんばかりの反応と声に胸を突き刺されたような苦悶の声を漏らしてしまった彼の背中を再び摩るブリムオン。彼はMr.Mことライナン、ガラルリーグトーナメントで対決したガラルのフロンティアブレーンのマサルのお兄さんでもある。如何やらパルデア地方へは本選を観戦する為に来たらしいが、以前の事を謝罪する為に態々訪ねてくれたらしい。

 

「それでまあバクフーンについてもあいつはダイケンキと仲良くやってるし気にしてないんと思うんだが……なんか頼みがあって来たんじゃないのか?」

「……実は、俺ブリーダーとして本当にやっていけるのかって不安になって来ちまって……」

 

ライナンはポケモンリーグ公認資格のポケモンブリーダー一級の資格を保有しているとの事。それはポケモンを育てる者、整える者としての力を証明する資格であり、この資格があるとジムリーダーなどでジムポケモン達の体調管理に携わる仕事やポケモンセンター常駐の相談員、公共バトル施設などでの仕事など様々な仕事に就く事が出来るというとても強い資格。多くのジムトレーナーやポケモンを抱えるジムの場合は、一級ブリーダーがいるか、その資格をジムリーダー自体が所有している場合が殆どである。

 

「だけど、ここ最近はポケモン達の相手をしている、というか俺がされてるようなのばかりで……」

「メンタルに来ちまって、自分の仕事のクォリティに自信が持てねぇって事か」

「仰る、とおりです……」

 

マサルから話は聞いているが、恋人だと思っていた相手に騙されていた事が酷く効いているらしい……それが原因でブリーダーとしても悪影響が出てしまっているとの事。

 

「これまで、俺はポケモン達の事を1ミリも妥協した事はないんです。それは誓えます、だけど……今の俺にポケモンの相手をする資格があるのかどうか……」

「う~んこれは相当に重症だね」

 

サザレの言う通り。と言ってもラビが見る限りブリムオンに可笑しな点はない。細やかなブラッシングによって毛艶はとてもいい状態、先の先まで丁寧に仕上げられている。一級の名に恥じないと言えるほどの物がそこにはある。

 

「(これは完全に自分を信用できてないな、自分に価値がないと思い込んでる)ライナン、お前宿泊先は?」

「えっ、あっ……テーブルシティのホテルですけど……」

「じゃあ俺がボウルタウンの宿を紹介してやる」

「あ、あの話が……」

「そして、明日から此処に通え」

「えええっ!?」

 

突然すぎる提案にライナンは言葉を失ってしまった。この人は一体何を言っているんだ!?と思うがラビは言葉を続ける。

 

「ポケモンを相手にする資格があるのか無いのか、それを俺が教えてやる」

「―――ほ、本当ですか!?」

「だけど此処の朝は早いぞ、その気があるなら明日の朝5時には玄関先に来い」

「……分かりました、是非お願いします!‼」

 

綺麗な姿勢で頭を下げたライナンの瞳には何処か藁を掴むかのような必死な色があった、そしてそれを見つめるブリムオンの瞳は何処か不安げな物があった。本当に大丈夫なのかと言わんばかりのそれ、だが問題はないだろう。何方かと言ったら自信を取り戻す、というよりも自覚させるだけの話ならば簡単な方法があるのだから。

 

「にしてもラビ、何させる気なんだ?」

「単純な話さ、此処の管理の手伝いをさせる」

「それだけ?」

「それだけ」

 

話だけを聞いたらそれが為になるのかと思うが……既にキバナとサザレは慣れてしまっているが、この保護区の管理というのは極めてハードなのである。内容もそうだが、何せラビのポケモン達は一癖も二癖もある連中ばかりだ。その相手を満足させるのは一朝一夕では無理な話だ。

 

「つまり、自分が楽したいから……って事か?」

「ンな訳あるか、なんで俺個人が楽をしたいが為にポケモン達の幸福を乱さないといけないんだよ。寧ろこの場合は俺がフォローに回らないといけないんだから大変になるさ」

「じゃあなんで……」

「同じく、ポケモンを愛する者の誼だよ」

 

 

「あ、朝5時かぁ……ブ、ブリムオン起こしてくれるか……?」

「ムリィィオン」

「だ、だよなぁ……が、頑張って起きるか……」




という訳で、Mr.Mことライナン登場です。感想でも結構お馴染みの彼を出しました。
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