週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ:ナンジャモとレベの一歩。

『白熱した思いが生み出す事象のなんと美しい事でしょうか、だがこれからのバトルがそれらに劣るなんてことはあるでしょうか、いやある訳が無いのです!!!』

 

実況のシンイチロウの言葉が響いてくる、それに呼応するように歓声が地響きのように巨大な船を揺るがす。そんなフィールド近くの控室で一人、その手の中でボールを転がしていたのはナンジャモ。これから自分のバトルが始まるんだ、世界的に有名な自覚はあるし、配信者として名前は上から数えた方が早い、だけど、これから競うのはポケモンバトルの腕前……相手は化える者として、名を馳せるブルー……ボクなんかが勝てるのか……という不安が自分から平静さを奪い取っていくのが分かってしまう。何とか落ち着こうとするのだが……

 

「ナンジャモさん」

「っ―――レ、レベ君?」

 

思わず顔を上げると、そこには愛しの彼氏であるレベが居た。誰かと思って身構えていたナンジャモはああ、やっちゃったなぁ……と思いながらも再び顔を伏せそうになったが、それではいけないと顔を上げる。そして声を張り上げる。

 

「やぁやぁどうしたんだいボクが恋しくなっちゃったかな?」

「そうですね、恋しいです」

「―――ふぇっ……?」

 

ナンジャモの精一杯の虚勢染みた言葉をレベは真っ直ぐに受け止めながらもナンジャモの隣に座りながらもその手を握り込んだ。ナンジャモは咄嗟に離そうとしてしまった、だって震えているのがバレてしまう……そう思ったが、レベが指を絡ませてきたのでそうはいかなかった。

 

「ナンジャモさん、僕ってそんなに弱いですかね」

「……違うよ、ボクが勝手にそうありたいって思ってるだけなんだ……ボクはジムリーダー、それで君の可愛い彼女だよ、君の前だと……そうありたいって思ってるだけで」

「じゃあどんな姿でも僕にとってはそうです」

 

レベの瞳は何処か覚悟のようなものがあるのが分かる。

 

「僕はナンジャモさんを何があっても支えるつもりですよ、僕はまだまだ弱いですし支える事しか出来ませんけど……何れは隣に立って支え合えるような力を身に着けるつもりです。だからナンジャモさんは遠慮なく―――俺に寄り掛かってください、支えますから」

 

不意に、心臓が大きな音を立てた。今の表情と一人称の変化にナンジャモの心が大きく揺れた。

 

「……じゃあさ―――ボクにブルー氏に立ち向かえる魔法をくれない……?」

「俺の魔法なんかでよければ……」

 

 

「ぁぁぁぁぁぁぁ……」

 

時間が来た為に控室から出ていくナンジャモを見送ったレベは思わず顔を覆いながらも控室の大きな鏡で自分の顔を見てみた。本当に真っ赤なトマトだ……酷い赤面具合に言葉が出なくなってきてしまった……何が俺の魔法だよ……本当に我ながら何を言っているんだよぉ……。

 

「ああもう、でもあの時のナンジャモさんの……ぁぁぁもう好きだよぉっ……」

 

 

 

「……」

 

控室から真っ直ぐに入場ゲートへと向かったナンジャモは何度も唇に指でなぞってしまっていた。自分は思った以上に少女趣味だったのか……という発見をしながらもあの体温の心地よさと、何度も求めてしまった自分の弱さを再確認した。だけど……今はそれが心地よかった。

 

「フフッ……本当に魔法だね、折角だから勝ちを取りに行こうか……そのまま更に惚れ込ませるっていうのも中々にいいプランニングだもんね」

 

あれ自分ってこんなキャラだっけと思う程度には普段の自分との乖離を感じつつも足取りは止まらなかった。いよいよ自分の手番だ、この先でどんなバトルが待ちかねているのだろうか……まあ、どんなポケモンだろうとも行くだけだけどね。

 

『いよいよバトルが始まります、第五試合のカードは此方ぁ!!!強く、そして美しく、健やかに育てるという意味ではグリーン選手にも負けず劣らずですが、そのポケモンをより美しく魅せるという技術においては他の追随を許す事がない。PWCSランキング27位、化える者、ブルー選手!!!』

「皆、今日も元気にやってる~!!?」

 

スモークの奥から飛び出して跳ねまわりながらも手を振ったり笑顔を振りまくブルー、何が求められているのかも確りと理解してその場に適した振る舞いをするという意味合いでも彼女の化える者は適用されてしまう。此処では歴戦のトレーナーとして、マサラ三英傑としてこの場にはせ参じた……そして彼氏持ち疑惑のあるナンジャモに勝つ為に……そして場は一変、明かりが落とされ、ナンジャモ側の入場ゲートからは煌びやかなライトがスモークを幻想的に照らす。

 

『ここパルデア地方においては大人気の配信者、彼女の声は聞く人を笑顔にして自らのフィールドへと引き込む呼び声。煌びやかなのがお好き?ならばもっと好きになりますよ、電気タイプとして貴方を光の世界へとお招きします。PWCSランキング26位、おはこんハロチャオの挨拶と共に皆に笑顔にするエレキトリカル★ストリーマー ナンジャモ選手!!!』

 

スモークの奥からゆっくりと姿を現して来たナンジャモに対してパルデア民の熱狂度は更に上がるが、その姿が完全に見えた時、思わず静寂が巻き起こりそうになった。パルデア民が一斉に沈黙したのである。ナンジャモと言えば常に元気でハイテンションな印象がある、だがそこに居たのは、静かな闘志を目に宿しながらも何処か大人の余裕を纏っていたからだ。そしてカメラが此方を見ているのに気付くと、ゆっくりと笑いながらも片足を引きながら前屈みになりつつも笑った。

 

「おはこんハロチャオ、こういうボクは、好みかな?」

 

これまでのナンジャモに無かった余裕と強さ、そして何処か色気を感じさせるパフォーマンスに会場は大盛り上がりである。

 

「(……あれ、何やってんだろボク……というか、これ完全にレベ君に向けて言ってるし……なんか振り切れちゃってるかな、ボク、まあいいや、勢いに任せちゃおっと)」

 

そう思いながらもバトルフィールドへと足を踏み入れる。

 

「初めまして、でいいのかしらねナンジャモちゃん、随分と余裕なのね」

「おはこんハロチャオブルー氏、余裕なんてまるでないけどね……貴方に勝つ為に僕は全力を尽くすだけだから」

「―――上等」

 

そこへ飛来するギルガルドに乗った審判が告げる。

 

『対戦ルールは3対3、メガシンカ、Zワザ、テラスタル、ダイマックスは各選手一度ずつのみ、ポケモンの交代は両者自由となります。ブルー選手 VS ナンジャモ選手。それでは両者、最初のポケモンをフィールドへ』

「行くわよ、ピーちゃん!!!」「ピックシ~!!!」

「さあ回転上げていくよ―――エレキブル!!!」「レッキブゥルルルルルルッ!!!!」

 

To Be Continued……!!

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