『対戦ルールは3対3、メガシンカ、Zワザ、テラスタル、ダイマックスは各選手一度ずつのみ、ポケモンの交代は両者自由となります。グリーン選手 VS サトシ選手。それでは両者、最初のポケモンをフィールドへ』
『本日もお相手は貴方の心にドリル嘴、シンイチロウが実況をさせていただきます。そして解説は先日と同じく此方のお方です』
『貴方の心に大地の力、砂の貴公子のラバイでお送りします』
「行くぜ!!いけっバンギラス!!!」「バゴアアアアアッ!!!」
「ガケガニ、君に決めた!!!」「ガアアニィィッ!!!」
『さあグリーン選手の先発は何と切り札として起用するトレーナーも数多い強豪ポケモンのバンギラスであります!!これは初手からハードなバトルになりそうな予感がしております!!そして対するサトシ選手は―――ガケガニで御座います!!』
『ガケガニはパルデア地方のポケモンですね、サトシさんは旅をした地方のポケモンを必ずと言っていい程に起用してきます。このパルデア地方には長い期間滞在しているそうですし、その間にゲットした新人かもしれません』
『そしてフィールドにはバンギラスの砂起こしで引き起こされる砂嵐が吹き荒れます、この砂嵐が状況をどう変化させるのか』
『お互いに岩タイプ、砂嵐は岩タイプポケモンの特防を引き上げる。どう作用するのか見物です』
『バンギラス VS ガケガニ!!3、2、1……BATTLE START!!』
「まずは小手調べだ、バンギラス地震だ!!」
「バアアグアアアア!!!」
雄々しく片足を上げて地面を踏み抜くと放射状にエネルギーが伝播していく、そのパワーは凄まじくフィールドどころか船全体を揺るがしてしまう程の大衝撃波。
『きょ、強烈な地震であります!!バトルフィールドどころかこの艦そのものを揺るがす圧倒的なパワー!!それどころか周辺の海の水を揺るがしております!!これが本当にポケモンのパワーなのでしょうか!!?』
「ガケガニ、ジャンプだ!!素早く―――剣の舞!!」
「ガアアニィッ!!!」
地震の本命の衝撃波、ただの振動からの本命が届く前に跳躍したガケガニは空中で軽い身のこなしで舞った。だがバンギラスはそれを見て一気に駆け出していく、しかもお前が舞うならば俺もだと言わんばかりに龍の舞を行いながら。
「着地の瞬間、噛み砕く!!」
「バアアガアアアア!!!!」
着地の硬直を狙おうとしたバンギラス、だがガケガニは着地の瞬間に大きく足を広げて地面と殆ど変わらない高さにまで身体を沈ませる事でバンギラスの噛み砕くを回避してみせた。
「そこだっ力強く―――クラブハンマー!!!」
「ガニガニガニガアアニィィッ!!!」
「舐めんな!!素早く―――グロウパンチ!!」
「バアアグアアアア!!!」
真下からのアッパーカットのようなクラブハンマーと素早く身を翻しながらのグロウパンチが激突する、龍の舞でパワーアップしているとはいえそもそものグロウパンチの威力自体が低い上にそれを早業で繰り出してしまっているので威力はさらに低下している。ガケガニはそのまま振り抜いてグロウパンチを押しのけてバンギラスへとクラブハンマーを炸裂させる。
『クラブハンマーが炸裂ぅ!!剣の舞の効果でパワーアップした一撃がバンギラスを吹き飛ばすぅ!!』
「やるじゃねぇか、だがな、バンギラァアアスッ!!!返してやれ、冷凍パンチッ!!!」
「バアゴアアアアアッ!!!!」
クラブハンマーを受けて吹き飛ばされたかと思ったが、深く踏み込んでそれに耐え、返しに強烈な冷凍パンチをお見舞いするバンギラス。それを片方の鋏でブロックするが、甲殻に罅が入りながらも吹き飛ばされてしまう。
「ガアニィィィ~……」
「ガケガニ大丈夫か!?」
「ガ、ガアアニッ……!!」
『なんというパワー!!これぞバンギラス、圧倒的な耐久と圧倒的なパワーが複合した大怪獣!!そこから放たれる一撃は超ヘビー級!!ガケガニこれは大きなダメージです!!龍の舞とグロウパンチの影響で剣の舞をしているのと同じ状態での一撃を―――おっとこれはガケガニがブロックした鋏がもげ落ちてしまったぁ!!?』
余りに破壊力にガケガニの鋏が落ちてしまった、観客から悲鳴のような声が聞こえてくる。ポケモンバトルにはバトルで余りにも大きすぎるダメージを負うとレフェリーがそのポケモンのバトルストップが掛けられる事があるのだが……サトシは全くそれを心配していなかった。
「ガアアニニニッ!!!!」
「よぉし、どんどん上げていくぞガケガニ!!」
「ガアアニイイ!!!」
サトシの声と共にガケガニは全身の甲殻に亀裂が走ると、そこから飛び出すようにジャンプしてやる気満々の姿を見せた。しかも……捥げて落ちてしまったはずの鋏がガケガニから確りと生えているのである。地面は落ちた鋏が未だにあるのにも拘らず。
『ガケガニは鋏が取れやすいけど、直ぐに再生しちまうんだ。パルデア地方では捥げた鋏は貴重な食料として重宝されてる。だけどあそこまで再生が早いのは見た事ねぇな……』
『そうでした、そしてガケガニと言えば特性を忘れてはいけません!!ガケガニの特性の怒りの甲羅、ダメージを受けて大幅に体力が削られると自身の攻撃特攻素早さが上がり、防御と特防が下がるという殻を破ると近しい効果を有しているのです!!』
「勝負はこっからだ、行くぞガケガニ!!剥がれた殻にクラブハンマー!!」
「ガアアアニニニニニニッ!!!」
ガケガニは周囲に散らばっている自らの殻に向けてクラブハンマーを放つ、それはガケガニの身のこなしとパワーによって撃ち出された事で異様なスピードに到達し、まるで弾丸のようにバンギラスへと迫って来る。
「素早く―――龍の舞!!力強く―――アイアンテール!!打ち返せ!!」
「バゴアアアアアッガアアアアアアア!!!!」
高速回転しながらもアイアンテールで殻を打ち返すバンギラスだが、グリーンは即座に気づいた。打ち返しているのに手応えが薄い―――咄嗟に上を見ると真上から真っ逆さまに落下してくるガケガニがいた。
「悪の波動だ!!」
空中へと打ち放たれる悪の波動をガケガニはノーガードのまま受ける、幾ら砂嵐で特防が上がっているとはいえこのダメージは決して軽くない筈なのに、ガケガニは真っ直ぐと落ちていく。そして着地した時、バンギラスを普段のガケガニからは想像出来ぬ程に鋭く、威圧感の有る瞳に一瞬、バンギラスは身動きが出来なかった。
「いっけえええっ素早く我武者羅だぁぁ!!!」
「ガアアアアニイイイイイイイイッ!!!!」
「やらせんなぁ!!素早く―――噛み砕く!!!」
「バゴアアアアアアアア!!!!」
伸ばされた鋏へ喰らい付くバンギラス、ガケガニは苦痛に顔を歪めるが、残った鋏でバンギラスの喉元を挟み込んだ。そこで噛みつかれた鋏を開いて口を掴むとガケガニは雄叫びを上げながらもそのままバンギラスを力任せにぶん回し始めたのだ。
『ガ、ガケガニ、バンギラスに一切引きません!!!鋏を噛み砕かれ、甲殻が割れ始めても決して放しません!!なんというど根性でしょうか、決して諦めません!!』
「いっけええええええっお前の根性をバンギラスに見せつけてやれぇ!!!」
「ガアアアアアアアニイイイイッ!!!!!」
ガケガニはサトシからパワーを貰いながらも更に力強く振いながらも、遂にバンギラスを投げ飛ばした―――とは言えなかった。捨て身の投げ、鋏が負荷に耐えきれなかったのか、両方の鋏が捥げながらもバンギラスをぶっ飛ばしたのだ。バンギラスは何度も地面に叩き付けながらもフィールド外の外壁に激突した。
「バンギラス!!!?」
「バ、バゴォガァァァァ……!!」
苦悶の声を上げながらも、バンギラスは外壁から抜け出してきて、ファイティングポーズを取って戦闘継続の意思を見せつけた。グリーンはホッとしつつもガケガニのとんでもない根性に舌を巻きながらもどうやって突破するかと思っていたのだが……そこには半ばまで捥げてしまった腕を上げたまま動かなくなっていたガケガニの姿があった。
『ガケガニ、戦闘不能!!バンギラスの勝ち!!』
『ガケガニ陥落ぅぅ!!!バンギラスという巨大な相手に一切怯む事も引く事もなく勇敢に立ち向かった雄姿がそこにあります!!例え鋏が捥げようとも自らの闘志はもぎ取れないと言わんばかりの堂々たる姿です!!』
「ガケガニ、よく頑張ったな。ゆっくり休んでくれ」
会場中から拍手が溢れ出さん限り、これを作り出したガケガニの活躍に報いる為にはあのバンギラスを突破する。サトシは次のボールを手に取った。
「エクスレッグ、君に決めた!!!」
「イイイレィグッ!!!」
『サトシ選手、次はエクスレッグです!!砂嵐も弱まってきている中でガケガニの尽力を活かせるか!!?グリーン選手はその勢いを削げるのか!?』