週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ?:少しだけ、前へ進む者。

「フゥッ……よくもまあこんなの毎日できますね……」

「伊達に10年旅してたわけじゃねぇって事だよ」

 

昼食時、ライナンは思わず愚痴を零してしまった。楽しさはある、自分が世話をした事もないような珍しいポケモンや屈強なポケモンのケアや日課の手伝い、ブリーダーが一度は体験してみたいと思った事がそのまま体験出来て本当にいい経験が出来たと胸を張って言えるのだが……物凄く濃い時間だったと……疲れ気味になってしまっている。

 

「やっぱり、旅をすると良いのです?」

「個人的には小規模でも旅はするべきだと思ってるよ、野生のポケモンの生活を自分の目で見ておくと言うのはいい経験になるし」

「流石10年も旅してた人が言うと説得力が違うね」

「これがレッドやサトシさんが言うと違うんだろうけどねぇ……」

「ありゃもう色んな意味で殿堂入りだろ、知ってるか?あの二人がアウトドア用品のCMに起用された時には異例の完売で緊急増産がなされたって話」

 

ライナンは疲れているのと空腹なのも相まって、同じ食卓にカルネとキバナがいても特に緊張せずに食事を楽しめていた。正直今でも女性は怖いと思う心が何処かにあるが……なんというか、少しだけ気持ちが楽になっている為か問題なく話が出来ている。

 

「それにしてもライナン君も一級ブリーダーなんて凄いじゃない、あの受験って結構大変な資格って言うじゃない」

「いえ、あれは結局の所何処までポケモンの心を解き解せるか、という所に重点を置いている資格なので試験自体はそこまで難しくないんです。ただ……ポケモンが大好きな人なら誰でも取れると思いますよ」

「アンシャでも取れるのです?」

「そうだな、少し勉強したらアンシャちゃんだったら簡単にとれちゃうかもな」

「へ~」

 

などと言っているが、一級ブリーダー資格はポケモンリーグ認定資格に該当する資格、言うなれば国家資格に該当する資格で簡単な資格ではないのだが……ラビも一応持っている資格ではあるが、筆記試験の方は中々に難しかった。ライナンは素で優秀というのがよく分かる。

 

「あとはやる事は基本的に無いな、どうだ少しは気分は楽になったか?」

「……なんていうか、忙しくしたら落ち込んでる暇も無かったなぁっていうのが素直な感想ですかね……なんか昔を、ポケモンの事が大好きだったけどまだ全然分からなくて右往左往してた頃の事を思い出しちゃいましたよ」

「そうか、それでいいんだよ。ブリーダーが悩む事なんてポケモンの育成の難しさとか食べ物の栄養バランス程度の事でいいんだから、これだけは覚えておいた方がいい―――ポケモンは俺達が思っている以上に賢く聡いって事だ」

「賢くて、聡い……?」

「そう、アンシャちゃんも聞いといてくれ」

「はいなのです」

 

手に持っていたフォークを置き、手を膝の上に置いて聞く姿勢を取るアンシャにカルネは、本当にウチの子最高……と軽く涙を流しながら口元を押さえている。ライナンは映画なんかで抱いたイメージと大分違うな……と思いつながらもラビの方を見る。

 

「ポケモンは俺達の心を感じ取る能力がある、エスパータイプではなくてもこっちの意図を察して行動を変えたり、心配してくることもする。だからこそポケモンを侮っちゃいけない、真摯に接すればポケモンは俺達を助けてくれるし一緒に困難に立ち向かってくれる。だから何かを抱えていたら素直に相談したらいい、例え言葉が通じなくても心でなら通じ合えるんだからな」

「助けてくれる……あっ」

 

『リィィムゥゥッ……オオオッリイイブァ!!!』

『きゃああっ!?な、何よブリムオン!!?』

『待てやめろブリムオン!?ちょっちょっとストップ!!流石にそれはマズい、それサイコカッター!!?お前のそれはマズい、鋼ですら傷つけるからストップ!!?』

『ヒ、ヒイイイイイイイイイイイッ!!!?』

『ブリィィイイム』

 

「……そうか、あの時ブリムオンは俺がいっぱいいっぱいだったから……」

 

思う所があるのか、ライナンはベランダでダイケンキ達と食事を取っているブリムオンに視線を送った。ブリムオンも自分の心を察知して助けてくれた……そうでもなければ普段は温厚な筈の相棒がいきなり相手を叩くなんて事はしない筈……。

 

「自分の事が信じられねぇならそれはそれでいいさ、だけどポケモンは信じられるだろ。お前は自分を信じてくれるポケモンの為に歩めばいい、それからじっくり自信を持ち直していけばいいさ……誰かの為に力を尽くせるのも立派な才能さ」

「……はい、頑張ってみます」

 

少しだけ、ライナンの顔色は良くなった。そして浮かべる表情はもっと良くなっていた。昼食が終わるとアンシャは庭の冒険ツアーの続きと称してムーランドに乗りつつも懐にブースターを抱きしめてライナンと一緒に庭の散歩へと出発していった。

 

「彼、いい子じゃない。あんないい彼を振ってしまうなんて見る目のない女ね……」

「全くだぜ。ちょいとポケモンに傾いてるが、それ自体女のせいだしなぁ……なんだったらオレ様のジムで雇うかな……」

「あれ、いないのブリーダー」

「いやいるけど腕のいいブリーダーって奴は中々居ないからな、ジムやってる身としては何人いてくれても有り難いもんだぜ?」

 

気付けば話はライナンの事になっている、彼の今後についての話を勝手に話し合ってしまい、キバナが雇うかカルネがいい人を紹介するかなどなど本人が聞いたらなんで!?という事必須な事になっていた。

 

 

 

 

「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。本日はゲスト付きです」

「よおっ元気か皆、ガラルのジムリーダーのオレ様キバナだぜ!!」

「どうも皆さん、えっと……ブリーダーのライナンと申します」

「本日はこのメンバーでいきます、そして今回ご紹介するのは此方」

「ブリィィムオン」「リイイィオン」

「ブリムオンです」

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